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よく分からないその話には首を傾げながら聞いた。



「何で急に若松さんが出てきたの?」



「何でって・・・昨日あのクソガキに喧嘩売られたんだよ!!
お前の会社に訪問した後にあいつの親の会社に訪問したら若松の坊っちゃんもいて、そこで喧嘩売られたんだよ!!
“佐伯ちゃんって可愛いですよね”とか色々と・・・色々と言ってきて!!」



「朝人って若松さんのご両親がやってる会社の顧問でもあるんだ?」



「そうだよ!!
あいつの両親と知り合いのオッサン、そいつと俺は友達なんだよ!!
マツイ化粧品の旦那の方の社長とは友達だから、あのオッサンがバンバン知り合いを紹介してくるんだよ!!
そしたらその中に若松夫妻もいて!!
そこに若松の坊っちゃんもいて!!
お前と同じ会社にいたんだよ、坊っちゃんが!!」



朝人が初めてするような話を怒鳴りながらしてきて、そして・・・



「あいつ、初めて会った時から何かと喧嘩売ってくる奴でムカついてたんだよ・・・。
そしたらあいつがお前とプライベートで飯に行った話を聞いたり、お前に自分がデザインしたネックレスをプレゼントした話まで聞いて・・・」



そう言いながら、めちゃくちゃ怒った顔のまま私のことを睨み付けてきた。



「そのうえお前の23の誕生日の日、あの日・・・お前とあいつがデートに行く所まで目撃した・・・。
未販売のワンピースを着たお前とあいつが、あいつの店から出てきて・・・お前はめちゃくちゃ嬉しそうな顔をしてた・・・。
後からあの店に訪問したら、店員があいつの親に驚きながらお前のことを報告してたよ。
わざわざ首元まで直して渡してたって。」



「うん、直してくれたけど・・・。
私あの後若松さんとデートとかしてないよ?
真っ直ぐ家に帰ってたからね?
ネックレスは確かに貰ったけど、軽~い感じでくれたから軽~い感じで貰っちゃった。」



「・・・若松さんとお前はメッセージで連絡も取り合ってるって聞いた。」



「ああ、うん。
カヤと彼氏をくっつけたのって私と若松さんの協力が少しあったからなんだよね。
・・・でもその時期に何度かメッセージ送り合っただけだよ?
もしかして、カヤから聞いたの?」



私が聞くと、朝人はゆっくりと指を差した。



「あの人。」



“朝1番”だった場所にある若い頃の和泉かおりのポスターを。



そして・・・



「の、娘からめちゃくちゃ聞かされた。」



それにも首を傾げながら朝人を見上げると、朝人は少しだけ悩んだ顔になった。



「俺の顧問先の話をあんま話すわけにはいかねーけど・・・まあ、なんつーか・・・あの人の娘、増田ホールディングスでお前の隣のデスクに座ってる。」
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