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そんなことを改めて聞かれ、それにはネックレスがなくなった首を傾げながら先生を睨み付けた。



「何その質問。
昨日まで彼氏がいなかったのにそんな急に彼氏なんて出来ないでしょ。」



「はあ~・・・!?
お前、誕生日だっただろ!?
何がどうなったら付き合わない状況になるんだよ!?
しかも明日土曜だろ!?
何で家にいるんだよ!?」



「何でって・・・先生が夜ご飯食べに来るかなと思って待ってたんだけど・・・。
こんな時間だけど来たと思ったらネックレスも壊されるし酷い言葉も出してくるし、今日は口だけじゃなくて手も悪い。」



誕生日は過ぎてしまったけれど“おめでとう”と言ってくれなかった。
社会人になり初めての誕生日、先生と再会出来ていたのに言ってくれなかった。



“朝人”に会いたい・・・。



俯いている先生を眺めながらまたそう思った。



“朝人”だったら佐伯さんと“何か”があったとしても私に“おめでとう”と言ってくれるはずなのに。



“朝人”はネックレスを壊したりあそこまで酷い言葉を出してこないはずなのに。



“先生”の姿のこの人は佐伯さんを選んだ。



佐伯さんのことを選んで、そのうえ私に酷いことをしてくる。



そう思いながら涙を我慢していた時・・・



「千寿子。」



“先生”が・・・先生が、私の名前を呼んだ。
私の下の名前を・・・。



私の下の名前を呼ぶのはお父さんとお母さんと先生だけだった。



今ではその3人だけだった。



泣きたくなるくらいムカついていたけれど、泣きたくなるくらいに嬉しいとも思ってしまう。



先生はゆっくりと顔を上げ、怖いくらい真剣な目で私のことを見詰めてきた。



「お前、明日の予定は?」



「特にないけど。」



「じゃあ、俺と・・・」



言葉を切った先生は苦しそうに顔を歪め、口を強く結んだ。
でもすぐに口を開き・・・。



「俺と飯食いに行かない?」
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