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“朝1番”だった場所の鍵を開けてから扉を開けると、そこには疲れきった顔の先生がいた。
夜12時は回ってしまい私の誕生日は過ぎてしまったけれど、先生に会えたことは嬉しい気持ちになる。



“佐伯さんは?
昨日、あの後どうなったの?”



そう聞きたい気持ちをグッと堪え、私は“朝1番”だった場所に入るよう先生を促す。
促したのに・・・先生は出入口の所で立ち止まっていて、上から下まで何度も視線を動かしながら私の姿を見ている。



こんなに見られて恥ずかしい気持ちにもなったけれど、私は先生に笑いながら言った。



「数分前まで私の誕生日だったからさ。
気合い入れた格好をしたんだ。どう?」



先生はバカにしたような顔で私を見詰め、小さく笑いながら“朝1番”だった場所に入ってきた。



そして、私の前に立つと・・・



デコルテで揺れるネックレスを指先でソッと摘まみ上げ・・・



「こんな安物をぶら下げて喜んでるとか、まだまだガキだな。」



そんな酷いことを言ってきた。



「いいんじゃねーの?
お前まだ23だしな、安物のネックレスをぶら下げて安物の服を着て、23なんてそんなもんだろ。」



「先生にとっては安物かもしれないけど、新卒の私からしてみたら頑張って買うような値段の服だよ・・・。」



「だから、いいんじゃねーの?って言ってるだろ。
お前まだまだ若いしな、そんな安物の服なんて来年になれば着なくなってる。
来年になればまた好みも変わってくるだろうし、年々高い物が欲しくなってくるもんだからな。
ちゃんとした高い物を買えば何年も良い状態で使えるもんなんだよ。
お前はまだまだ若いからそんな安物なんかで喜んでるけどな、大人になれば良い物がちゃんと手に入る。」



先生がそんなことを言って・・・



「痛い・・・っ」



私のネックレスのチェーンを引っ張ってきた。



「こんな安物なんてすぐに壊れる。
可哀想なガキだな、こんな安物で喜んで。
来年になったら好みも変わってるのに。
来年になったらどうせ壊れるような物なのに。
どうせ壊れるんだよ、お前まだ23だろ。」
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