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定時後
この前買ったワンピースのお店で洋服を見ていく。
今日は私の誕生日だし、それに・・・。
先生は今日も来るかは分からないけど、もしかしたら来るかもしれない。
佐伯さんと“何か”があったかもしれないけど、私のご飯を食べに来るかもしれない。
私の21歳の誕生日の時には帰ってきてくれたみたいだから。
佐伯さんと“何か”があったとしても、もしかしたら来てくれるかもしれない。
先生はそれくらいの常連客だったらしいから。
“私の”常連客だったらしいから。
“朝1番”がなくなった今も、私が作るご飯の“常連客”みたいなものだから。
だから・・・
私が先生のご飯を作り続ける限り、先生はきっと“朝1番”だった場所に来てくれる。
「佐伯さんはまだ23歳だし・・・。
それにめちゃくちゃ性格悪いし・・・。」
絵になる2人ではあるけれど、あの面倒な性格の2人が長い時間一緒にいられるところは想像出来ない気もした。
そんな都合の良い想像をした。
大人っぽいワンピースを手に取りながら、そんな想像をした。
「おお、佐伯ちゃんじゃん。」
お店の全身鏡でワンピースを合わせていた時、そう声を掛けられた。
そして鏡の中には若松さんの姿が現れ・・・
「それはちょっと違うかもな!!」
優しく笑いながら指摘された。
昨日着ていたワンピースよりもずっと大人っぽいデザインで、初めて先生が打ち合わせに来た時に着たのと似ているワンピースを。
「昨日も着てたけど、ここのブランドよく買うのか?」
「今日2回目の購入に踏み切ろうとしているところです。」
「なるほどな。」
若松さんが優しい顔で頷き、それからレジの方にいる店員さんの方へと歩いていった。
それを何気なく眺めていると若松さんはすぐに私の方に戻ってきた。
「ここから2駅の所に姉妹ブランドの店がある。
そっちは大人でも可愛くがコンセプトだから、佐伯ちゃんが似合う服が結構あるし行ってみろよ。
なんなら佐伯ちゃんにブランドモデルをやらせた方が良いくらい佐伯ちゃん向けのブランド。」
「そうなんですか・・・。」
渡してくれたカードのブランドの名前をすぐに検索してみると、確かに私に似合いそうな服が沢山ありそうだった。
でも・・・
「私、大人っぽくなりたくて。」
苦笑いしながらそう言うと、若松さんはバカにすることなく優しく頷いてくれた。
「それじゃあこの店で佐伯ちゃんが似合う服探すか。
探すかっていうか・・・」
若松さんがまた店員さんの方を見て。
「今月中旬スタートのワンピースあるだろ。
あれ出して。」
「え、ですが・・・」
店員さんは戸惑った顔で若松さんのことを見ていて、若松さんは困った顔で笑った。
「いいから、出して。」
若松さんの言葉で店員さんはお店の奥へと入っていった。
それには驚きながら若松さんのことを見上げていると、若松さんも私のことを見下ろしてきた。
「ここ、俺の両親が経営してる店の1つで。」
「そうなんですか!?
親の権力なのにまるで自分の権力かのように使ってません!?
さっきの感じめっちゃ感じ悪かったですよ!?」
「マジか、後で謝罪に回っておく!!」
.
この前買ったワンピースのお店で洋服を見ていく。
今日は私の誕生日だし、それに・・・。
先生は今日も来るかは分からないけど、もしかしたら来るかもしれない。
佐伯さんと“何か”があったかもしれないけど、私のご飯を食べに来るかもしれない。
私の21歳の誕生日の時には帰ってきてくれたみたいだから。
佐伯さんと“何か”があったとしても、もしかしたら来てくれるかもしれない。
先生はそれくらいの常連客だったらしいから。
“私の”常連客だったらしいから。
“朝1番”がなくなった今も、私が作るご飯の“常連客”みたいなものだから。
だから・・・
私が先生のご飯を作り続ける限り、先生はきっと“朝1番”だった場所に来てくれる。
「佐伯さんはまだ23歳だし・・・。
それにめちゃくちゃ性格悪いし・・・。」
絵になる2人ではあるけれど、あの面倒な性格の2人が長い時間一緒にいられるところは想像出来ない気もした。
そんな都合の良い想像をした。
大人っぽいワンピースを手に取りながら、そんな想像をした。
「おお、佐伯ちゃんじゃん。」
お店の全身鏡でワンピースを合わせていた時、そう声を掛けられた。
そして鏡の中には若松さんの姿が現れ・・・
「それはちょっと違うかもな!!」
優しく笑いながら指摘された。
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「昨日も着てたけど、ここのブランドよく買うのか?」
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「なるほどな。」
若松さんが優しい顔で頷き、それからレジの方にいる店員さんの方へと歩いていった。
それを何気なく眺めていると若松さんはすぐに私の方に戻ってきた。
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そっちは大人でも可愛くがコンセプトだから、佐伯ちゃんが似合う服が結構あるし行ってみろよ。
なんなら佐伯ちゃんにブランドモデルをやらせた方が良いくらい佐伯ちゃん向けのブランド。」
「そうなんですか・・・。」
渡してくれたカードのブランドの名前をすぐに検索してみると、確かに私に似合いそうな服が沢山ありそうだった。
でも・・・
「私、大人っぽくなりたくて。」
苦笑いしながらそう言うと、若松さんはバカにすることなく優しく頷いてくれた。
「それじゃあこの店で佐伯ちゃんが似合う服探すか。
探すかっていうか・・・」
若松さんがまた店員さんの方を見て。
「今月中旬スタートのワンピースあるだろ。
あれ出して。」
「え、ですが・・・」
店員さんは戸惑った顔で若松さんのことを見ていて、若松さんは困った顔で笑った。
「いいから、出して。」
若松さんの言葉で店員さんはお店の奥へと入っていった。
それには驚きながら若松さんのことを見上げていると、若松さんも私のことを見下ろしてきた。
「ここ、俺の両親が経営してる店の1つで。」
「そうなんですか!?
親の権力なのにまるで自分の権力かのように使ってません!?
さっきの感じめっちゃ感じ悪かったですよ!?」
「マジか、後で謝罪に回っておく!!」
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