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翌日
お盆明け、お盆時期に夏休みを取っていた人達が経理部に戻ってきていて、お盆の時期よりも社員が多い。
時計を確認すると17時半。
経理部長のデスクを確認するとまだ戻ってきていない。
部長の予定では16時から17時に“松戸会計 松戸様”と入っているはずなのに。
ソワソワとした気持ちのまま部長が戻ってくるのを待っていると・・・
やっっっと部長か戻ってきた。
そのタイミングで佐伯さんの隣に座る羽鳥さんに話し掛ける。
「羽鳥さん!
部長と課長が会っていた松戸会計の松戸先生なんですけど、高校生の頃の知り合いで!
ちょっとご挨拶しに行ってもいいですか?」
「うん、もう17時半だし、今日は夏休み明けの人ばっかりだからみんな定時に帰るだろうし・・・振り込みの入力どうなってる?」
「予定より早く入力出来てます!」
「うん、じゃあご挨拶してきなね。
これからうちの財閥の顧問になる人だから、よろしくね。」
「は~い!!ありがとうございます!!」
勢いよくデスクから立ち上がり、課長から“松戸先生をエレベーターまで見送った”と聞き出し、それから早足どころか走ってエレベーターへと飛び乗った。
そして、オフィスビルの1階へと降り、また走り出していると・・・
いた・・・。
朝人が、いた・・・。
1階の出入口の前で女の子と話している朝人の横顔が・・・。
あれから約5年経ち、今年で32歳になる朝人の横顔が・・・。
“朝人”というよりは“先生”の姿で、それは残念な気持ちにもなるけれど・・・。
自然と笑ってしまうのが抑えられない中、走るのを止めてゆっくりと呼吸を整えながら歩き始める。
そしたら、朝人と・・・“先生”と話していた女の子がチラッと私の方を見てきた。
その女の子を見て、私は小さくお辞儀をする。
会長のお姉さんだったから。
会長のお姉さんは私のことを見て・・・会長のように鋭く光るような目で一瞬だけ私のことを見たような気がした。
会長のお姉さんもうちの会社では有名な人だった。
“普通”ではないと、有名な人だった。
そんな会長のお姉さんが従兄である先生のことを見上げ、私とソックリの顔で先生に笑い掛けた。
その顔は私よりも可愛らしい笑顔に見える。
会長のお姉さんが可愛く笑い続けたまま先生に手を振り、私の横を通り過ぎたタイミングで会釈をしてくれエレベーターの方へと歩いていった。
会長のお姉さんのことを見ることもなく、先生はすぐに出入口に向かって歩いていく。
そんな先生の後ろ姿を眺め、私は朝人のことを呼んだ。
呼ぼうとした。
“朝人!!”
そう呼ぼうとした。
でも・・・
朝人と最後に会った日のことを思い出す。
何度も何度も思い出していたあのフランス料理屋で会った朝人の姿。
可愛い顔をしていたけれどちゃんと大人に見えていた彼女と並んでいた朝人。
そんな彼女に爽やかな笑顔を向けて“普通”にフランス料理を食べていた朝人。
全然違った。
私に見せる姿と全然違っていた。
朝人は彼女になった女の子にはああいう姿を見せるらしい。
大人の男の人!!みたいな姿をちゃんと持っていたらしい。
あの日の朝人の姿を思い出し、そして朝人の隣に並んでいた彼女のことも思い出し、私は朝人のことを呼んだ。
「先生。」
少しだけ朝人のことを追い掛け、ほんの少しだけ朝人の腕に触れ、呼んだ。
「お久しぶりです、先生。」
“先生”と、呼んだ。
お盆明け、お盆時期に夏休みを取っていた人達が経理部に戻ってきていて、お盆の時期よりも社員が多い。
時計を確認すると17時半。
経理部長のデスクを確認するとまだ戻ってきていない。
部長の予定では16時から17時に“松戸会計 松戸様”と入っているはずなのに。
ソワソワとした気持ちのまま部長が戻ってくるのを待っていると・・・
やっっっと部長か戻ってきた。
そのタイミングで佐伯さんの隣に座る羽鳥さんに話し掛ける。
「羽鳥さん!
部長と課長が会っていた松戸会計の松戸先生なんですけど、高校生の頃の知り合いで!
ちょっとご挨拶しに行ってもいいですか?」
「うん、もう17時半だし、今日は夏休み明けの人ばっかりだからみんな定時に帰るだろうし・・・振り込みの入力どうなってる?」
「予定より早く入力出来てます!」
「うん、じゃあご挨拶してきなね。
これからうちの財閥の顧問になる人だから、よろしくね。」
「は~い!!ありがとうございます!!」
勢いよくデスクから立ち上がり、課長から“松戸先生をエレベーターまで見送った”と聞き出し、それから早足どころか走ってエレベーターへと飛び乗った。
そして、オフィスビルの1階へと降り、また走り出していると・・・
いた・・・。
朝人が、いた・・・。
1階の出入口の前で女の子と話している朝人の横顔が・・・。
あれから約5年経ち、今年で32歳になる朝人の横顔が・・・。
“朝人”というよりは“先生”の姿で、それは残念な気持ちにもなるけれど・・・。
自然と笑ってしまうのが抑えられない中、走るのを止めてゆっくりと呼吸を整えながら歩き始める。
そしたら、朝人と・・・“先生”と話していた女の子がチラッと私の方を見てきた。
その女の子を見て、私は小さくお辞儀をする。
会長のお姉さんだったから。
会長のお姉さんは私のことを見て・・・会長のように鋭く光るような目で一瞬だけ私のことを見たような気がした。
会長のお姉さんもうちの会社では有名な人だった。
“普通”ではないと、有名な人だった。
そんな会長のお姉さんが従兄である先生のことを見上げ、私とソックリの顔で先生に笑い掛けた。
その顔は私よりも可愛らしい笑顔に見える。
会長のお姉さんが可愛く笑い続けたまま先生に手を振り、私の横を通り過ぎたタイミングで会釈をしてくれエレベーターの方へと歩いていった。
会長のお姉さんのことを見ることもなく、先生はすぐに出入口に向かって歩いていく。
そんな先生の後ろ姿を眺め、私は朝人のことを呼んだ。
呼ぼうとした。
“朝人!!”
そう呼ぼうとした。
でも・・・
朝人と最後に会った日のことを思い出す。
何度も何度も思い出していたあのフランス料理屋で会った朝人の姿。
可愛い顔をしていたけれどちゃんと大人に見えていた彼女と並んでいた朝人。
そんな彼女に爽やかな笑顔を向けて“普通”にフランス料理を食べていた朝人。
全然違った。
私に見せる姿と全然違っていた。
朝人は彼女になった女の子にはああいう姿を見せるらしい。
大人の男の人!!みたいな姿をちゃんと持っていたらしい。
あの日の朝人の姿を思い出し、そして朝人の隣に並んでいた彼女のことも思い出し、私は朝人のことを呼んだ。
「先生。」
少しだけ朝人のことを追い掛け、ほんの少しだけ朝人の腕に触れ、呼んだ。
「お久しぶりです、先生。」
“先生”と、呼んだ。
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