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ご飯を食べた・・・。
朝人の為に作ったご飯を、味見以外で私も初めて食べた・・・。



「味、な・・・っ!!!」



あまりにも味がなさすぎて思わず叫んだ。



「全然美味しくないじゃん!!
こんなので本当に良いの!?
私これじゃあ白米のおかずに出来ないんだけど!!」



「白米にもしっかり味があるだろ!!
おかずなんてなくたって白米だけでも千寿子が炊くと旨いし!!」



「うちのお米は秋田の親戚から送って貰ってるお米だから美味しいは美味しいけどさ~・・・。」



白米の上にお醤油を少しだけ垂らした。
そしたら・・・



「何してるんだよ!!?」



朝人が物凄い勢いで怒ってきた。
まだ数口食べただけなのに急にパワーがついているのには思わず笑ってしまう。



「だって、おかずが全然味ないんだもん!!
ふりかけ持ってくればよかった!!」



「そんなの食うな!!
俺みたいな飯を食って、好きになった男と1日でも長く一緒にいられるように長生きしろよ!!」



朝人が怒りながらそんな言葉を言ってきて、かと思ったら・・・



私のお魚にお醤油を少しだけ垂らしてきた。



「1日でも短くなるようにお前はやっぱり何でも食え!!
お前が大きな病気になったり介護が必要になって好きになった男から捨てられたら、俺が面倒見てやるから!!」



「私の方が朝人よりも9歳も年下だから、朝人が面倒を見て貰う方じゃない?」



「俺はこういう生活をガキの頃から続けてるから長生きするんだよ!!
お前の面倒は俺が見てやるから、お前は不摂生な生活送ってろ!!」



病人には優しい朝人がそんなことを言ってくる。
私は朝人に告白をしたのに、そんな私に“私が好きになった男”の話をしてくる。



「まだまだ大きな病気にもなりたくないし、介護が必要になるのもまだまだ先がいいよ。
こうやって朝ご飯を一緒に食べたり、昨日みたいにデートに行ったり、喧嘩もするけど楽しく過ごして、それで一緒におじいさんとおばあさんになりたいよ。」



朝人の方は向けず、お醤油の味だけがするご飯を食べ続けながらもそう伝えた。



「一足先に爺さんになって見ててやるよ。
お前が好きな男や家族から老人ホームにぶち込まれるところ。」



「朝人だって老人ホームに入るって言ってたじゃん!!」



「俺は入るけど、俺だったらお前のことを最後まで好きな場所で好きなように生きるようにさせてやるよ。
だから不摂生しまくって、早くクソ垂らす婆さんになって捨てられろ。」



「・・・ねぇ、さっきからこの話なんなの!?
朝から34歳と25歳の若者がする話題じゃないから!!」



「爺さん婆さんの年齢を考えると俺でもマジで若者だよな~。
お前がクソ垂らす婆さんになるまであと何年掛かるんだよ。」



「ご飯中にそんな話しないでよ!!」



「そういう覚悟が出来てる男じゃねーと俺は許さないからな!?
お前のクソを喜んで片付けられる男じゃねーとダメだからな!?」



「分かったから・・・!!
一旦この話はやめてよ・・・!!」



朝人と初めて一緒に食べた朝ご飯は、ムードも何もない雰囲気で終わった。
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