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「名前も大学名も学部も何も知らないのに、あんなこと言ってよかったの?」



男の子達の後ろ姿を眺めながら言うと、朝人は大きく笑った。



「この時期の金融の内定が貰えてるなら、だいたいがそれなりの大学の奴で、それなりの履歴書を書けてそれなりの面接が出来る奴だからな!!」



「それはそうだけどさ~。」



「千寿子こそすげーじゃん。
増田財閥グループどころか増田ホールディングス採用、すげー頑張ったな!!」



「特にこれといってやりたいこともなかったし、それなら大手の方がいいかなって。
お給料も福利厚生も良いし。」



「就活なんてみんなそんなもんだろ。」



その言葉には笑いながら朝人に頷くと、朝人はまた怒った顔になった。



「ナンパしてきた奴と仲良く話してるんじゃねーよ!!」



「あれナンパだったの?」



「お前、マジか・・・。
中身ガキ過ぎるだろ・・・。」



「全然気付かなかった!!
でも朝人だって外面を気にしないで喋ってたじゃん!!」



「気持ちも頭も結構強い奴らだったからあそこまでになったんだよ!!
だから名刺渡したんだよ!!!
給料も福利厚生も大手企業に比べたら全然だけど渡したんだよ!!!」



「さっきから何怒ってるの?」



「安部のところなんて行かなきゃよかった!!」



朝人がめちゃくちゃ怒りながら私が食べているクレープを指差した。



「こんなクレープなんて何百個も買えるし、なんならこのクレープ屋ごと買えるくらい金あるからな!?」



「急に何の話?」



意味不明な話に笑いながら突っ込むと、朝人は怒り続けながら私のことを見詰めてきた。



「俺が25の時なんて今よりも何百倍も格好良かった。
お前なんかより何百倍もモテてた。」



「それはそうだろうね。
私なんて全然モテないし。」



“佐伯ちゃん”と呼ばれている私がそれは素直に認めると、朝人は少しだけ無言になった。
でもまたすぐに口を開けて・・・



「お前っていつまで経ってもガキだよな、可哀想な奴。
お前、会社ですげーモテてるってさっき安部のところで聞いてきた。」



そんな初耳なことを言ってきた。
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