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いくら広大な公園とはいえこんなに怒鳴り始めて、何人かの視線を感じながら私は朝人に声を掛ける。



「朝人、うるさいから。」



「うるさいとか言うなよ・・・!!
今は俺の悪口言うなよ・・・。」



急に朝人がトーンダウンし、あぐらをかいている足に項垂れるように俯いた。
そんな朝人を男の子達が面白そうに笑い、興味津々な顔で近寄ってくる。



「お兄さん可哀想だから、女子大生と合コンでもする?」



「大学生なんて子どもだろ・・・!!
俺を何歳だと思ってんだよ!!!」



「何歳なの?」



「34だよ!!今日34になったんだよ!!」



「めっちゃ良いじゃん!
そのくらい年上の男が好きな子もいるし、俺合コン開いてあげるよ。
このお姉さんくらい可愛い子頑張って集めるよ。」



「こいつのこと舐めてるだろ?
こいつ以上に旨い飯を作れる女がいるわけねーだろ!!」



朝人が項垂れ続けながらそう言うと、男の子達が大笑いしながらアイスを食べ終わる私のことを見下ろしてきた。



「このお兄さん、めっちゃ面倒だね。」



「普段は外面良いんだけどね。
仕事は出来るらしいよ?
めっっっちゃ大手企業の顧問もしてるし。
会計事務所の所長やってるし。」



少しだけフォローをしてあげると、男の子達が興味津々な様子で目の前でしゃがんできた。



「会計業界って、どうやったら入れるんですか?」



「資格とか特にないんですけど、新卒だと採用されないんですかね?」



「お前らみたいな空気読めない奴なんて社会人になったら通用しねーよ!!」



「社会人めっちゃハードっすね~!!」



男の子達が楽しそうに笑っていて、朝人がゆっくりと顔を上げた。
それから男の子達をジッと見詰め・・・



「営業だったらイケるな。
空気読めない奴の方が成績良かったりするんだよ。
空気読め過ぎるとテレアポも飛び込み営業も“普通”だったら出来ねーからな。
“普通”の奴は出来ねーことを空気読めない奴の方が出来ることもある。」



朝人がそんなことを言って、男の子達をバカにしたような顔で笑った。



「そんな顔面でナンパしようとするくらい何かに自信あるらしいしな。」



「お兄さんに言われたら何も言い返せさないやつ!!」



「この顔面が急に恥ずかしくなってきた!!」



男の子達がゲラゲラと笑い始めると、朝人が鞄から何かを取り出した。
クレープを食べながら見てみると名刺入れ。
そこから名刺を取り出し、まさかの男の子達に渡した。



「丁度営業も出来る奴増やそうと思ってたんだよ。
結構スタッフ増やしたから、紹介だけだと限界があるしな。
この時期の金融の総合職に内定貰えたならそれなりに使えるだろ。
興味あったら面接だけでもしてやるよ。」



朝人がそんな言葉を男の子達に伝えると、男の子達は受け取った名刺を嬉しそうに見下ろしていた。
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