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「どこまで頭を冷やしに行ってたんだよ!!!!!」
俺のことをまた“朝人”と呼んだ千寿子に怒鳴った。
俺が32歳、千寿子が23歳の年の8月に再会した。
どこをどう見ても大人の女になっていた千寿子に。
俺のことを“先生”と呼びどこかよそよそしく、そして敬語で話し掛けてきていた千寿子に。
でも、中身はちゃんとガキのままでもあるような千寿子に。
俺は怒鳴った。
“クマ凄いよ?そんな格好でどうしたの?
・・・あ、朝ご飯か。”
土曜日の朝にこんなに乱れたスーツ姿、乱れているだろう髪型、一睡もせずに千寿子を探していた今年34歳のオッサンの顔面を見ているはずの千寿子が“朝ご飯”かと言ってきた。
だから思わず怒鳴ってしまった。
自分の朝飯なんかよりも俺は千寿子を心配していたから。
熱が出てからの千寿子の様子はおかしかったから。
熱が出ているからだろうけど、千寿子の様子はおかしかった。
俺にあんなことを頼んできたのもそうだし、それ以上に佐伯さんのことについてあんな風に言ってきた。
俺に対する独占欲とかそんな話ではなく、佐伯さんの胸を見たと知っていた千寿子は俺にあんなことを聞いてきた。
佐伯さんがどんな様子だったか知っているはずの千寿子が。
“頭を冷やせ”とは言った。
身体の熱は下がったはずだからあとは頭なのだと思った。
身体の熱がまだ頭にだけ残っているのだと思った。
だから千寿子は佐伯さんのことに対してあんな風に言ったのだと思った。
だから千寿子は俺にあんなことをするよう頼んできたのだと思った。
そしたら、まさか一晩も頭を冷やしに行くとは思わなかった。
再会してから交換をした千寿子の連絡先に連絡をしても無視され続けるくらい、俺との関係を冷やしてくるとは思わなかった。
分かっていた。
もうそんなのとっくに分かっていたけど、叫ばずにはいられなかった。
再会してからも俺のことはそういう風に見ることはないと分かってはいたけれど、もう“朝1番”はないこの状況で、毎朝俺に朝飯を作ってくれている関係で、ここ1年は毎晩泊まってもいる俺に対して、俺からの連絡をないものとしてくるとは思わなかった。
終電までは“朝1番”があった引戸の前で待っていたけれど、終電がなくなった後は宛もなく探し続けた。
何故か連絡が繋がらないカヤと美鼓に悪態をつきながら、スマホに文句をつけながら、もしかしたらどこかで具合が悪くなってしまったのかもしれないと思いながらも探し続けていた。
“あの日”の千寿子の顔を思い浮かべながら。
熱が出ていた時より、吐いてしまった時より、“あの日”の千寿子はずっとずっと顔色が悪かった。
“あの日”は探しに行くことは出来なかったけれど、今ならもう探しにいけるから。
千寿子はもう今年で25歳になったし、俺が探しに行ってもおかしくはないから。
おかしくはないから・・・。
それを千寿子が受け止めてくれるかは別として、おかしくはないから・・・。
布団に横になることもなく初めてオールというものをした今年34歳になる“ガキ”が、9歳も年下の千寿子にこの口から今の気持ちを全て表現した。
朝人side...........
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「どこまで頭を冷やしに行ってたんだよ!!!!!」
俺のことをまた“朝人”と呼んだ千寿子に怒鳴った。
俺が32歳、千寿子が23歳の年の8月に再会した。
どこをどう見ても大人の女になっていた千寿子に。
俺のことを“先生”と呼びどこかよそよそしく、そして敬語で話し掛けてきていた千寿子に。
でも、中身はちゃんとガキのままでもあるような千寿子に。
俺は怒鳴った。
“クマ凄いよ?そんな格好でどうしたの?
・・・あ、朝ご飯か。”
土曜日の朝にこんなに乱れたスーツ姿、乱れているだろう髪型、一睡もせずに千寿子を探していた今年34歳のオッサンの顔面を見ているはずの千寿子が“朝ご飯”かと言ってきた。
だから思わず怒鳴ってしまった。
自分の朝飯なんかよりも俺は千寿子を心配していたから。
熱が出てからの千寿子の様子はおかしかったから。
熱が出ているからだろうけど、千寿子の様子はおかしかった。
俺にあんなことを頼んできたのもそうだし、それ以上に佐伯さんのことについてあんな風に言ってきた。
俺に対する独占欲とかそんな話ではなく、佐伯さんの胸を見たと知っていた千寿子は俺にあんなことを聞いてきた。
佐伯さんがどんな様子だったか知っているはずの千寿子が。
“頭を冷やせ”とは言った。
身体の熱は下がったはずだからあとは頭なのだと思った。
身体の熱がまだ頭にだけ残っているのだと思った。
だから千寿子は佐伯さんのことに対してあんな風に言ったのだと思った。
だから千寿子は俺にあんなことをするよう頼んできたのだと思った。
そしたら、まさか一晩も頭を冷やしに行くとは思わなかった。
再会してから交換をした千寿子の連絡先に連絡をしても無視され続けるくらい、俺との関係を冷やしてくるとは思わなかった。
分かっていた。
もうそんなのとっくに分かっていたけど、叫ばずにはいられなかった。
再会してからも俺のことはそういう風に見ることはないと分かってはいたけれど、もう“朝1番”はないこの状況で、毎朝俺に朝飯を作ってくれている関係で、ここ1年は毎晩泊まってもいる俺に対して、俺からの連絡をないものとしてくるとは思わなかった。
終電までは“朝1番”があった引戸の前で待っていたけれど、終電がなくなった後は宛もなく探し続けた。
何故か連絡が繋がらないカヤと美鼓に悪態をつきながら、スマホに文句をつけながら、もしかしたらどこかで具合が悪くなってしまったのかもしれないと思いながらも探し続けていた。
“あの日”の千寿子の顔を思い浮かべながら。
熱が出ていた時より、吐いてしまった時より、“あの日”の千寿子はずっとずっと顔色が悪かった。
“あの日”は探しに行くことは出来なかったけれど、今ならもう探しにいけるから。
千寿子はもう今年で25歳になったし、俺が探しに行ってもおかしくはないから。
おかしくはないから・・・。
それを千寿子が受け止めてくれるかは別として、おかしくはないから・・・。
布団に横になることもなく初めてオールというものをした今年34歳になる“ガキ”が、9歳も年下の千寿子にこの口から今の気持ちを全て表現した。
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