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ふざけたオジサンのお陰で爆笑しながらも広いリビングに入ると、そこには誰もいない。



「今日から小学校も春休みだしね。
みんな休みの日は朝ゆっくりだから。
朝君、朝ご飯は・・・食べてきたみたいだね、おじいちゃんのご飯を。」



「そうっすね、ジサマでも作れるくらいの飯しかうちでは昔から出てこなかったので。」



俺の返事にオジサンは優しい笑顔で深く頷き、それからどこかを指差した。



「じゃあ神社の掃除を手伝ってくれないかな?」



「はい。」



この家にも神社にも初めて来た。
ジサマとバサマが生まれ育った街。
神社に行けることも楽しみにしていた。



なのに・・・



「ちっっっさ!!!!」



家からすぐの所にある小さな神社。
駅から歩いてきた時に通りすぎてはいたけれど、まさかこんなに小さな神社のことだとは思わなかったのでここではないと思っていた。



「ジサマって“神様”って言われてたんだよな!?
“神様”なのにこんなにしょぼい神社だったのかよ!!」



あまりにも衝撃的だったので素の俺でオジサンに聞いた。
オジサンは驚くどころか大きく大きく笑って・・・



「神様なんているわけないでしょ!!
高校生にもなって神様を信じてるとか可愛いね!!」



そう言ってまるで子どもを見るような目で俺のことを見て掃除を始めた。



「いや、だってジサマのことを神様って呼んで家に来る人もいたし。
それにジサマって・・・普通じゃなかったんで。」



どこまで言っていいのか分からずそう濁しながら俺も掃除を始めると、オジサンが普通の感じで喋ってきた。



「お義父さんは色々と分かる人だったからね。」



「・・・ジサマのこと、普通じゃないことを知ってるんですか?」



「知ってるっていうか、僕もそうだから初対面の時から普通に分かってたよ。」



それには驚き神主の姿をしているオジサンの方を見ると・・・



「うちの娘2人も普通ではないからね。
でも少し勘が良いくらいの話だよ。
神様とかそんな大袈裟な。」



オジサンは楽しそうに笑いながら掃除を続けていた。
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