16 / 202
2
2-2
しおりを挟む
高校時代にカヤから聞いていた印象的な言葉を先生に教えると、先生は無言になった。
「先生がそのおじいちゃんの孫だったんだね。
当時はよく分からなかったけど、孫の先生を育ててくれた素敵なおじいちゃんだったんだね。」
「ジサマだけじゃない。」
先生が力強い声を出した。
それから私に右手を差し出してきてくれ、私は先生の右手に自分の右手を思わず重ねた。
それから怠い身体をゆっくりと地面に降ろす。
それでも先生は私の右手から手を離さなくて、むしろ私の右手を握る手に力を込めてきた。
不思議に思い先生を見上げると、先生は優しい顔で、でも熱さの込めたような目で私のことを見下ろしている。
「バサマも素敵なおばあちゃんだった。」
「そうだったんだ?」
「うん、お前の顔によく似た顔をした、素敵なバサマだった。
俺はバサマのことが大好きだった。」
その言葉には固まり、重くなってきた口を動かしながら先生の顔から視線を逸らした。
「そういえば、高校に入学をしてすぐにカヤからも言われたことがある。
“お姉ちゃんの顔によく似てる”って、それがキッカケで話し掛けてくれて、“一緒に生徒会に入らない?”って言われたんだよね。」
昔の出来事を思い出しながら、先生の右手から自分の右手を抜き取った。
「病院への付き添いまでありがとうございました。
ここから5分で家なのでここで大丈夫です。」
そう言って先生を見ることなく歩きだそうとした。
そしたら・・・
先生からまた右手を掴まれた。
「お前の実家、ボロボロだし防犯上もめちゃくちゃ不安な造りをしてるから、あそこに1人じゃ帰せねーから。」
そんなことを言われて・・・
「お前のせいで俺は昨日一睡も出来なかったんだからな!!」
めちゃくちゃ不機嫌な先生がフラフラの私を強引に歩かせ、先生が住むマンションの中に入れてきた。
「先生がそのおじいちゃんの孫だったんだね。
当時はよく分からなかったけど、孫の先生を育ててくれた素敵なおじいちゃんだったんだね。」
「ジサマだけじゃない。」
先生が力強い声を出した。
それから私に右手を差し出してきてくれ、私は先生の右手に自分の右手を思わず重ねた。
それから怠い身体をゆっくりと地面に降ろす。
それでも先生は私の右手から手を離さなくて、むしろ私の右手を握る手に力を込めてきた。
不思議に思い先生を見上げると、先生は優しい顔で、でも熱さの込めたような目で私のことを見下ろしている。
「バサマも素敵なおばあちゃんだった。」
「そうだったんだ?」
「うん、お前の顔によく似た顔をした、素敵なバサマだった。
俺はバサマのことが大好きだった。」
その言葉には固まり、重くなってきた口を動かしながら先生の顔から視線を逸らした。
「そういえば、高校に入学をしてすぐにカヤからも言われたことがある。
“お姉ちゃんの顔によく似てる”って、それがキッカケで話し掛けてくれて、“一緒に生徒会に入らない?”って言われたんだよね。」
昔の出来事を思い出しながら、先生の右手から自分の右手を抜き取った。
「病院への付き添いまでありがとうございました。
ここから5分で家なのでここで大丈夫です。」
そう言って先生を見ることなく歩きだそうとした。
そしたら・・・
先生からまた右手を掴まれた。
「お前の実家、ボロボロだし防犯上もめちゃくちゃ不安な造りをしてるから、あそこに1人じゃ帰せねーから。」
そんなことを言われて・・・
「お前のせいで俺は昨日一睡も出来なかったんだからな!!」
めちゃくちゃ不機嫌な先生がフラフラの私を強引に歩かせ、先生が住むマンションの中に入れてきた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる