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「熱・・・?」



回らない頭で考えたけどやっぱり頭は回らなくて、口だけが動いた。
そんな私を先生はバカにすることなく、心配そうな顔を続けたまま右手を伸ばしてきた。



そして・・・



その右手の手の平が私のオデコに触れ・・・



あまりにも冷たい手だからか、私の身体がピクリと動いた。



先生は少しだけ驚いた顔をしていたけれど、またすぐに心配そうな顔になった。



「すげー熱あるな、体温計は?」



「体温計・・・リビング。」



体温計を取りに行く為にフラフラと歩きだすと、先生の腕が私の腰に回ってきた。
今度は冷たくなかったけれど何故か身体がピクリと動いてしまい、何だか恥ずかしい気持ちにもなって下を向きながらリビングへと歩き続けた。



「今どき水銀の体温計かよ!!!」



リビングの棚から体温計を取り出した瞬間、私の身体を支えてくれていた先生の腕がパッと離れ、めちゃくちゃ興奮した声を上げ始めた。



そのうえ私の手から体温計も奪い取りマジマジと見ている。
懐かしそうな顔で、そして嬉しそうな顔で。



「先生、体温計・・・。」



「ああ、そうだ!!悪い!!」



謝った先生が体温計を私の方に向けてきて・・・



「え、自分でやるから・・・」



片手で私のパジャマの1番上のボタンを一瞬で外し、そこの隙間から脇に体温計を差し込んできた。
その時に体温計を持つ先生の右手の手の平が、ブラジャーもしていない私の胸に少しだけ触れて・・・。



「ンッ・・・」



思わず小さな声が出てしまい、恥ずかしくてまた下を向いた。
絶対にバカにされると思ったけれど先生は何も言わず、近くにあるちゃぶ台の座布団の上に私を促し座らせてくれた。



「水銀の体温計だと時間が掛かるからな!!
大人しく座っておけ!!」



「うん、ありがとう・・・。」



お礼を言った時、私の隣の座布団に座った先生が私の肩に手を回し・・・



自分の方に私の身体を引き寄せてきた。



「辛いなら寄りかかっておけ。」



「うん・・・。」



確かに身体は辛かったけれど、身体は温かくなってきた。
あんなに寒くて凍えそうになっていた身体が、そして身体だけではなく心まで温かくなってきた。
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