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□真坂 海神.......
“俺、海神ちゃんのこと好きなんだけど”
私の上に股がった弟君がそんなことを言ってビックリした・・・。
今まで何もそんな雰囲気がなかったし、お互いとにかくゴロゴロゆっくりのんびり過ごしているだけで。
いつからそんな感じだったのか・・・。
本当は出掛けたいと思っていたのに、私の充電に付き合ってくれていた弟君・・・。
充電中の私は絶対につまらないはずだったのに・・・。
さっきまでだったら、もしかしたら嬉しいと思っていたかもしれないけど・・・。
きっと、わたしも弟君のことが好きだったから・・・。
でも、弟君は本当はどこかに出掛けたいと思っていた・・・。
それを我慢して私に言わなかった・・・。
私は隠し事をされることが嫌いだった。
私の家族は家族の中で隠し事をしない家族だったから。
みんな何かしら隠し事はあるのだろうけど、裏表がある人や社交辞令ばかり言う人が嫌いだった。
私自身が私を演じていたからこそ、そう思うのかもしれない。
家族もそうだし、仲良くなる友達は裏表のないハッキリ言う友達が多くて。
弟君はとにかくユルユルで、裏表とか社交辞令とかそういうのとも違う分類の人で。
そのユルユル加減に私は気を許してしまったけど・・・。
先週の金曜日、星神ちゃんの名刺を見せた時に初めて真剣な顔をしているのを見た。
そして今日も・・・。
こんなに怒っている顔を初めて見た。
怒ったままの顔で私を好きと言った弟君を見る。
さっきから全くユルユルでなくなった弟君を見て思うことは・・・
出会ってからの約2年、私が見てきた弟君は本当の姿ではなったんだろうなということ。
約2年・・・。
結構な頻度で会っていて、それでも絶対にこの姿を私に見せることはなくて。
裏表とも社交辞令とも違う分類・・・。
演技なのかもしれない。
私が火事場の馬鹿力でしている演技のように、弟君のユルユルな感じは演技なのかもしれない。
そう考えると・・・
怒ったままのこの顔の方が弟君なのだと思う・・・。
この感じ“も”弟君というよりは、この感じ“が”弟君なのだと思う・・・。
掴んだままにしていた弟君の手を離すと、弟君が怖いくらい怒った顔をしながらも瞳に熱を込めた。
こういう顔はよく知っている。
私のお父さんとお兄ちゃんの顔。
お父さんとお兄ちゃんもよくこういう顔をしている。
激しい波を持っている人なのだと思う。
弟君も、私のお父さんやお兄ちゃんのように激しい波を本当は持っていた。
掴んでいた弟君の手・・・。
それを、今度は両手で握り締める・・・。
少し揺らいだ瞳を見ながら言う。
「弟君も私に気を許してよ。
話しはそれから。」
“俺、海神ちゃんのこと好きなんだけど”
私の上に股がった弟君がそんなことを言ってビックリした・・・。
今まで何もそんな雰囲気がなかったし、お互いとにかくゴロゴロゆっくりのんびり過ごしているだけで。
いつからそんな感じだったのか・・・。
本当は出掛けたいと思っていたのに、私の充電に付き合ってくれていた弟君・・・。
充電中の私は絶対につまらないはずだったのに・・・。
さっきまでだったら、もしかしたら嬉しいと思っていたかもしれないけど・・・。
きっと、わたしも弟君のことが好きだったから・・・。
でも、弟君は本当はどこかに出掛けたいと思っていた・・・。
それを我慢して私に言わなかった・・・。
私は隠し事をされることが嫌いだった。
私の家族は家族の中で隠し事をしない家族だったから。
みんな何かしら隠し事はあるのだろうけど、裏表がある人や社交辞令ばかり言う人が嫌いだった。
私自身が私を演じていたからこそ、そう思うのかもしれない。
家族もそうだし、仲良くなる友達は裏表のないハッキリ言う友達が多くて。
弟君はとにかくユルユルで、裏表とか社交辞令とかそういうのとも違う分類の人で。
そのユルユル加減に私は気を許してしまったけど・・・。
先週の金曜日、星神ちゃんの名刺を見せた時に初めて真剣な顔をしているのを見た。
そして今日も・・・。
こんなに怒っている顔を初めて見た。
怒ったままの顔で私を好きと言った弟君を見る。
さっきから全くユルユルでなくなった弟君を見て思うことは・・・
出会ってからの約2年、私が見てきた弟君は本当の姿ではなったんだろうなということ。
約2年・・・。
結構な頻度で会っていて、それでも絶対にこの姿を私に見せることはなくて。
裏表とも社交辞令とも違う分類・・・。
演技なのかもしれない。
私が火事場の馬鹿力でしている演技のように、弟君のユルユルな感じは演技なのかもしれない。
そう考えると・・・
怒ったままのこの顔の方が弟君なのだと思う・・・。
この感じ“も”弟君というよりは、この感じ“が”弟君なのだと思う・・・。
掴んだままにしていた弟君の手を離すと、弟君が怖いくらい怒った顔をしながらも瞳に熱を込めた。
こういう顔はよく知っている。
私のお父さんとお兄ちゃんの顔。
お父さんとお兄ちゃんもよくこういう顔をしている。
激しい波を持っている人なのだと思う。
弟君も、私のお父さんやお兄ちゃんのように激しい波を本当は持っていた。
掴んでいた弟君の手・・・。
それを、今度は両手で握り締める・・・。
少し揺らいだ瞳を見ながら言う。
「弟君も私に気を許してよ。
話しはそれから。」
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