【完】女神達が愛した弟(カットページ掲載済2023.6.17)

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□天野 弟.......



「何・・・！？やめて・・・っ！！」



海神ちゃんのシャツに手を掛けたら、俺の手を掴み身体を必死に動かして俺の下から抜け出そうとしている。



そんな必死な姿に悲しくなった。



そこまでして俺には触られたくないのだと分かった。
俺は違うらしい。
俺はそういうのとは違うらしい。



好きな奴がいるから。
海神ちゃんには好きな奴がいるから。



充電中の姿を見せられて、俺がそいつを悪く言うと必死な顔で庇って・・・
初めて俺に泣いてるところを見せるくらい好きな奴がいるらしい。



俺の手を掴んで、驚いた顔をしている海神ちゃんを見下ろす・・・。



分かっていた・・・。



そういう対象として見られていないことは分かっていた・・・。



だから、ゆっくりでいいから俺のことを男として見て貰えればいいと呑気に考えていた。
それくらいに海神ちゃんには男の気配が驚く程していなかったから。



でも・・・



24歳の夏に出会ってから、俺はずっとお預け状態で・・・。
好きな女の子が無防備な姿でベッドの上で横になっている中、俺は2年以上も我慢していて。



昔から演技には結構自信があったけど、ベッドで横になる女の子を目の前に・・・しかも好きな女の子を目の前に何でもないフリをする演技はめちゃくちゃ辛かった。



俺が苦しんでいる中、どうやら他の奴が・・・



それも多分ヤバイ奴が海神ちゃんに近付いてきたらしい。



先週の金曜日、海神ちゃんが俺に見せてきた名刺はうちの会社の隠れ家の1つである喫茶店だった・・・。



調査会社に依頼をして海神ちゃんのことを調査している可能性がある・・・。



そんなヤバイ奴が海神ちゃんに近付いて・・・



海神ちゃんもそいつを好きになっている・・・。



俺のこれからの人生全てを捧げてでも感謝をしたい海神ちゃんに・・・。



海神ちゃんは女神だった・・・。



俺の女神だった・・・。



俺の兄貴であり・・・
俺の“お姉ちゃん”だった“アヤメ”。
そんな“アヤメ”にヤバイことをしていたあの男。
そいつを殺すための情報を届けてくれていた女神だった・・・。