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そんなよく分からない質問をされてしまい、首を傾げた。



「俺は黒くて汚いから、お前みたいに綺麗に輝いてる奴に寄っていくのかもな。」



弟さんがそう言ってからわたしに大きな背中を向けて寝室を出ていこうとする・・・。



弟さんの大きな背中を見ながら、わたしは言った・・・。



「黒くて汚くても、その調査報告書を依頼主は待っているんですよね?」



わたしが聞くと、弟さんはゆっくりとわたしに振り向いた。



「その調査がどんなに黒くても汚くても、その調査報告書に書かれた内容まで黒くて汚い内容だとしても。
その黒くて汚い“本物”を知って、依頼主の何かしらの決断に繋がるのだとしたら・・・それは黒くても汚くても“本物”だと思います。」



「黒くても汚くても本物・・・?」



「本物を知らなければ、偽物や別物に気付くことは出来ません。」



振り向いたまま固まっている弟さんの所に今度はわたしが歩いていく。



「わたしは調査対象者が誰なのか分からないくらいの目しかありませんが、社長と弟さんが立ち上げた会社は“本物”だと思っています。」



「そうか・・・?」



「まだ半年ですが社長と弟さんを見ていて感じたことは、とても優しい人達だったから。」



弟さんを見上げて笑い掛けた。



「ご家庭の事情を知らなかったので、てっきり全てが足りているからこそ誰かに優しく出来るのかと思っていました。
でも今日少しお話をして知りましたが、足りていない環境で育った方達だったんですね。」



「足りてない、か・・・。
父親もいなかったし金もなかったしな・・・。」



「父親なんていなくてもいいんですよ。
わたしが言いたいのはそういうことではなくて。」
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