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“酔っている”と自己申告出来ている弟さんとスイートルームに戻った。
「弟さん、本当にありがとうございました・・・!!」
1円も減っていないお財布を両手で持ち、もう1度弟さんに頭を下げる。
「もう一生行けねーらしいからな、記念に・・・。
だから忘れんなよ?」
お会計の時にも言われたこの言葉をまた言われた。
それにわたしは頭を上げて、また何度も頷く。
「お仕事でしたけど、なんだかデートみたいになりましたね!!
最後のバーはプライベートになりましたし、わたし初めて男の人とデートみたいなことをしました!!」
そう言って笑うと、弟さんは少し悲しそうな顔で笑った。
「喫茶店で誘いに乗った時は何したんだよ?」
「一緒に座ってお話をして、連絡先を交換しました。」
「・・・それだけか?
その後会ったりしてねーの?」
「たまに会ってますよ?」
わたしは答えながらスイートルームの部屋の中を散策する。
弟さんは高級そうな見た目のソファーに座りわたしを見ている。
「今も会ってるのか・・・。
それはデートじゃねーの?」
弟さんがそんな変なことを聞いてくるので思わず立ち止まった。
「デートなわけないじゃないですか。」
「なんでだよ?」
「え・・・?わたしですよ?」
「本橋だからなんだよ?
相手はデートだと思ってるかもしれねーだろ?」
弟さんは自己申告通り酔っているらしい。
そんな弟さんがゆっくりと立ち上がり、少し怒った顔でわたしに近付いてきた。
「2人で会ってるのかよ?」
「そういう時もありますけど・・・。」
「2人で出掛けてる?」
「それも・・・ありますけど・・・。」
「何が無理だった・・・?」
弟さんが少し怒った顔のままそんなことを聞いてきて、どんどん近付いてくる。
そんな初めての感じにわたしは自然と後ろに下がってしまって・・・。
気が付いたら、広い広い寝室の中・・・
「育ちが悪い感じとか、分かった・・・?」
「育ちですか・・・?」
「こればっかりは・・・隠せねーから・・・。
整った環境を俺は知らねーから・・・。
知らねー物を知ってるようには見せられない・・・。」
わたしの膝の後ろにベッドがあるのが分かる・・・。
こんなところまで弟さんに追い詰められるように来てしまった・・・。
弟さんは明らかにいつもと様子が違う。
酔っているのだとは思うけど・・・。
酷く悲しそうな顔で、苦しそうな顔でわたしを見下ろしていて・・・
そんな顔をしながら・・・
両手でソッとわたしの頬を包んだ・・・。
「弟さん、本当にありがとうございました・・・!!」
1円も減っていないお財布を両手で持ち、もう1度弟さんに頭を下げる。
「もう一生行けねーらしいからな、記念に・・・。
だから忘れんなよ?」
お会計の時にも言われたこの言葉をまた言われた。
それにわたしは頭を上げて、また何度も頷く。
「お仕事でしたけど、なんだかデートみたいになりましたね!!
最後のバーはプライベートになりましたし、わたし初めて男の人とデートみたいなことをしました!!」
そう言って笑うと、弟さんは少し悲しそうな顔で笑った。
「喫茶店で誘いに乗った時は何したんだよ?」
「一緒に座ってお話をして、連絡先を交換しました。」
「・・・それだけか?
その後会ったりしてねーの?」
「たまに会ってますよ?」
わたしは答えながらスイートルームの部屋の中を散策する。
弟さんは高級そうな見た目のソファーに座りわたしを見ている。
「今も会ってるのか・・・。
それはデートじゃねーの?」
弟さんがそんな変なことを聞いてくるので思わず立ち止まった。
「デートなわけないじゃないですか。」
「なんでだよ?」
「え・・・?わたしですよ?」
「本橋だからなんだよ?
相手はデートだと思ってるかもしれねーだろ?」
弟さんは自己申告通り酔っているらしい。
そんな弟さんがゆっくりと立ち上がり、少し怒った顔でわたしに近付いてきた。
「2人で会ってるのかよ?」
「そういう時もありますけど・・・。」
「2人で出掛けてる?」
「それも・・・ありますけど・・・。」
「何が無理だった・・・?」
弟さんが少し怒った顔のままそんなことを聞いてきて、どんどん近付いてくる。
そんな初めての感じにわたしは自然と後ろに下がってしまって・・・。
気が付いたら、広い広い寝室の中・・・
「育ちが悪い感じとか、分かった・・・?」
「育ちですか・・・?」
「こればっかりは・・・隠せねーから・・・。
整った環境を俺は知らねーから・・・。
知らねー物を知ってるようには見せられない・・・。」
わたしの膝の後ろにベッドがあるのが分かる・・・。
こんなところまで弟さんに追い詰められるように来てしまった・・・。
弟さんは明らかにいつもと様子が違う。
酔っているのだとは思うけど・・・。
酷く悲しそうな顔で、苦しそうな顔でわたしを見下ろしていて・・・
そんな顔をしながら・・・
両手でソッとわたしの頬を包んだ・・・。
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