【完】大きなアナタと小さなわたしのちっぽけなプライド(他サイトカットページ掲載済)

11

11-4

「おじゃまします・・・」



電車を少し乗り、青田さんの家に来た。



「流石、営業部のエースですね？」



場所は会社からも近い都内で、マンションも新しく立派、
2LDKの広くて綺麗な部屋は、生活感はあるけど綺麗に整頓されている。
営業事務の女の人が「デスクも綺麗」と言っていたのが頷ける。



「今度、水沢さんの家にも行かせて？」



そう言いながら、リビングに来たわたしの鞄を手に取り、置いてくれた。



「わたしの部屋狭くて小さいから、青田さん入れないです。」



結構本当のことなので真面目に言ったのに、青田さんが大笑いしている。
ソファーに促してくれ、わたしは柔らかいソファーに静かに座った。



「そんなキョロキョロすんなって！」



笑いながらキッチンに行き、多分お茶の準備をしてくれている。



「ちゃんと綺麗にしてるなって。」



「大学1年の頃とかグッチャグチャな部屋に住んでたけどな。
自分が身に付ける物とか、自分が暮らす所とかさ、ちゃんと綺麗にしねーとなって・・・」



わたしの前のローテーブルに、冷たいブラックコーヒーを入れたグラスを置いてくれた。
わたしはペコリとお辞儀をする。



「そんな、見本になるような・・・男がいてさ。
俺が知る中で、1番男らしい奴。」



そう言って、嬉しそうに笑う青田さん。



「今度さ、あいつにも水沢さん紹介させて？」



ブラックコーヒーを口に含みながら、わたしは頷く。
苦いはずのブラックコーヒーは、この大きな人の言葉で甘く感じた。