【完】大きなアナタと小さなわたしのちっぽけなプライド(他サイトカットページ掲載済)

Bu-cha

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パートの女の人3人と、飯田さんが定時に帰って行った。
今日は、まだまだこれから。



「のんちゃん、少し休憩してきて?」



「いいですか?ごめんなさい。
ちょっと自販機行ってきます。
何か買ってきますか?」



「大丈夫、僕達にはコレがあるから。」



そう言いながら、岸部長と宮本さんが栄養ドリンクを持ち上げたのを見て、わたしは笑いながら頷いた。




頭を一旦クリアにしたくて、少しゆっくりと歩く。




自販機に近付くと、青田さんがいた。
青田さんが、営業の男の人と自販機の所で楽しそうに話している。




わたしが近付くと、青田さんがすぐにわたしに気付く。




「水沢さん、お疲れ様!」



「お疲れ様です。」



そう言って、自然とお互い少しジッと見詰め合う。



「のんちゃん、お疲れ様~!」



もう1人の顔見知りの営業の男の人にそう言われ、わたしも返事をする。



「健吾、のんちゃんだよ、知らない?
みんな、“のんちゃん”って呼んでるぞ?」



「知ってる、でも、“のんちゃん”とかダメだろ。」



青田さんの言葉に、わたしはお財布を開けようとした手を止める。



「どう見たって、“水沢さん”だろ!」



「はあ?どう見たって、“のんちゃん”だろ?」



「お前・・・本気で言ってんの!?
ほら、見てみろよ!こんなに・・・」



そう言いながら、青田さんは隣に立つ男の人の肩にバンっと手を乗せ・・・



「こんなに、“水沢さん”だろ!!!」





もう、我慢出来ず・・・





「健吾、お前が変なこと言ってるから、のんちゃん笑ってるじゃん!」



「え!!!??俺?俺か!?」




笑いながら、青田さんを見上げる。
青田さんは照れながら、そんなわたしを見下ろす。




「あ、これ・・・いる?」




と、照れながら・・・




大きな手に持った、ブラックの缶コーヒーを渡してきた。





それを見て、わたしは驚く。






「健吾、のんちゃん可哀想だろ?
のんちゃんにブラックのコーヒーなんて飲めるわけないだろ?」



「え!!!??そうか!!??
水沢さん、どう見てもブラックのコーヒーだろ!!!??」



「お前の目・・・ぶっ壊れてるの?
なんでお前が営業部のエースなわけ?
のんちゃん、俺なんか甘いの買ってあげるから、何飲みたい?」



そう言って、男の人が小銭をジャラジャラと手に取る。
青田さんは、大きな手の中にある缶コーヒーをクルクルと回し、困った顔でそれを見下ろしている。



わたしは、その大きな手に、ゆっくりと右手を伸ばす。



そして、少しだけ、ほんの少しだけ、青田さんの大きな手に触れ・・・




ブラックの缶コーヒーをゆっくりと引き抜いていく。




「こっち、貰っていきますね!」
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