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「のんちゃん、お疲れ様~。
あ、これあげるよ、あめ玉ちゃん!」
配属されて数日、麻美先輩と一緒に他の部署に行った時、近くにいた男の先輩から飴を貰う。
「ありがとうございます。」
そう言って飴を受け取り・・・
部署の自分のデスクに戻り、お菓子が沢山溜まっていくデスクの端を見て、ため息を吐く。
「のんちゃんって、お菓子好きじゃないでしょ?」
そんなわたしに気付いたのか、麻美先輩に指摘される。
「バレました?わたしお菓子はあまり食べなくて。
食べないのに貰わない方がいいんですかね?
ハッキリ断った方がいいですか?」
「いいじゃない。」
そう言って、麻美先輩がわたしを真っ直ぐ見詰める。
こんな風に、誰かにわたしを真っ直ぐと見て貰ったのは初めてかもしれない、と気付いた。
「使える武器は使ってしまいなさい。
食べないことを指摘されたとしても、「今溜めてる所」とか嘘ではないこと言えばいいのよ。
お菓子を貰うかよりも大切なことは・・・」
麻美先輩が一瞬黙り、綺麗な長い足を組みながら、集まった資料に手を乗せた。
「なんとしてでも、期限厳守でコレを提出させること!
コレが出てこないと私達の仕事はどんどん後ろにずれ込む。
私達の仕事は1つずつは簡単かもしれないけど、それが大量にあるとどうしても時間が必要。」
麻美先輩の迫力に、わたしは息を呑む。
「使ってみなさい、のんちゃんらしい武器を。
それがのんちゃんの本当の姿だとしなくてもいいじゃない。
こんな小さな箱の中で、のんちゃんの本当の姿を見せなくてもいいと思うわ。」
「武器・・・ですか・・・」
武器なんて、わたしにあるのか不安になっていると、麻美先輩がわたしの両手を取り立たせる。
「あるじゃない、立派な使える武器が。
私じゃ真似出来ないような、強力な武器が、ちゃんとあるじゃない。」
「ありますか?わたしに・・・?」
怖いくらい綺麗な麻美先輩がわたしを見下ろし、満足気に笑う。
「その少女のように可愛い顔と、誰もが守りたくなるこの身体・・・。」
ずっとコンプレックスに思っているそのことを言われ、わたしは身体が強張る。
「最高じゃない。使ってみなさいよ。」
麻美先輩が、綺麗な指でわたしの顎に触れ、クイッと顔を上げられる。
そして、わたしの目をジッと見てくる・・・
「のんちゃん、あなた・・・本当は私みたいなの飼ってるわね。」
「飼う・・・?」
「今年の新卒採用、よくやったじゃない、マグレかもしれないけど。」
わたしの顎から綺麗な指を離す。
「時間がないから、詰め込みになるわよ?」
麻美先輩のさっきからの言葉に、わたしの心が生まれて初めての動き方をしていく・・・
「教えてあげる、社内の人間を自分の下に敷く方法を。」
「あ、麻美さ~ん?
のんちゃんにあんまり変なこと教えないでね~?」
岸部長が、小さな声で麻美先輩に声を掛ける。
「部長、会社を動かしてるのは、ココです、経理です。
でも、そんなことは気付かれないように、私達はひっそりと、みんなを下に敷いて、会社を回していくの・・・。」
麻美先輩がわたしを真っ直ぐと見る・・・
「最高じゃない?」
妖しい笑顔で・・・。
あ、これあげるよ、あめ玉ちゃん!」
配属されて数日、麻美先輩と一緒に他の部署に行った時、近くにいた男の先輩から飴を貰う。
「ありがとうございます。」
そう言って飴を受け取り・・・
部署の自分のデスクに戻り、お菓子が沢山溜まっていくデスクの端を見て、ため息を吐く。
「のんちゃんって、お菓子好きじゃないでしょ?」
そんなわたしに気付いたのか、麻美先輩に指摘される。
「バレました?わたしお菓子はあまり食べなくて。
食べないのに貰わない方がいいんですかね?
ハッキリ断った方がいいですか?」
「いいじゃない。」
そう言って、麻美先輩がわたしを真っ直ぐ見詰める。
こんな風に、誰かにわたしを真っ直ぐと見て貰ったのは初めてかもしれない、と気付いた。
「使える武器は使ってしまいなさい。
食べないことを指摘されたとしても、「今溜めてる所」とか嘘ではないこと言えばいいのよ。
お菓子を貰うかよりも大切なことは・・・」
麻美先輩が一瞬黙り、綺麗な長い足を組みながら、集まった資料に手を乗せた。
「なんとしてでも、期限厳守でコレを提出させること!
コレが出てこないと私達の仕事はどんどん後ろにずれ込む。
私達の仕事は1つずつは簡単かもしれないけど、それが大量にあるとどうしても時間が必要。」
麻美先輩の迫力に、わたしは息を呑む。
「使ってみなさい、のんちゃんらしい武器を。
それがのんちゃんの本当の姿だとしなくてもいいじゃない。
こんな小さな箱の中で、のんちゃんの本当の姿を見せなくてもいいと思うわ。」
「武器・・・ですか・・・」
武器なんて、わたしにあるのか不安になっていると、麻美先輩がわたしの両手を取り立たせる。
「あるじゃない、立派な使える武器が。
私じゃ真似出来ないような、強力な武器が、ちゃんとあるじゃない。」
「ありますか?わたしに・・・?」
怖いくらい綺麗な麻美先輩がわたしを見下ろし、満足気に笑う。
「その少女のように可愛い顔と、誰もが守りたくなるこの身体・・・。」
ずっとコンプレックスに思っているそのことを言われ、わたしは身体が強張る。
「最高じゃない。使ってみなさいよ。」
麻美先輩が、綺麗な指でわたしの顎に触れ、クイッと顔を上げられる。
そして、わたしの目をジッと見てくる・・・
「のんちゃん、あなた・・・本当は私みたいなの飼ってるわね。」
「飼う・・・?」
「今年の新卒採用、よくやったじゃない、マグレかもしれないけど。」
わたしの顎から綺麗な指を離す。
「時間がないから、詰め込みになるわよ?」
麻美先輩のさっきからの言葉に、わたしの心が生まれて初めての動き方をしていく・・・
「教えてあげる、社内の人間を自分の下に敷く方法を。」
「あ、麻美さ~ん?
のんちゃんにあんまり変なこと教えないでね~?」
岸部長が、小さな声で麻美先輩に声を掛ける。
「部長、会社を動かしてるのは、ココです、経理です。
でも、そんなことは気付かれないように、私達はひっそりと、みんなを下に敷いて、会社を回していくの・・・。」
麻美先輩がわたしを真っ直ぐと見る・・・
「最高じゃない?」
妖しい笑顔で・・・。
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