【完】初めてのベッドの上で珈琲を(カットページ掲載済2023.5.13)

Bu-cha

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数日後・・・




「剛士君!!おはよう!!!」



私が起きた時と1ミリも動いていない剛士君の身体を大きく揺らしながら今日も起こす。
それでも勿論今日も起きなくて・・・。



それを何度も何度も繰り返すとやっと瞼を薄く開き・・・私を見て幸せそうな顔をした。
今日も“あやめちゃん”に少し会えてタイムマシーンに乗れたのかもしれない。



「朝ご飯、食パンだけで本当にいいの?」



お父さんはまた海外に行っていて、それからは朝ご飯も作っていなくて・・・。



「食パンもいらねー・・・。
もっとギリギリまで寝てる・・・。」



三食ちゃんと食べないと死んでしまうはずの剛士君がこんなことを言い出したから。



「あ、でもアイスコーヒー1つ・・・。」



今日もそう言われ、私は自然に笑いならベッドを立ち上がった。



キッチンでアイスコーヒーを準備し、それと・・・。
両手でそれを持ってまた私の部屋へ。



オババが使っていた部屋を剛士君の部屋にしたのに、そこに荷物だけを置いた剛士君はリビングと私の部屋だけにしかいない。



私の部屋に入ると今日も勿論、剛士君はまだベッドに寝ている。
剛士君の足の方に私が座ると剛士君はやっとゆっくりと起き上がり・・・
今日も眠そうな顔で私を見ている。



それに笑いながら瞬きをし・・・



「アイスコーヒーです!!
今日の面接は午前中6件に、午後に13件・・・それと、今日こそはお仕事の後に前の部屋の荷物を少しでも片付けましょう!
弟さんが1人、家を出ようとしていて自立する良い機会ですので!!
この部屋に戻るまで眠くならず、全部を頑張れる特別な“薬”を入れました!!」



「ん・・・」



剛士君がアイスコーヒーを一気に飲み、私を見た。
今日は特別な“薬”だからか、いつもよりもっと剛士君の目に“気”が込められた。



それに笑いながら、もう片方の手に持っていた小さめなグラスを渡す。



「サービスの牛乳です!!
少なめにしてあります!!」



いつものように幸せな顔をした剛士君がサービスの牛乳を受け取り、一気に飲んだ。



「見付けてください、また。
あの大きな会社の新鮮な血となる人を、また見付けてください。剛士君。」



「見付けてくる。
俺はかくれんぼで遊ぶのが得意だからな。」



いつもの返事をした後に、剛士君がイタズラをする時の子どものような顔で笑った・・・。
そんな顔で笑う剛士君の上唇の上・・・そこに少しついた牛乳を私は瞬きをしながら指先で拭った。



「あっちの部屋の片付けもすぐに終わらせる。
早く帰って、瞳の処女貰わねーといけないからな。」



「私は処女じゃないよ・・・。」



「どっからどう見ても処女だろ!!」



剛士君が大笑いをしながら私にアイスコーヒーと牛乳が入ったグラスを渡し、勢い良く立ち上がった。



そして、私を振り返った。



「“アヤメ”と“剛士”の初めて、それに瞳の初めてを貰い続けてるこのベッドの上で飲む珈琲も牛乳も、美味いな!!
今日も我が家の珈琲店は美味すぎて、他の店で飲めねーよ!!」



「それは・・・ありがとうございました。」



恥ずかしい言葉に照れてしまうけど、下を向かずに剛士君を見て瞬きを繰り返した・・・。



そして、とりあえず言ってみた・・・。
今日も裸の剛士君に、言ってみた・・・。









「あの・・・毛、生えてきてるよね?」



「は・・・?」





剛士君が不思議そうに私の視線を辿り、自分の下半身を見下ろし・・・





「永久脱毛だぞ・・・。
マジか、信じられねー・・・。」





そして、私に視線を戻し・・・





「俺の奥さん、俺より見付けるの得意過ぎるだろ!!!」




大笑いで笑いながら、筋肉のよくついた綺麗な身体でシャワーを浴びにお風呂に向かった。




男の人だけど私より綺麗な剛士君の裸を・・・勿論、何度も瞬きをして記憶した。





だって、私は勉強不足で・・・





色々と勉強しないといけないから・・・。





言い訳とかではなくて、たぶん・・・。






昨日も私の処女を貰ってもらったベッドの上で、空っぽになったアイスコーヒーのグラスと牛乳のグラスを見下ろし笑顔になる。






アヤメさん、剛士君、私・・・
3人の初めてのベッドで、懐かしいホット珈琲とサービスのホットミルクを旦那さんに渡すのは、もう少し先の未来のお話・・・。





そんな未来を楽しみにしながら、今日も2人が1番幸せな顔でいられる写真を撮っていく。





私の瞳のレンズで・・・。





そして・・・





シャッターの音が聞こえ、そっちを見ると剛士君がスマホを私に向けていた・・・。





この毎日同じやり取りが出来る幸せを感じながら、今日もベッドから立ち上がる・・・。





少しだけベッドを振り返ると、この数日間の剛士君との写真を思い出せる。
全てを、鮮明に・・・
















「朝からそんな処女みたいな顔すんなよ!!」









今日も私は処女らしいので、夜にはまたこのベッドで初めてを貰われる・・・。














end.......
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