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注文のカウンターから移動し、“アヤメ”はホットミルクが出てくるのを並んで待っていた。
そしたら、“アヤメ”の後ろに並んでいたスーツの男がバージンの笠原さんに話し掛けた。
「瞳ちゃん、連絡来るのずっと待ってるんだけど~!」
「連絡ですか?」
「・・・この前、名刺の裏に個人の連絡先を書いて渡したじゃん!」
「はい、あれは4日前ですね。
ホットコーヒーに珍しく砂糖を2本入れていた日でした。」
「・・・そうだったかも。
そこまで俺のこと覚えててくれてるのに、連絡はくれないの?」
「連絡ですか?
あの・・・何のご連絡をすればいいのでしょうか・・・。
新しいメニューが出た時などですか・・・?」
バージンの笠原さんがそんな面白すぎることを言ったので、“俺”は笑いを堪えるのが大変になってきた。
わざとではなく本気で言っているのが余計に面白い。
「瞳ちゃん鈍過ぎだって!!
だから30にもなるのにカフェのバイトなんだよ~!!!
カフェのバイトしかしたことないから、そんな感じなんだよ!!!
別の男からも言われてたの聞いたことあるけど、俺も本当にそうだと思うよ!!!」
自分が全く相手にされていないからと、男がそんなことをいってバージンの笠原さんに当たり散らした。
こういう男はいる。
こういう男はよくいる。
バージンの笠原さんにはキツイだろうと思い見てみると・・・
笠原さんは可愛い上目遣いで一瞬だけその男を見た後、めちゃくちゃ可愛い笑顔で笑った。
「私はこの店が大好きなんです。
この店が大好き過ぎて、正社員のお誘いを断ってしまうほどで。
正社員になると別の店舗に行かないといけなかったり、本社勤務になったりもするので。」
そう言って笑った後・・・。
店内に視線を移し、笑った・・・。
目をキラキラと輝かせながら、どこか懐かしい顔で・・・めちゃくちゃ可愛い笑顔で・・・。
「ホットミルクです。」
男の店員が“アヤメ”にホットミルクを渡してくれ、それを受け取る。
それからバージンの笠原さんを見ると、まだ男に何かを言われていた。
その後ろには人も並んでいるからか、バージンの笠原さんはその列を何度か見ている。
記憶力も良く接客もよく出来るのに、あんなに“幼女”みたいな“少女”みたいなバージンの笠原さんにはこういう男の対応は難しいのだろうと思った。
なので、言った。
普段はこんなことは絶対に出来ない。
“アヤメ”でも“剛士”でも出来ない。
“俺”はヒーロー2人の話し方や仕草、動作しか真似が出来ないから。
でも、言った。
“アヤメ”でも心は“男”だから。
俺もヒーローに憧れていたから。
“アヤメ”の姿だけど、言った。
「瞳は良い女だね。」
そう言ってから、スーツの男の隣に歩いた。
そしたら、“アヤメ”の後ろに並んでいたスーツの男がバージンの笠原さんに話し掛けた。
「瞳ちゃん、連絡来るのずっと待ってるんだけど~!」
「連絡ですか?」
「・・・この前、名刺の裏に個人の連絡先を書いて渡したじゃん!」
「はい、あれは4日前ですね。
ホットコーヒーに珍しく砂糖を2本入れていた日でした。」
「・・・そうだったかも。
そこまで俺のこと覚えててくれてるのに、連絡はくれないの?」
「連絡ですか?
あの・・・何のご連絡をすればいいのでしょうか・・・。
新しいメニューが出た時などですか・・・?」
バージンの笠原さんがそんな面白すぎることを言ったので、“俺”は笑いを堪えるのが大変になってきた。
わざとではなく本気で言っているのが余計に面白い。
「瞳ちゃん鈍過ぎだって!!
だから30にもなるのにカフェのバイトなんだよ~!!!
カフェのバイトしかしたことないから、そんな感じなんだよ!!!
別の男からも言われてたの聞いたことあるけど、俺も本当にそうだと思うよ!!!」
自分が全く相手にされていないからと、男がそんなことをいってバージンの笠原さんに当たり散らした。
こういう男はいる。
こういう男はよくいる。
バージンの笠原さんにはキツイだろうと思い見てみると・・・
笠原さんは可愛い上目遣いで一瞬だけその男を見た後、めちゃくちゃ可愛い笑顔で笑った。
「私はこの店が大好きなんです。
この店が大好き過ぎて、正社員のお誘いを断ってしまうほどで。
正社員になると別の店舗に行かないといけなかったり、本社勤務になったりもするので。」
そう言って笑った後・・・。
店内に視線を移し、笑った・・・。
目をキラキラと輝かせながら、どこか懐かしい顔で・・・めちゃくちゃ可愛い笑顔で・・・。
「ホットミルクです。」
男の店員が“アヤメ”にホットミルクを渡してくれ、それを受け取る。
それからバージンの笠原さんを見ると、まだ男に何かを言われていた。
その後ろには人も並んでいるからか、バージンの笠原さんはその列を何度か見ている。
記憶力も良く接客もよく出来るのに、あんなに“幼女”みたいな“少女”みたいなバージンの笠原さんにはこういう男の対応は難しいのだろうと思った。
なので、言った。
普段はこんなことは絶対に出来ない。
“アヤメ”でも“剛士”でも出来ない。
“俺”はヒーロー2人の話し方や仕草、動作しか真似が出来ないから。
でも、言った。
“アヤメ”でも心は“男”だから。
俺もヒーローに憧れていたから。
“アヤメ”の姿だけど、言った。
「瞳は良い女だね。」
そう言ってから、スーツの男の隣に歩いた。
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