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剛士君と2人で無言で歩く・・・。
でも、私の手を・・・指をしっかり絡めて、強く強く握り締めてくれている。
真夏の暑い夜の中、汗で2人の手は汗だくだったけれど、どちらも離すことはなく・・・



「私の家の方でよかったの?」



私の家に着いた。
剛士君は優しい笑顔で頷き、スーツ姿のままリビングの仏壇へすぐに向かった。



剛士君が真剣な顔で両手を合わせる姿を瞬きをしながら見て、私も剛士君の隣に立つ。
私もいつも通り両手を合わせて目を開けると・・・剛士君はまだ両手を合わせていた。



剛士君が終わるのを待っていたら、結構長い時間で・・・。



その長い時間を待っていたら・・・



「・・・わ!!!」



と、声がして・・・。
見てみると、大きなバッグを持ったお父さんだった。



「お父さん、今回は帰ってくるの早いね?
いつも何ヵ月も帰ってこないのに。」



昔は海外に行くと数ヶ月帰って来なかったのに、今回は数日で帰って来て少し驚いた。
でも、私の驚きよりもお父さんが驚いている顔の方が凄くて・・・。



驚いた顔で私の隣に立つ剛士君を見ている。



「こんばんは、お父さん。
お邪魔しています。」



剛士君が嬉しそうな顔でお父さんに挨拶をすると、お父さんは焦りながらお辞儀だけをして・・・



少しだけ怒った顔で私を見た・・・。



何で怒っているのかよく分からずお父さんを見ていると、お父さんはもう1度だけ剛士君を少し見て・・・



「瞳の彼氏なんですか・・・?」



と、聞いてきた。
剛士君はそれに困った顔で笑い、私を見てくる。



「いいのかな・・・?
俺がいいのかな・・・?」



悲しそうに笑ってそう言うので、私は瞬きをしてから頷こうとした。



頷こうとしたのに・・・



「お父さんはどうかと思う。」



と、お父さんが口出しをしてきた。
30歳になった娘の恋愛に急に口出しをしてきた。



それに驚いていると、剛士君が小さく笑った・・・。



「そうですよね、ごめんなさい・・・。
本当に、ごめんなさい・・・。」



剛士君が優しい笑顔で、凄い優しい笑顔で私を見る・・・。



「ごめんな、瞳・・・。
こんなことになって、本当にごめんな・・・。
どうやって償えばいいのかまだ分からないけど、どうにかするから・・・。
瞳が1番幸せな顔でいられる写真、俺が探してくるから・・・。」



「剛士君・・・。」



悲しそうな顔ではなく、優しい優しい笑顔で剛士君が私を見下ろす。



「“アヤメ”のバージン貰ってくれて、本当にありがとうな・・・。」



剛士君がそう言って・・・



仏壇に最後に深く深くお辞儀をした後に歩きだそうとした・・・



歩きだそうとした時・・・



「アヤメちゃんと知り合いなの・・?」



と、お父さんが聞いてきた。
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