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私の長い長い写真の現像を、剛士君は全て入力してくれた。
私は何度も何度も瞬きをして、パソコンの画面と剛士君のタイピングの手を交互に見ていく。
瞬きは、私のシャッター。
それを多めにするとその分が連続で写真に撮れる。
本当に写真を撮れるわけではないけれど、私は撮れているのだと思っている。
だって、本当に鮮明な写真のようだから。
そう思いながら最後の言葉を言った時、剛士君のタイピングの指も止まった・・・。
その指を見る・・・。
綺麗だけど男の人の指・・・。
アヤメさんとは違う男の人の指をしていた・・・。
剛士君の指を見ながら瞬きをし、シャッターを押した。
「ここまで凄いのか・・・。」
私の後ろにいる剛士君の声ではなく、すぐ隣に人が立っていたことにやっと気付き顔を上げると・・・副社長が立っていた。
副社長が面白そうな顔で私を見下ろす。
「笠原さんがここまで凄いとは“俺”は思わなかった。
俺には分からなかったな・・・。
剛士、よく見付けた。」
「俺が見付けたんじゃない。
瞳が俺のことを見付けたんだよ。」
「そうだとしても・・・。
そうだとしても、よくうちの会社まで連れてきてくれたな。」
「それは簡単だった。
今までどうやって隠れて逃げていたのか不思議なくらいに、簡単だった。」
剛士君が椅子を後ろに引き、片手で私の太ももの横を優しくポンポンと叩き・・・私は恥ずかしい気持ちの中で立ち上がる。
剛士君も立ち上がると、副社長を睨みながら見た。
「勉(つとむ)、俺を利用するのは良いけど瞳まで巻き込むなよ。」
剛士君がナチュラルに“勉”と呼んで・・・。
誰のことか分からなかったけれど、副社長を見ているし副社長も剛士君を見ているから・・・勉というのは副社長のことなのだと分かった。
「笠原さんまで巻き込んだか?」
「巻き込んだだろ、瞳まで気持ち悪い奴だと思われた。
折角良い会社に転職出来たのに、こんなことになったら会社の良い男が瞳のこと抱けなくなるだろ。」
そんなことを言った・・・。
剛士君が、困った顔で笑いながらそんなことを言って・・・私を見た。
「俺のせいでごめんな。
お前、あんな大勢の前で言うなよ。」
剛士君がそう言って自分のデスクに戻り鞄を持った。
その姿を瞬きを何度もして見る・・・。
「剛士が笠原さんの彼氏になればいいだろ?」
「無理だろ。
こんなことになったら無理だし・・・俺といる限り瞳もずっと言われることになる。
父親に女の格好をさせられて、性的イタズラをされてた男と付き合ってるって。
その男が女の格好をして女同士でやったって。」
「私は何を言われてもいいよ・・・。」
“少しの度胸”で声を出した・・・。
少し声が震えたけれど、それでもちゃんと届いたはず。
剛士君が立ち止まったから。
でも、私の方は見ない・・・。
「俺が嫌だ。俺が嫌なんだよ。
瞳は“アヤメ”にとっても“俺”にとっても大切な女で、大好きな女で・・・。
生まれて初めて姉貴よりも兄貴よりも・・・きっと“あやめちゃん”よりも愛してる女だから。」
私は何度も何度も瞬きをして、パソコンの画面と剛士君のタイピングの手を交互に見ていく。
瞬きは、私のシャッター。
それを多めにするとその分が連続で写真に撮れる。
本当に写真を撮れるわけではないけれど、私は撮れているのだと思っている。
だって、本当に鮮明な写真のようだから。
そう思いながら最後の言葉を言った時、剛士君のタイピングの指も止まった・・・。
その指を見る・・・。
綺麗だけど男の人の指・・・。
アヤメさんとは違う男の人の指をしていた・・・。
剛士君の指を見ながら瞬きをし、シャッターを押した。
「ここまで凄いのか・・・。」
私の後ろにいる剛士君の声ではなく、すぐ隣に人が立っていたことにやっと気付き顔を上げると・・・副社長が立っていた。
副社長が面白そうな顔で私を見下ろす。
「笠原さんがここまで凄いとは“俺”は思わなかった。
俺には分からなかったな・・・。
剛士、よく見付けた。」
「俺が見付けたんじゃない。
瞳が俺のことを見付けたんだよ。」
「そうだとしても・・・。
そうだとしても、よくうちの会社まで連れてきてくれたな。」
「それは簡単だった。
今までどうやって隠れて逃げていたのか不思議なくらいに、簡単だった。」
剛士君が椅子を後ろに引き、片手で私の太ももの横を優しくポンポンと叩き・・・私は恥ずかしい気持ちの中で立ち上がる。
剛士君も立ち上がると、副社長を睨みながら見た。
「勉(つとむ)、俺を利用するのは良いけど瞳まで巻き込むなよ。」
剛士君がナチュラルに“勉”と呼んで・・・。
誰のことか分からなかったけれど、副社長を見ているし副社長も剛士君を見ているから・・・勉というのは副社長のことなのだと分かった。
「笠原さんまで巻き込んだか?」
「巻き込んだだろ、瞳まで気持ち悪い奴だと思われた。
折角良い会社に転職出来たのに、こんなことになったら会社の良い男が瞳のこと抱けなくなるだろ。」
そんなことを言った・・・。
剛士君が、困った顔で笑いながらそんなことを言って・・・私を見た。
「俺のせいでごめんな。
お前、あんな大勢の前で言うなよ。」
剛士君がそう言って自分のデスクに戻り鞄を持った。
その姿を瞬きを何度もして見る・・・。
「剛士が笠原さんの彼氏になればいいだろ?」
「無理だろ。
こんなことになったら無理だし・・・俺といる限り瞳もずっと言われることになる。
父親に女の格好をさせられて、性的イタズラをされてた男と付き合ってるって。
その男が女の格好をして女同士でやったって。」
「私は何を言われてもいいよ・・・。」
“少しの度胸”で声を出した・・・。
少し声が震えたけれど、それでもちゃんと届いたはず。
剛士君が立ち止まったから。
でも、私の方は見ない・・・。
「俺が嫌だ。俺が嫌なんだよ。
瞳は“アヤメ”にとっても“俺”にとっても大切な女で、大好きな女で・・・。
生まれて初めて姉貴よりも兄貴よりも・・・きっと“あやめちゃん”よりも愛してる女だから。」
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