【完】初めてのベッドの上で珈琲を(カットページ掲載済2023.5.13)

Bu-cha

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「そうなんですか!!??
俺・・・大丈夫ですかね!!!?」



「その考え方だと、我が家も危ないわね。」



健吾さんと麻美さんが興味津々な様子で副部長に詰め寄ったので、副部長は少し後退りをしながら苦笑いをした・・・。



そして・・・



「奥さんに、捨てられちゃったよ・・・。」



そんなことを苦笑いしながら、でも悲しそうな顔で言った・・・。



左手の薬指に指輪をしたまま、副部長がそんな悲しいことを言った・・・。



「マジッすか!!!
そんなことになってたんっすか!!!
言ってくださいよ!!!
何のための俺っすか!!!」



「・・・え?青田君に?」



「一緒に飲みに行きましょうよ!!
まだ結婚指輪してますけど、離婚したんっすか?」



「いや・・・離婚届は出してないんだけど、もう数年も実家に帰られちゃってて・・・。
東北の方で。」



「じゃあ今週末に奥さんの所に行きましょうよ!!!
和ちゃんがそろそろ旅行したいね~とか言ってたので、一緒に行きましょう!!
あ、妹夫婦と“shu-”のねーちゃんも呼ぼうかな・・・!!」



「あの・・・有名な“華麗な親族”か。
吉岡先生のこと・・・奥さんが好きみたいなんだよね。」



「創一さんっすか!!!
創一さん・・・土日も仕事だから来られるか分からないっすけど、顔だけでも出して貰うよう俺から頼んでみますから!!!」



健吾さんがそう言いながらスマホを取り出した。



「連絡先教えて下さい!!!」



副部長が青田さんと嬉しそうな顔で連絡先を交換している姿を瞬きをしながら見る・・・。



病院にもカウンセリングもしていないのに、副部長の顔には“気”が宿りつつあるように見えた。



社員のメンタルヘルス不調改善の瞬間を、私は初めて見た・・・。



昼休み中になってしまったけれど、私は並んでいた人達にアイスコーヒーを作っていく。
その様子を健吾さんも麻美さんも・・・剛士君も見ている。



そして、剛士君のことになるとキツクなる女の子の番になり、その女の子が私をジロジロと見てきた。



「笠原さんって、麻美さんとお知り合いなんですか・・・?」



これまでのキツイ態度ではなく、凄い慎重な感じで聞かれた・・・。



「はい・・・。」



「でも、麻美さんも数年前から実務経験を積む為に外部の会社に行ってたし、笠原さんだって今年の2月からですよね?
何のお知り合いなんですか?」



「それは・・・なんといいますか・・・」



私がどう説明しようか悩んでいると、近くの席でアイスコーヒーと持参していたサンドイッチを食べていた麻美さんが口を開いた。



「私と旦那の・・・結城支社長との馴れ初めをほぼ最初から最後まで見届けてくれた子なのよ。」



「え・・・!?馴れ初めを!?」



「プロポーズの瞬間も立ち会ってくれた子。
その瞬間に、誰よりも早くプレゼントまでくれた子なの。」



麻美さんがそう説明をしてくれると、あんなに私に対してキツかった女の子達がキラキラとした目で私を見ていた・・・。
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