【完】初めてのベッドの上で珈琲を(カットページ掲載済2023.5.13)

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女王様だった・・・。



夏だけどジャケットまで着ていて、他の人よりも身体のラインがよく出るような格好良いスーツ・・・
そこに高いピンヒールを履いて・・・



その高いピンヒールを規則正しく音を鳴らし、美しく歩き私に近付いてきた。



美しくも強い顔を少しだけ微笑ませながら・・・。



「久しぶりね、瞳。」



「は、はい・・・っ女王様！！」



「前も教えたけど、名前は麻美ね？」



「はい・・・！！」



私が返事をすると、女王様は・・・麻美さんは笑いを堪えたような顔になった。
それを瞬きをしながら見ていたら・・・



「女王様で麻美さんって・・・もしかして、“経理部の女王様”だった方ですか・・・？」



声の方を見てみたら、列に並んでいた若い女の子・・・剛士君のことになるとキツクなる女の子数人だった。



「そうね、私が“のんちゃん”の前の“経理部の女王”よ。」



「・・・すごいっ！！！
本当に女王様ですね！！！
私の入社前のことだったのでお会いしたことなくて！！！
でも未だにみんな言っているし、有名です！！！」



「またうちの会社に戻ってくるんですか！！？」



私にはキツイ女の子達が目をキラキラとさせて麻美さんを見ている。



「そうね、戻ってくることになったわ。」



麻美さんが答えると、女の子達だけではなく他の多くの社員達が歓声を上げた。



私が憧れた女の人、麻美さんは会社でも勿論憧れの存在だったらしい。



「でも、経理部ではなくて新しい会社の社長として就任したわ。
今日は副社長と打ち合わせで来たの。」



「うちの会社、また新しいグループ会社作ったんですか？」



「今回は1からの立ち上げではなくて、M&A(買収)で。
だからまだ株式譲渡の段階ね。
色々と複雑だから事業譲渡まではもう少し掛かりそう。」



麻美さんの話に社員の方達がキラキラとした目で麻美さんを見て、頷いている。
そんな中、健吾さんが大きな大きな声で・・・



「剛士！さっき麻美さんから聞いた！！！
いくら副社長から頼まれたからって、お前・・・一肌脱ぎすぎだろ！！！
お前の親父の会社を買収する為とはいえ、大勢の人前で素っ裸になってまで親父の悪事を証明するなよ！！！」



健吾さんがそう言って、怒った顔で剛士君を見た。
それに私が驚いて剛士君を見上げると・・・剛士君は何でもない顔で笑い・・・




「副社長に頼まれたからってそんなことするかよ。
あれをするしか俺には方法がなかったから。
本当だったらあんなこと出来ないくらいに俺には度胸がなかったけど・・・瞳がバージンを貰ってくれたからな。
“アヤメ”のバージンを貰ってくれたから、“アヤメ”は“女”になって度胸を手に入れた。」



「そんなこと・・・してたの？
お父さんを殺すって、そういうことだったの？」



「まあな、本当の人殺しは7歳の時に兄貴にも姉貴にも止めて貰ったから。
社会的に抹殺して、肉体は檻のついた病院に副社長がぶちこんでくれた。」