【完】初めてのベッドの上で珈琲を(カットページ掲載済2023.5.13)

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その日の定時後・・・



「もう少し待っててくださいね・・・。」



両手を開きガチガチの指でキーボードを打っていく。
“キーボードを頑張って早く打つ”
そう言ったのに、頑張ってはいるけど早くはない。



今日は色んな部署にデリバリーもしたので報告することが沢山あって、時間が掛かる・・・。



「いいよ、ゆっくりやれ。」



「ありがとうございます・・・。」



キーボードを打ち、瞬きをしながら剛士君にお礼を言う。
人事部の部屋の中には剛士君と私だけになってしまい、剛士君も自分のデスクで残業をしてくれている。



私はガチガチの指を必死に動かし、時間を掛けて報告書の作成を終わらせた・・・。



「早くなってきたな！」



終わらせたタイミングで剛士君が話し掛けてくれ、鞄を持って私のデスクまで来た。



そして・・・



「帰るか、瞳。」



恥ずかしそうな顔で私を“瞳”と呼んだ後、嬉しそうに笑い掛けてくれた・・・。



剛士君と並び会社の大きなオフィスビルを出ようとすると・・・
ビルのエントランスに男女が数人集まっていて、楽しそうに話している姿が。



その中の1人に、剛士君のことになるとキツクなる女の子の姿を見付けてしまい少し緊張した。



どうしようかと思っていたら、剛士君がナチュラルにその人達に「お疲れ様でーす」と挨拶をしたので全員が私達を見た。



「天野と笠原さんか！お疲れー！！
どっか飲みに行くのか？
俺らも今から行くから一緒に行く？」



「天野さん！行きましょうよ～！！
誘っても全然付き合ってくれないの寂しいです～！！」



男性社員が先にそう言うと、剛士君のことになるとキツクなる女の子が可愛い笑顔で近付いてきた。
それを瞬きをしながら見る・・・。



「また今度なー。」



「その“また今度”っていつ実現してくれるんですか～？
笠原さんは処女じゃないらしいので、それならもう私とも変わらないじゃないですか！」



女の子がそう言うと、歩いていた天野さんがピタッと止まった。
なので私も女の子も立ち止まる。



立ち止まった私と女の子を剛士君が見下ろし・・・交互に見てくる。



それから優しい笑顔で私に笑い掛けた。



「瞳、かくれんぼじゃなくて“隠れ鬼”で遊んでたからな。
よく見付けられた後も逃げ切ったよ。」



「隠れ鬼・・・？」



「最初に会った時も男から口説かれてただろ。
よく誰にも捕まらないでいられたよな。」



「最初に会った時、私口説かれてましたか？
なんだか悪口言われていませんでした？」



「瞳が全然食い付かねーから最後にあんなこと言ったんだろうな。」



天野さんが面白そうな顔で笑ってから、女の子達もいるのに私の手に・・・指に自分の指を絡ませてきた・・・。
それに驚き、ドキドキとしていると・・・



「俺、瞳のこと大好きなんだよ。
こいつの処女は絶対に貰うけど、貰った後も離す気はねーよ。
こんなに良い女離すなんて頭のおかしいこと、俺には出来ねー。」