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その日のお昼休憩の後、テイクアウト用のコーヒーを専用の紙袋に沢山入れ社内を歩く・・・。



そして、企画部の部屋へ。
頼まれてもいないのに勝手に珈琲をデリバリーするのは初めてだった。



天野さんから輸血してもらった“少しの度胸”が本当に私についたのかもしれない。



「あの・・・!!
アイスコーヒー、いかがですか?」



大きな声でそう言うと、企画部の人達が一斉に私を見て・・・



「嬉しい~!!!」



「俺まだ行ったことなかったんだよな!!!」



と、皆さんが喜んでくれた。
そんな中、企画部の男性の部長さんが歩いてきた。
初めてお会いする方で、私よりも結構年上だけど若く見える・・・。
部長さんを見上げながら瞬きをすると、部長さんが驚いた顔をした後に悔しそうな顔をした。



「君、あれだろ?
天野のお気に入りで有名な子だろ?
俺のすっげー好きなタイプなんだけどな~・・・」



部長さんが言葉を切った後にアイスコーヒーを2つ手に持った。



「天野って副社長のお気に入りでもあるから流石に手出せないからな。
数年前に俺やらかしてるから、これ以上変なこと出来ないんだよ・・・!!」



「そうですか・・・。」



「・・・それに俺!!!
この子と付き合ってるしな!!」



部長さんがそう言って、アイスコーヒーを1つ女の子に渡した。
私は瞬きをしながら見る・・・。
その女の子は渡邉さんだった。
高柳さんの前の彼女の渡邉さんだった。



渡邉さんは申し訳なさそうな笑顔でそのアイスコーヒーを両手で受け取り、部長さんにお礼を言っていた。



「天野~?天野ってあれかー・・・。」



企画部の他の社員さんがアイスコーヒーを受け取りに来る中、副部長・・・セクハラで処分されていた副部長が来た。



「天野って人事部のだろ?
君、天野のお気に入りなのかー・・・。」



「お気に入りといいますか、なんといいますか・・・。」



苦笑いをしながらも瞬きをし、アイスコーヒーを差し出す。
副部長は私を厭らしい顔で見詰めながら言ってきた。



「天野くらい見た目が良いと、こんなに可愛い女の子をお気に入りに出来るのか~!!
もうやっちゃった?
2人とも若いからやってるか!!
沢山やってるんだろうな~・・・。
俺も社内で気軽にやれる子1人くらい欲しいなー・・・。」



そう言いながらアイスコーヒーを受け取った。
副部長の左手の薬指には結婚指輪が・・・私はそれを見ながら瞬きをした。



「副部長、そういうのはセクハラですからやめてください。」



部長さんが大きくて怖い声で副部長に指摘をした。
それからすぐに私の方を見た。



「ごめんね、よく言っておくから。」



困った顔で私に笑いながら謝ってくれた部長さんを見ながら瞬きをすると、部長さんがまた悔しそうな顔になり・・・



「俺の好きなタイプの子にはいっっつも相手がいるからな~・・・!!」



と嘆いていた・・・。
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