【完】初めてのベッドの上で珈琲を(カットページ掲載済2023.5.13)

Bu-cha

文字の大きさ
上 下
13 / 122
2

2-2

しおりを挟む
「言ってないんだよね・・・?」



「言ってねーよ。」



「そう・・・。」



天野さんのお母さんが天野さんにもよく似た顔で私を見てくる。



「良い女だね。
アンタの所の会社の子?」



「そうだから、その顔やめろよ!」



「副業ダメなんだっけ?
バイトでさ、少しだけでも。」



「副業ダメだよ!!・・・行くぞ!!」



天野さんがお母さんに怒り、私の背中にまた優しく手を添え歩くよう促す。
そんな私を天野さんのお母さんが最後まで面白そうな顔で笑っていた。



裏の方に行き天野さんが扉を開いてくれると、綺麗なお姉さんが数人椅子に座っている。



「剛士く~ん!!!」



綺麗なお姉さん方が一気に立ち上がり天野さんに集まってきた。
勿論、私の周りにも集まっていることになるわけで・・・
良い匂いに包まれ、綺麗なお姉さんばかりで・・・
無意識に瞬きが多くなる。



「こいつに勉強させてやって。」



天野さんがそう言って、私の背中を優しく押してお姉さん方の前に立たせた。



「可愛い~!!何歳?」



「30歳です・・・。」



「・・・私より歳上~!?」



お姉さん方だと思っていたけど、私より年下の子もいるらしい。



テーブルにお姉さん方と着くと、そこに天野さんが沢山の本や雑誌をテーブルの上に置いた。



タイトルを見てみると・・・



“セクハラ“
”パワハラ”
“モラハラ”
“アルコール依存症”
“鬱病”
“躁鬱病”
“統合失調症”
“パニック障害”
“適応障害”
“リストカット”
“借金”
“発達障害”



そんな言葉がズラリと並んでいた。



天野さんがその中の1冊の本を手に取り、私に渡してきた。



「お前は中身見ておけ。」



そう言われたので本を1ページずつ見ていく。



「悪いけど、こいつに勉強させてやってほしい。
生の声を聞かせてやって。」



「いいけど・・・。
本読み終わってからの方がいい?」



「後で読むだろうから、このまま話してやって。
みんなで会話する感じでいいから。」



天野さんがお願いすると、お姉さん方は次々に話し始めた。
途中でメンバーが入れ替わる度、また新たなお話が・・・。



そのどの話も壮絶なお話で、そのお話を聞きながら私は1枚ずつページを見ていく。



瞬きをした目からは涙が止まらなかった・・・。



全ての本を見終わり、涙を拭いてから顔を上げる。
そしたらお姉さん方全員が面白そうな顔で私を見ていて・・・



「凄いね。
藤岡ホールディングスに入社出来るくらいだから優秀なんだ?」



「いえ、高卒でカフェのバイトでした・・・。」



「お金・・・なかったの?」



「勉強が出来なかったので。」



「「「え!!!??」」」



お姉さん方が声を合わせ、驚いている。
それには自然と笑ってしまった。



「試験って、暗記だけではそこまで点数は取れないので。」



「なるほど・・・。
この本、全部覚えたの?」



「まさか!!覚えられませんよ!!」



慌てて否定するとお姉さん方は不思議そうな顔をしている。
それに天野さんが笑いなら、私の手を優しく引き立たせた。



「ありがとな!!」



「剛士くん、今度はお客さんとして来てよ~!!」



「そんな金ねーよ!!」



お姉さん方のブーイングの中、天野さんと2人でお礼を言ってから裏の部屋を出た。
お店の扉まで少し歩いていると・・・



「あ!アンタ来てたんだ!!」



と、スーツ姿の女性が天野さんに話し掛けてきた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...