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「カヤ・・・。」



カヤを目の前にして久しぶりにカヤの名前を呼んだ。
そしたら信じられないくらいにこの胸が熱を持ち、全身に焼ける程の熱が駆け巡った。



それでも身動きなんて出来ないくらい、色とりどりの美しい光りで輝いているカヤの姿を眺めていた。



固まり続ける俺にカヤが嬉しそうに笑う。
本当に本当に嬉しそうな顔で・・・。



「ニャン!!」



やっぱり“ニャン”と呼んで、俺に駆けよってきた。



「久しぶり!!」



「うん、久しぶり・・・。」



あまりにも突然会えてしまったことに驚きしかなくて、小さな声でそんな返事しか出来なかった。
数時間前はもう会えることはないと思っていたカヤが目の前にいる。



「嘘をつかれたのかと思ってた・・・。」



「嘘?」



「夏の夜にまたねって言って・・・。
あの時俺すげーしつこかったし・・・。
そう言って俺を黙らせようとしたのかと思ってた・・・。」



「そんなことしないよ!」



カヤが悲しそうに笑いながらそう言って、アイテープをしていない、俺のタイプど真ん中の顔で見上げてくる。



「電話もメッセージも無視されてたし・・・。」



「うん、ごめんね・・・?」



「俺こそごめん・・・。
俺のせいだよな・・・。
俺がカヤのことを女の子として好きになって、最後の最後に変なことまで言って・・・。」



俺が謝るとカヤは困ったように笑い、首を横に振った。
そんなカヤの顔を見下ろし俺は少し震える口を必死に動かす。



「もう、違うから。
あれから時間も経ったし、ずっと会えてなかったし、電話もメッセージも無視され続けてたから。
まだカヤのことを好きとかは流石にねーから。」
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