【完】夏の夜に、またね。(カットページ掲載済2023.5.14)

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高校を卒業する日、私はニャンから告白されることが分かっていた。
あのステンドグラスの下で・・・。



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高校卒業の日



だから大急ぎで帰った。



ニャンとは付き合ってはいけないと強く強く強く浮かんできてしまって。
それがニャンの為になると強く強く強く浮かんできてしまって。



ネコの“ニャン”との思い出を埋めた神社の裏でいつものように手を合わせる。
人間の“ニャン”にはたまに“普通”でないことを言ってしまっていたけれど、私はいつも“普通”を装っている。



ニャンの前では気を抜いてしまい“普通”ではないことを言ってしまうけれど、言っていないことも沢山沢山あった。



少しでも“普通”に思われたかった。



だって私は“普通”ではない。



私はこんなにも“普通”ではない。



「“ニャン”が見付けてきてくれたのに、私はニャンと付き合ったらいけないの・・・？」



ニャンの為に私は付き合ってはいけないと強く強く強く浮かんできたから逃げるように高校を飛び出した。
最後にニャンに挨拶をすることも出来なかった。
最後にニャンを一目見ることも出来なかった。



それを今日もネコの“ニャン”に話していく。



土曜日も日曜日も夏休みも冬休みもニャンと会うことは出来なかった。
それがニャンの為になると強く強く強く浮かんできてしまったから。



ニャンに告白をされたらきっと頷いてしまう。
だって私もニャンのことが大好きだから。



そう思って大急ぎで帰ってきたのに・・・



ニャンは神社まで来てしまった。



そして告白をされてしまった。



回避出来る未来もある。



でもこれは回避出来ない未来だったのだとその時に分かった。



それでもニャンの告白から逃れようとしたけれど、ニャンは私にまた告白をしてくれた。



頷きたかったけれど頷けなかった。



それはニャンの為にならないと強く強く強く浮かんでしまったら頷くことなんて出来なかった。



私は“普通”ではないから。



こんな“普通”ではない私はニャンと付き合うことなんて出来ないのだと思った。



そう思いながら、ニャンの告白の言葉とニャンの気持ちだけを胸に歩き始めた時・・・



分かった。



夏の夜にまた会えるのだと分かった。



そして、23歳の夏の夜に付き合えるのだとも分かった。



それが分かったからニャンに伝えた。



「夏の夜に、またね。」



そう伝えた・・・。