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「きれ~い!!!
桜よりもピンクなんだ~!!!
可愛い~!!!」
砂川さんの家の縁側で佐伯さんと砂川さんに挟まれ私が座り、大きな窓から見える豪華な日本庭園に広がるハナカイドウのピンク色の世界を眺める。
「うん、桜よりもピンクで綺麗で可愛いよね。」
「純愛ちゃんは今日からこのハナカイドウでお花見し放題なのか~。
それも貸し切りで!」
手に持った缶チューハイを開けようとした時、佐伯さんがその缶チューハイをスッと横から取り上げた。
「これから毎日お花見が出来るから、今日はお酒を飲むのはやめておこう。」
「何で?」
「お腹も痛いだろうしまだ出血してるからね。
女には毎月1週間生理の期間があって、その時には身体を特に大切にしてあげた方が良い。」
「そういうのはしたことがないかも。
みんなしてるのかな?」
「生理は人によって全然違うらしいから“みんな”のことはあんまり関係がないかな。
同じような体型で同じような食べ物を食べて同じように生活をしていても全然違う。
姉妹でも全然違うくらいだから。
幼馴染みの子達と一緒に育つ中で知ったこと。」
「生理のことを友達同士だと深く話さないし、自分の身体で起きていることだから説明をしたとしても伝えるのが難しいんだよな。」
「みんな実際にその身体になってみないと分からないよね。」
佐伯さんが私の缶チューハイを開け、一口だけ口にした。
そしてハナカイドウを眺めながら・・・
「幼馴染みのみんなから私は“可哀想”と思われてる。
心臓のこともこの背中のことも、幼馴染みはみんな“可哀想”という目で見てくる。
でも、私は可哀想なんかじゃない。」
どこまでも綺麗な横顔で、どこまでも強い眼差しで、綺麗な口から綺麗な言葉を出してくる。
「私はこの心臓とこの背中を持っていたからこそ出来たことが沢山ある。
こんな不完全で醜い身体だからこそ嬉しくて楽しくて幸せだったことも、どうしようもなく辛くて苦しくて悲しかったことも、沢山ある。
その全部が今の私に繋がってるから私は全然可哀想なんかじゃない。
そう説明をしても誰も分かってくれなくて、“可哀想”って目で見てくる。」
「佐伯さんは綺麗だよ。」
佐伯さんの横顔に自然と口にすると、佐伯さんが嬉しそうな顔で私のことを見た。
「純愛ちゃんこそめちゃくちゃ綺麗。
こんなに綺麗な人はなかなかいないよ、ね!課長!!」
「綺麗かどうかは俺には全く分からない。」
「はあ!?課長、マジでそういう所!!
経理部のみんなが怒ってるのはマジでそういう所だって!!」
「2人で真面目な話をしていたから口を挟まなかったけど、俺でも分かる話をしてくれるかな。
2人で何の話をしているのか全く分からない。
女性の身体のことに関しては俺がいない時に2人でゆっくりと話せば良い。」
「それじゃあダメなんだって!!
課長が純愛ちゃんのお世話をするんでしょ!?
女の子の身体はめっっっっちゃ繊細なの!!
生理期間中だけじゃなくて毎日の生活が次の生理の体調に繋がったりするんだよ!?
女の子にとってホルモンバランスってめちゃくちゃ大切なことなの!!」
望の影響により健康でいられるような生活は知っていたつもりでいた。
でも望の口から出て来るそれらは全て一平さんへの想いから出て来るような言葉で。
だから女に特化している健康とは違うような話だったと佐伯さんの言葉により今になって気付いた。
「食べたい物を食べて飲みたい物を飲むのが1番だと俺は思うけど。
その方がストレスもない。
俺は純愛ちゃんにそんな生活を送って欲しいと思っている。」
「こういう男いるんだよね~。
そういう男、私凄く好きだけど!!!」
佐伯さんが嘆きながら私のことを見た。
「この人、純愛ちゃんにはめちゃくちゃ甘やかすだけの人っぽいから、純愛ちゃんが自分で自分のことを少し厳しくしていかないといけないパターンだ!!
課長って経理部では優しいけど厳しい感じもある人だからそこは安心してたけど、たぶんダメな人だ!!」
佐伯さんが必死な顔で砂川さんの膝の方を指差した。
「さっきからネコちゃんにオヤツばっかりあげてるからネコちゃんは課長の膝で寝始めたし!!
言葉の通りに猫かわいがりするだけの人なんだよ!!
・・・私、そういう男好きだけどさ~!!!」
桜よりもピンクなんだ~!!!
可愛い~!!!」
砂川さんの家の縁側で佐伯さんと砂川さんに挟まれ私が座り、大きな窓から見える豪華な日本庭園に広がるハナカイドウのピンク色の世界を眺める。
「うん、桜よりもピンクで綺麗で可愛いよね。」
「純愛ちゃんは今日からこのハナカイドウでお花見し放題なのか~。
それも貸し切りで!」
手に持った缶チューハイを開けようとした時、佐伯さんがその缶チューハイをスッと横から取り上げた。
「これから毎日お花見が出来るから、今日はお酒を飲むのはやめておこう。」
「何で?」
「お腹も痛いだろうしまだ出血してるからね。
女には毎月1週間生理の期間があって、その時には身体を特に大切にしてあげた方が良い。」
「そういうのはしたことがないかも。
みんなしてるのかな?」
「生理は人によって全然違うらしいから“みんな”のことはあんまり関係がないかな。
同じような体型で同じような食べ物を食べて同じように生活をしていても全然違う。
姉妹でも全然違うくらいだから。
幼馴染みの子達と一緒に育つ中で知ったこと。」
「生理のことを友達同士だと深く話さないし、自分の身体で起きていることだから説明をしたとしても伝えるのが難しいんだよな。」
「みんな実際にその身体になってみないと分からないよね。」
佐伯さんが私の缶チューハイを開け、一口だけ口にした。
そしてハナカイドウを眺めながら・・・
「幼馴染みのみんなから私は“可哀想”と思われてる。
心臓のこともこの背中のことも、幼馴染みはみんな“可哀想”という目で見てくる。
でも、私は可哀想なんかじゃない。」
どこまでも綺麗な横顔で、どこまでも強い眼差しで、綺麗な口から綺麗な言葉を出してくる。
「私はこの心臓とこの背中を持っていたからこそ出来たことが沢山ある。
こんな不完全で醜い身体だからこそ嬉しくて楽しくて幸せだったことも、どうしようもなく辛くて苦しくて悲しかったことも、沢山ある。
その全部が今の私に繋がってるから私は全然可哀想なんかじゃない。
そう説明をしても誰も分かってくれなくて、“可哀想”って目で見てくる。」
「佐伯さんは綺麗だよ。」
佐伯さんの横顔に自然と口にすると、佐伯さんが嬉しそうな顔で私のことを見た。
「純愛ちゃんこそめちゃくちゃ綺麗。
こんなに綺麗な人はなかなかいないよ、ね!課長!!」
「綺麗かどうかは俺には全く分からない。」
「はあ!?課長、マジでそういう所!!
経理部のみんなが怒ってるのはマジでそういう所だって!!」
「2人で真面目な話をしていたから口を挟まなかったけど、俺でも分かる話をしてくれるかな。
2人で何の話をしているのか全く分からない。
女性の身体のことに関しては俺がいない時に2人でゆっくりと話せば良い。」
「それじゃあダメなんだって!!
課長が純愛ちゃんのお世話をするんでしょ!?
女の子の身体はめっっっっちゃ繊細なの!!
生理期間中だけじゃなくて毎日の生活が次の生理の体調に繋がったりするんだよ!?
女の子にとってホルモンバランスってめちゃくちゃ大切なことなの!!」
望の影響により健康でいられるような生活は知っていたつもりでいた。
でも望の口から出て来るそれらは全て一平さんへの想いから出て来るような言葉で。
だから女に特化している健康とは違うような話だったと佐伯さんの言葉により今になって気付いた。
「食べたい物を食べて飲みたい物を飲むのが1番だと俺は思うけど。
その方がストレスもない。
俺は純愛ちゃんにそんな生活を送って欲しいと思っている。」
「こういう男いるんだよね~。
そういう男、私凄く好きだけど!!!」
佐伯さんが嘆きながら私のことを見た。
「この人、純愛ちゃんにはめちゃくちゃ甘やかすだけの人っぽいから、純愛ちゃんが自分で自分のことを少し厳しくしていかないといけないパターンだ!!
課長って経理部では優しいけど厳しい感じもある人だからそこは安心してたけど、たぶんダメな人だ!!」
佐伯さんが必死な顔で砂川さんの膝の方を指差した。
「さっきからネコちゃんにオヤツばっかりあげてるからネコちゃんは課長の膝で寝始めたし!!
言葉の通りに猫かわいがりするだけの人なんだよ!!
・・・私、そういう男好きだけどさ~!!!」
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