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目を閉じ続けていた。



結構長い時間、目を閉じ続けていた。



だから佐伯さんからも砂川さんからも寝息が聞こえていて、私はまた両手を自分の身体の方へ戻そうと手を動かす。



なのに、その両手をまたギュゥッと握られ、全然私の両手は戻すことが出来ないままで。



“これじゃあ眠れないんだけど。”



心の中でまた文句を言って、目を閉じ続けていた時・・・



掛け布団が擦れる音が聞こえた数秒後、私の身体に一瞬だけ冷たい空気が当たった。



でも次の瞬間には熱いくらいの体温を感じ、驚き目を見開いた。



そしたら、薄暗い部屋の中で見えた。



私の右手を握り締めたまま私の布団の中に入ってきた砂川さんの顔が。



すぐ目の前に、見えた。



「なに・・・?」



小声で聞いた私に砂川さんの頭が私の枕にのり、顔と顔がついてしまうくらい近くに寄ってきた。



顔だけではない。



「ねぇ・・・やめてよ・・・。」



私の右手を左手で握り締めたまま、もう片方の手で私の身体を浴衣ごと抱き締めてきた。



「布団に入る前に佐伯さんからアドバイスを貰って。」



唇と唇がついてしまいそうなくらい近くに砂川さんの顔があり、距離を取る為に動こうとしている私の身体を砂川さんはキツく抱き締める。



「俺の気持ちをもっと分かりやすく純愛ちゃんに伝えた方が良いって。」



「砂川さんの気持ちは分かってるから・・・。」



「そうだよね。」



砂川さんは安心した顔で笑い、その顔を見てやっぱり泣きたくなった。



「私は、私自身が誰かにバカにされるよりも砂川さんがバカにされるとムカつく。」



「そうなの?」



「うん・・・。」



涙が流れそうだったので目を閉じた。



“砂川さんが可哀想”だとまた思いながら。



「あの砂川さんがそんなにエッチしたいんだ・・・。」



「うん、したい。」



「実戦は必要だもんね・・・。」



「佐伯さんがせっかくセックス講座をしてくれたからね。」



私への慰め、そして砂川さん自身の実戦を積む機会、それらを実現するのに私との再会は砂川さんにとって結構良い再会だったはずで。



「砂川さんって私のことが人間として凄く好きだからね・・・。」



目を閉じながら口にした私に砂川さんは何も言わない。



何も口に出来るわけがない。



だって、その口は私の唇に優しく重ねられたから。



ビッッッックリして目を開けると、砂川さんの口がゆっくりと離れた。



「人としても女の子としても女性としても、俺は純愛ちゃんのことが凄く好きだよ。」
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