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「課長ってさ、結構バカなのかな?」
豪華すぎるくらい豪華な部屋。
部屋の中に3つも部屋があるトコロが本当にあるなんて驚きで、それだけではなく部屋の中に豪華な露天風呂がついている部屋に私は初めて泊まる。
佐伯さんと2人でこの露天風呂に浸かり、広大な大自然に沈む夕日を眺めていく。
「課長って純愛ちゃんと私が男女として付き合ってることを理解出来てないのかな?
私は純愛ちゃんと交代で入ろうとしてたのに、“何で?2人で入れば?”ってバカなのかな?」
「性別が女同士の私達が付き合うっていうことを本当の意味で理解してないんだろうね。」
“ここまでお金を出して誰も大浴場に入らないのは勿体無いから俺は入ってくる。”
数分前に大浴場へと向かって行った砂川さんの後ろ姿を思い出しながら口を開く。
「砂川さんってゲイの人から結構好かれるらしくて。
大浴場にゲイの人がいたら同性同士の“そういうこと”について思い出すんじゃない?」
夕日を眺めながら口にした私のことを佐伯さんがさっきからチラチラと見てくる気配を感じながらも、熱くて上半身を結構出してしまったままの姿を隠すことはしない。
「そんなに堂々と見せられると逆に戸惑っちゃう。」
「“きゃー見ないでー”とか私が言ってたら、逆に怖くない?」
「怖くないよ、“可愛いな”ってなるよ。」
「ぜっっっったいにならない!!」
大きく笑いながら夕日から佐伯さんの方に視線を移す。
佐伯さんは首のすぐ下まで身体をお湯の中に入れていて、私と目が合うと苦笑いをした。
「私の身体は純愛ちゃんみたいに綺麗じゃなくてごめんね?」
「私の身体なんかより佐伯さんの身体の方が綺麗だよ。」
「それはぜっっっっったいにナイ!!!」
「本当に。
私には凄く綺麗に見える。
それ、生まれつきなの?」
今まで聞いていないこと、これまでだったら聞かないようなことを今日は口にした。
“変わりたい”という気持ちも勿論あるけれど、それ以上に一緒にお風呂に入っていると不思議といつも言えないようなことが口から出てくる。
「うん、生まれつき。
“あの女”のお腹の中にいる時からのやつ。」
「“あの女”・・・か。
お母さんとあんまり上手くいってないの?」
「うん。」
佐伯さんがいつもよりも幼い笑顔で頷き、夕日ではなく空を見上げた。
「“あの女”に私の“ママ”を演じて貰っていたのは、私が二十歳の時まで。
私の二十歳の誕生日に“ママ”は“ママ”の役を終えた。」
「それは“ママ”が言ってたの?」
「うん、何度も言われた。
何度もそう言って・・・」
空を見上げている佐伯さんの横顔は笑っていた。
作っているような笑顔ではなく、本心から笑っているように見える。
「私のことを必死に生かそうとしてくれた。」
「そっか・・・。」
「“最高のママ”だったよ。」
「今でも佐伯さんのママじゃないの?」
「今は違うよ。
“あの女”は女優の“和泉かおり”。
和泉かおりは私の“ママ”じゃないの。」
「そうなの?」
「うん、そうなの。」
どうして私の周りには“可哀想な人”がこんなにも多いのだろう。
こんなにも多いと私の“可哀想”なんて本当に小さな“可哀想”なのだと思い知る。
私はその“可哀想な人達”に比べるとこんなにも“普通の人”なのだと分かる。
そう思いながらまた夕日を眺めると、そろそろ夕日は山の向こう側へと消えていくトコロだった。
「綺麗・・・。」
小さく口にしたのは私ではなく佐伯さん。
佐伯さんの視線が私にあることは気配で分かったけれど、分からないフリをして沈む夕日を眺め続けた。
さっき確認をしたら生理の出血はほとんど出ていなかった自分の下腹部にソッと片手を添えながら。
豪華すぎるくらい豪華な部屋。
部屋の中に3つも部屋があるトコロが本当にあるなんて驚きで、それだけではなく部屋の中に豪華な露天風呂がついている部屋に私は初めて泊まる。
佐伯さんと2人でこの露天風呂に浸かり、広大な大自然に沈む夕日を眺めていく。
「課長って純愛ちゃんと私が男女として付き合ってることを理解出来てないのかな?
私は純愛ちゃんと交代で入ろうとしてたのに、“何で?2人で入れば?”ってバカなのかな?」
「性別が女同士の私達が付き合うっていうことを本当の意味で理解してないんだろうね。」
“ここまでお金を出して誰も大浴場に入らないのは勿体無いから俺は入ってくる。”
数分前に大浴場へと向かって行った砂川さんの後ろ姿を思い出しながら口を開く。
「砂川さんってゲイの人から結構好かれるらしくて。
大浴場にゲイの人がいたら同性同士の“そういうこと”について思い出すんじゃない?」
夕日を眺めながら口にした私のことを佐伯さんがさっきからチラチラと見てくる気配を感じながらも、熱くて上半身を結構出してしまったままの姿を隠すことはしない。
「そんなに堂々と見せられると逆に戸惑っちゃう。」
「“きゃー見ないでー”とか私が言ってたら、逆に怖くない?」
「怖くないよ、“可愛いな”ってなるよ。」
「ぜっっっったいにならない!!」
大きく笑いながら夕日から佐伯さんの方に視線を移す。
佐伯さんは首のすぐ下まで身体をお湯の中に入れていて、私と目が合うと苦笑いをした。
「私の身体は純愛ちゃんみたいに綺麗じゃなくてごめんね?」
「私の身体なんかより佐伯さんの身体の方が綺麗だよ。」
「それはぜっっっっったいにナイ!!!」
「本当に。
私には凄く綺麗に見える。
それ、生まれつきなの?」
今まで聞いていないこと、これまでだったら聞かないようなことを今日は口にした。
“変わりたい”という気持ちも勿論あるけれど、それ以上に一緒にお風呂に入っていると不思議といつも言えないようなことが口から出てくる。
「うん、生まれつき。
“あの女”のお腹の中にいる時からのやつ。」
「“あの女”・・・か。
お母さんとあんまり上手くいってないの?」
「うん。」
佐伯さんがいつもよりも幼い笑顔で頷き、夕日ではなく空を見上げた。
「“あの女”に私の“ママ”を演じて貰っていたのは、私が二十歳の時まで。
私の二十歳の誕生日に“ママ”は“ママ”の役を終えた。」
「それは“ママ”が言ってたの?」
「うん、何度も言われた。
何度もそう言って・・・」
空を見上げている佐伯さんの横顔は笑っていた。
作っているような笑顔ではなく、本心から笑っているように見える。
「私のことを必死に生かそうとしてくれた。」
「そっか・・・。」
「“最高のママ”だったよ。」
「今でも佐伯さんのママじゃないの?」
「今は違うよ。
“あの女”は女優の“和泉かおり”。
和泉かおりは私の“ママ”じゃないの。」
「そうなの?」
「うん、そうなの。」
どうして私の周りには“可哀想な人”がこんなにも多いのだろう。
こんなにも多いと私の“可哀想”なんて本当に小さな“可哀想”なのだと思い知る。
私はその“可哀想な人達”に比べるとこんなにも“普通の人”なのだと分かる。
そう思いながらまた夕日を眺めると、そろそろ夕日は山の向こう側へと消えていくトコロだった。
「綺麗・・・。」
小さく口にしたのは私ではなく佐伯さん。
佐伯さんの視線が私にあることは気配で分かったけれど、分からないフリをして沈む夕日を眺め続けた。
さっき確認をしたら生理の出血はほとんど出ていなかった自分の下腹部にソッと片手を添えながら。
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