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───────────────・・・・
「だから・・・!!!
私は砂川さんのことなんてもう好きじゃないから!!」
「そうか、それは残念。」
「・・・その顔マジでさっきからムカつく!!
絶対信じてないじゃん!!」
「純愛ちゃんがそう言うなら信じようとはしてるよ。
でも純愛ちゃんって昔から嘘を沢山ついていたみたいだし。」
「だから・・・!!
それは彼氏だと思ってた砂川さんに少しでも良く思われたかったし砂川さんにとっても良いことだと思ってついてた嘘なの!!」
「俺のことを異性として好きでいてくれてるなんて昔は全く分からなかった。
“純ちゃん”って嘘も隠し事も上手だったよね。」
さっきとは反対に、キッチンで何かを作っている砂川さんの隣に今度は私が立ち反論をしていく。
「昔よりも再会してからの方が俺に嘘をついていない分、全く隠し事が出来なくなってるよね。
今ではどこをどう見ても俺のことが好きなようにしか見えない。」
「だから・・・!!!
私は砂川さんのことなんてもう好きじゃないから!!」
振り出しにまた戻った。
さっきから何度も何度も何度も戻っている。
「そうか、それは残念。」
さっきと同じ返事をしながらボウルに豆腐を入れた砂川さん。
てっきりお菓子やスイーツを作っているのかと思っていたのでそれには首を傾げる。
「何作ってるの?」
「ブラウニー。」
「ブラウニーって・・・チョコケーキみたいなやつだっけ?」
「うん、でもチョコは入れない。」
「それなのにチョコケーキみたいなのが出来るの?」
「俺の場合は純ココアとハチミツにする。」
「俺の場合はって?」
「望さんのレシピだとチョコレートを少し入れたりメープルシロップで甘味を出していたりして。
それに望さんのレシピ通りに作ると俺はあんまり好みの味ではなくて。
俺って甘党だからさ。」
「そういえば田代も美味しくないってよく言ってた。」
「それに純愛ちゃんってチョコ苦手だしね。」
「それが分かっててチョコみたいなケーキ作るの?」
「純愛ちゃんも普段の食べ物に結構気を付けているタイプだからね。
市販の普通のチョコレートだと変な味に感じるでしょ。」
「昔はそこまで気にしてなかったんだけど、望と出会ってから気になるようになっちゃって。
望は小関の“家”の人達の身体のことを思った食事を常に考えてたから。」
「だから純愛ちゃんも羽鳥さんも凄く肌が綺麗で・・・あ、ごめんごめん、羽鳥さんの名前を出しちゃった。」
砂川さんが物凄く楽しそうに笑っていて凄くムカつく。
「望さんのレシピはベースにあるけど、そこから俺も試行錯誤したんだよ。
甘党の俺でも美味しいと思えて、純愛ちゃんも美味しいと思ってくれるように。」
手動の泡立て器でボウルの中身をかき混ぜていく砂川さん。
相変わらず“そういう人”である砂川さんのことを隣から眺めながら口にした。
「そんなことばっかり言ってきてさ、私が砂川さんのことが今も好きって認めたらどうするつもりなの?」
「佐伯さんともしっかりと話し合って、少ししてから結婚?」
「は・・・?誰と?」
「純愛ちゃんとでしょ。」
「私と誰が?佐伯さん?」
「そこは純愛ちゃんと俺でしょ。
パートナーシップ制度が導入されている自治体が出てきたけど、日本のそれは海外の同性婚とは違う。
それにまず純愛ちゃんは同性愛者じゃないからね。
佐伯さんがいくら男になれるといっても、純愛ちゃんって全くそっちのアレがないでしょ。
それは佐伯さんも気付いているはずで・・・」
「待って、その話じゃなくて。
え、何で砂川さんが私と結婚するの?
そもそもしっかりと話し合う相手間違えてない?
羽鳥さんはどうするの?」
まだ守秘義務があるのだろうけれど、ハッキリと砂川さんに聞いた。
あまりにも意味不明な方向に話がいってしまっているから。
ハッキリと聞いた私に砂川さんはボウルをかき混ぜながら少しだけ悩み・・・
「羽鳥さんにも勿論話すよ。」
軽い感じで答えてきた。
それには下腹部とおまたの痛みが増したように思い、下腹部を撫でながら突っ込む。
「軽すぎない?
羽鳥さんのこと何だと思ってるの?」
「羽鳥さんは俺の部下だけど。」
「そうじゃなくて・・・!!
羽鳥さんといったら増田財閥の分家のお嬢様だよ!!?」
「それは勿論知っているけど・・・。」
砂川さんがさっきよりはもっと考えた様子になった。
「じゃあ、純愛ちゃんが俺のことが今でも好きだって認めてくれたら、2人で羽鳥さんに話に行く?」
「行くわけないじゃん、バカじゃないの?」
「分かった、俺1人でしっかり話に行くよ。」
「いやいやいや・・・!!!
そうじゃなくて!!!
そうじゃなくてさ~・・・っっ」
昔以上にヤバい人になっているような砂川さんに必死に口にした。
さっきまでは羽鳥さんに対してムカムカとしていたけれど、今は何だか申し訳ない気持ちになる。
こんな変な人が羽鳥さんの婚約者で何故か私が申し訳ない気持ちになる異常事態が起きている。
「羽鳥さんってもう31歳なんだよ?」
「ああ、そうだよね。
そろそろ結婚しないとだよね。」
「頭ヤバいって砂川さん・・・!!!!」
昔以上にヤバい頭になってしまっている砂川さんに、砂川さんがブラウニーを作っている間中ずっとその頭の中をどうにかしようと頑張ってしまった。
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「だから・・・!!!
私は砂川さんのことなんてもう好きじゃないから!!」
「そうか、それは残念。」
「・・・その顔マジでさっきからムカつく!!
絶対信じてないじゃん!!」
「純愛ちゃんがそう言うなら信じようとはしてるよ。
でも純愛ちゃんって昔から嘘を沢山ついていたみたいだし。」
「だから・・・!!
それは彼氏だと思ってた砂川さんに少しでも良く思われたかったし砂川さんにとっても良いことだと思ってついてた嘘なの!!」
「俺のことを異性として好きでいてくれてるなんて昔は全く分からなかった。
“純ちゃん”って嘘も隠し事も上手だったよね。」
さっきとは反対に、キッチンで何かを作っている砂川さんの隣に今度は私が立ち反論をしていく。
「昔よりも再会してからの方が俺に嘘をついていない分、全く隠し事が出来なくなってるよね。
今ではどこをどう見ても俺のことが好きなようにしか見えない。」
「だから・・・!!!
私は砂川さんのことなんてもう好きじゃないから!!」
振り出しにまた戻った。
さっきから何度も何度も何度も戻っている。
「そうか、それは残念。」
さっきと同じ返事をしながらボウルに豆腐を入れた砂川さん。
てっきりお菓子やスイーツを作っているのかと思っていたのでそれには首を傾げる。
「何作ってるの?」
「ブラウニー。」
「ブラウニーって・・・チョコケーキみたいなやつだっけ?」
「うん、でもチョコは入れない。」
「それなのにチョコケーキみたいなのが出来るの?」
「俺の場合は純ココアとハチミツにする。」
「俺の場合はって?」
「望さんのレシピだとチョコレートを少し入れたりメープルシロップで甘味を出していたりして。
それに望さんのレシピ通りに作ると俺はあんまり好みの味ではなくて。
俺って甘党だからさ。」
「そういえば田代も美味しくないってよく言ってた。」
「それに純愛ちゃんってチョコ苦手だしね。」
「それが分かっててチョコみたいなケーキ作るの?」
「純愛ちゃんも普段の食べ物に結構気を付けているタイプだからね。
市販の普通のチョコレートだと変な味に感じるでしょ。」
「昔はそこまで気にしてなかったんだけど、望と出会ってから気になるようになっちゃって。
望は小関の“家”の人達の身体のことを思った食事を常に考えてたから。」
「だから純愛ちゃんも羽鳥さんも凄く肌が綺麗で・・・あ、ごめんごめん、羽鳥さんの名前を出しちゃった。」
砂川さんが物凄く楽しそうに笑っていて凄くムカつく。
「望さんのレシピはベースにあるけど、そこから俺も試行錯誤したんだよ。
甘党の俺でも美味しいと思えて、純愛ちゃんも美味しいと思ってくれるように。」
手動の泡立て器でボウルの中身をかき混ぜていく砂川さん。
相変わらず“そういう人”である砂川さんのことを隣から眺めながら口にした。
「そんなことばっかり言ってきてさ、私が砂川さんのことが今も好きって認めたらどうするつもりなの?」
「佐伯さんともしっかりと話し合って、少ししてから結婚?」
「は・・・?誰と?」
「純愛ちゃんとでしょ。」
「私と誰が?佐伯さん?」
「そこは純愛ちゃんと俺でしょ。
パートナーシップ制度が導入されている自治体が出てきたけど、日本のそれは海外の同性婚とは違う。
それにまず純愛ちゃんは同性愛者じゃないからね。
佐伯さんがいくら男になれるといっても、純愛ちゃんって全くそっちのアレがないでしょ。
それは佐伯さんも気付いているはずで・・・」
「待って、その話じゃなくて。
え、何で砂川さんが私と結婚するの?
そもそもしっかりと話し合う相手間違えてない?
羽鳥さんはどうするの?」
まだ守秘義務があるのだろうけれど、ハッキリと砂川さんに聞いた。
あまりにも意味不明な方向に話がいってしまっているから。
ハッキリと聞いた私に砂川さんはボウルをかき混ぜながら少しだけ悩み・・・
「羽鳥さんにも勿論話すよ。」
軽い感じで答えてきた。
それには下腹部とおまたの痛みが増したように思い、下腹部を撫でながら突っ込む。
「軽すぎない?
羽鳥さんのこと何だと思ってるの?」
「羽鳥さんは俺の部下だけど。」
「そうじゃなくて・・・!!
羽鳥さんといったら増田財閥の分家のお嬢様だよ!!?」
「それは勿論知っているけど・・・。」
砂川さんがさっきよりはもっと考えた様子になった。
「じゃあ、純愛ちゃんが俺のことが今でも好きだって認めてくれたら、2人で羽鳥さんに話に行く?」
「行くわけないじゃん、バカじゃないの?」
「分かった、俺1人でしっかり話に行くよ。」
「いやいやいや・・・!!!
そうじゃなくて!!!
そうじゃなくてさ~・・・っっ」
昔以上にヤバい人になっているような砂川さんに必死に口にした。
さっきまでは羽鳥さんに対してムカムカとしていたけれど、今は何だか申し訳ない気持ちになる。
こんな変な人が羽鳥さんの婚約者で何故か私が申し訳ない気持ちになる異常事態が起きている。
「羽鳥さんってもう31歳なんだよ?」
「ああ、そうだよね。
そろそろ結婚しないとだよね。」
「頭ヤバいって砂川さん・・・!!!!」
昔以上にヤバい頭になってしまっている砂川さんに、砂川さんがブラウニーを作っている間中ずっとその頭の中をどうにかしようと頑張ってしまった。
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