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20時過ぎ



午後以降の営業支援が終わり、営業所から直帰しようと営業所にあるテーブルの上で片付けをしていた時・・・



「純!」



営業から戻ったであろう営業所の男の人が私のことを呼んだ。



その人に笑顔を作り振り向くと・・・



「本社の砂川さんっていう方が来てるよ?」



それには驚くしかない。



驚くしかないし・・・



「はあ・・・?」



家族や田代やマナリー、望には見せる私の姿が出てきてしまった。



残っていた営業所の人達が私のことを一斉に見てきたのが分かる。
でもその人達を確認することなんて出来なかった。



私のことを呼んだ男の人の後ろから姿を現した砂川さんは昼に会った時よりもずっと険しい顔をしていたから。



「今帰るところ?」



そう聞かれ思わず頷いてしまった私に砂川さんも頷き返し、険しい顔のまま口を開いた。



「契約の件について再度話がしたい。」



砂川さんが言っている契約とは保険の契約ではなく私の性欲処理の契約の件だと分かる。 
分かるけれどここは他の社員達もいる営業所なのだと考え、必死に笑顔を作る。



「その件でしたら昨日お話をした通りです。」



みんなの視線を感じながらも砂川さんの近くに行くことなく返事をすると、砂川さんは険しい顔を続けながらまた口を開いた。 



「俺の方が1つ付け足す点がある。
その説明もしたい。」



「砂川さんの方で付け足す点があったとしても私からのお話は昨日と変わりませんので。」



「純!」



砂川さんの前に立っていた男の人が私のことを呼んでから、砂川さんのことを振り向き・・・



「僕でよろしければお話を伺います。」



そんなことを言ってきて、それには内心焦る。



そしたら砂川さんが信じられないことに・.・



「助かります。」



そんな返事をして、私は大急ぎで大きな声を上げた。



「私が対応します!!」



「最初からそうしろよ。
本社の営業部だから純個人の営業成績はもう関係ないだろうけどね。
手を抜くような姿を俺達は見たくない。」



「はい!」



“この人が来たのは保険の契約の話じゃないんですって!!”



本当はこう叫びたいけれど必死に飲み込み、砂川さんのことを会議室でも応接室でもなくオープンスペースの対応室に案内しようとした。



でも・・・



やっぱり誰にも聞かれたくない話だったので、会議室へと砂川さんのことを通した。



“こんな所にまで来て何考えてるの!?”



めちゃくちゃ問い詰めたい気持ちを押し込み、営業の笑顔を貼り付けた。
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