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数分後
「もう1回いきますよ?」
「少し待って・・・。」
「待ちません、私も限界なので。」
「待ってよ・・・。」
「いきますよ?
せ~~~~の・・・・・・っ」
暗いけれど裸の砂川さんが見えるはずの部屋の中、私は砂川さんの姿を見ないように俯き、両手で胸と下半身を隠しながら“その時”を待った。
でも今回も“その時”が来ることはなくて・・・。
俯きながらも必死に笑って砂川さんに聞く。
「やっぱり触れませんか?」
裸で向き合うこと数分、お互いに何も出来ないまま時間だけが過ぎていった。
そして“砂川さんから私に触れる”ということで話はまとまったけれど、砂川さんの手はあぐらをかいている足の上からピクリとも動くことはない。
「うん、触れない。」
“触りたいと思えませんか?”
その言葉をまた飲み込む。
そんなの“うん。”と返事をされることが分かるから。
そんなことをまた思い、砂川さんの裸を見ないように俯いているはずの顔はもっと上げられなくなる。
きっと私の顔はこのほんの少しの明かりの中で見えてしまうから。
そしたら砂川さんはもっと私に触れることが出来なくなる。
私がやっぱり女ではなくて男のようだと改めて分かってしまう。
それが分かり細いだけの太ももに涙が落ちた。
そしたら、その時・・・
「新卒の頃からセクハラの講習を定期的に受けてきた身からすると、職場の女の子の身体を触るということは難しい。」
砂川さんが私のことを“職場の女の子”と言ってそんなことを言ってきた。
私が男のようだから触ることが出来ないという言葉ではないことに凄く安心し、本当の意味では私のことを“女の子”として認識をしていないはずだけど、“女の子”と扱ってくれることはやっぱり嬉しいと思えた。
それには自然と笑顔になりながら口にする。
「じゃあ、私が砂川さんに触れます。」
「え・・・それこそ無理だから。」
「めっちゃ即答ですね。」
「俺のことなんて触らなくていい。
触られたところで気持ち悪いだけだから必要ない。」
「触られたことがあるんですか?」
「サウナで。」
「それ相手は男の人じゃないですか。」
「うん、そうだよ?」
当たり前かのように砂川さんがその話をしてきて気付いた。
砂川さんはこの薄暗い部屋の中に裸で座る私のことが男に見えているのだと。
顔も見せず胸も下半身も隠しているのに、砂川さんにも私のことがやっぱり男に見えてしまっている。
「お互い自分の身体を準備するということでもいい?」
「はい。」
こんなの“はい。”としか言えない。
“はい。”以外の返事なんて男の私は言えない。
言うことも許されない。
そう思い、砂川さんに背中を向けてから自分の下半身を指先で触れてみた。
私はこれまで特に性欲もなかったので“そういう目的”で自分で触ってみたこともない。
知識としては知っているだけのコト。
でも、昔は何度も触って確認したことがある。
私は本当に女なのかと自分で調べてみた。
今もあの時と同じような気持ちの中、自分の下半身を触っていく。
一応男のモノはついていない下半身。
一応女の穴は空いている下半身。
昔と同じで排泄物を出す所のすぐ近くの穴に、“汚いな”と思いながら自分の穴を指で触っていく。
知識として知っていることと全然違うとも思いながら。
何も気持ち良くないとも思いながら。
何も濡れることなんてないとも思いながら。
こんなに汚いだけの穴の中に男は下半身のモノを入れて本当に気持ち良いのかとも思いながら。
「園江さん、ごめん。」
砂川さんの謝罪の言葉が私の背中に聞こえ・・・
「俺からやっぱりセックスをしようって言ったのに申し訳ないけど、出来そうにない。」
それには身体が固まり、砂川さんに背中を向け続けたまま聞いた。
「どうしたんですか?」
「俺は元々性欲とか全くないから。
今日は射精の必要がない日のようで下半身が何も反応しない。」
それを聞き、私だって何も濡れていない下半身のままこの身体にブラウスを着た。
ブラジャーもキャミソールも着ずにブラウスだけを着て、上半身を布で覆った。
それから男のモノがついていない下半身はそのままに、砂川さんの方を振り向く。
そして俯いたまま片手を伸ばした。
「やっぱり私が触ってみます。
私の方は準備が出来たので。」
そんな嘘をつきながら砂川さんの下半身の方に手を伸ばしていたら、砂川さんの身体が目の前から消えた。
「そんな気持ち悪いことなんてしなくていい。」
私の頭を鈍器で殴られたような衝撃が走る。
「私は・・・私の性別は女です・・・。
私は男じゃありません・・・一応、オカマじゃありません・・。
だから・・・だからもしかしたら、気持ち悪くないかもしれません・・・。」
俯きながらも必死に笑顔を作り伝えた。
冷たい涙がこの頬に次から次へと流れていくのを感じながらも伝えた。
視界の中には立ち上がっている砂川さんの両足が少しだけ見える。
その両足に向かって必死に伝えた。
「もう1回いきますよ?」
「少し待って・・・。」
「待ちません、私も限界なので。」
「待ってよ・・・。」
「いきますよ?
せ~~~~の・・・・・・っ」
暗いけれど裸の砂川さんが見えるはずの部屋の中、私は砂川さんの姿を見ないように俯き、両手で胸と下半身を隠しながら“その時”を待った。
でも今回も“その時”が来ることはなくて・・・。
俯きながらも必死に笑って砂川さんに聞く。
「やっぱり触れませんか?」
裸で向き合うこと数分、お互いに何も出来ないまま時間だけが過ぎていった。
そして“砂川さんから私に触れる”ということで話はまとまったけれど、砂川さんの手はあぐらをかいている足の上からピクリとも動くことはない。
「うん、触れない。」
“触りたいと思えませんか?”
その言葉をまた飲み込む。
そんなの“うん。”と返事をされることが分かるから。
そんなことをまた思い、砂川さんの裸を見ないように俯いているはずの顔はもっと上げられなくなる。
きっと私の顔はこのほんの少しの明かりの中で見えてしまうから。
そしたら砂川さんはもっと私に触れることが出来なくなる。
私がやっぱり女ではなくて男のようだと改めて分かってしまう。
それが分かり細いだけの太ももに涙が落ちた。
そしたら、その時・・・
「新卒の頃からセクハラの講習を定期的に受けてきた身からすると、職場の女の子の身体を触るということは難しい。」
砂川さんが私のことを“職場の女の子”と言ってそんなことを言ってきた。
私が男のようだから触ることが出来ないという言葉ではないことに凄く安心し、本当の意味では私のことを“女の子”として認識をしていないはずだけど、“女の子”と扱ってくれることはやっぱり嬉しいと思えた。
それには自然と笑顔になりながら口にする。
「じゃあ、私が砂川さんに触れます。」
「え・・・それこそ無理だから。」
「めっちゃ即答ですね。」
「俺のことなんて触らなくていい。
触られたところで気持ち悪いだけだから必要ない。」
「触られたことがあるんですか?」
「サウナで。」
「それ相手は男の人じゃないですか。」
「うん、そうだよ?」
当たり前かのように砂川さんがその話をしてきて気付いた。
砂川さんはこの薄暗い部屋の中に裸で座る私のことが男に見えているのだと。
顔も見せず胸も下半身も隠しているのに、砂川さんにも私のことがやっぱり男に見えてしまっている。
「お互い自分の身体を準備するということでもいい?」
「はい。」
こんなの“はい。”としか言えない。
“はい。”以外の返事なんて男の私は言えない。
言うことも許されない。
そう思い、砂川さんに背中を向けてから自分の下半身を指先で触れてみた。
私はこれまで特に性欲もなかったので“そういう目的”で自分で触ってみたこともない。
知識としては知っているだけのコト。
でも、昔は何度も触って確認したことがある。
私は本当に女なのかと自分で調べてみた。
今もあの時と同じような気持ちの中、自分の下半身を触っていく。
一応男のモノはついていない下半身。
一応女の穴は空いている下半身。
昔と同じで排泄物を出す所のすぐ近くの穴に、“汚いな”と思いながら自分の穴を指で触っていく。
知識として知っていることと全然違うとも思いながら。
何も気持ち良くないとも思いながら。
何も濡れることなんてないとも思いながら。
こんなに汚いだけの穴の中に男は下半身のモノを入れて本当に気持ち良いのかとも思いながら。
「園江さん、ごめん。」
砂川さんの謝罪の言葉が私の背中に聞こえ・・・
「俺からやっぱりセックスをしようって言ったのに申し訳ないけど、出来そうにない。」
それには身体が固まり、砂川さんに背中を向け続けたまま聞いた。
「どうしたんですか?」
「俺は元々性欲とか全くないから。
今日は射精の必要がない日のようで下半身が何も反応しない。」
それを聞き、私だって何も濡れていない下半身のままこの身体にブラウスを着た。
ブラジャーもキャミソールも着ずにブラウスだけを着て、上半身を布で覆った。
それから男のモノがついていない下半身はそのままに、砂川さんの方を振り向く。
そして俯いたまま片手を伸ばした。
「やっぱり私が触ってみます。
私の方は準備が出来たので。」
そんな嘘をつきながら砂川さんの下半身の方に手を伸ばしていたら、砂川さんの身体が目の前から消えた。
「そんな気持ち悪いことなんてしなくていい。」
私の頭を鈍器で殴られたような衝撃が走る。
「私は・・・私の性別は女です・・・。
私は男じゃありません・・・一応、オカマじゃありません・・。
だから・・・だからもしかしたら、気持ち悪くないかもしれません・・・。」
俯きながらも必死に笑顔を作り伝えた。
冷たい涙がこの頬に次から次へと流れていくのを感じながらも伝えた。
視界の中には立ち上がっている砂川さんの両足が少しだけ見える。
その両足に向かって必死に伝えた。
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