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砂川さんの家の扉から飛び出し、さっきとは比べ物にならないくらい寒い夜を走るようにして歩いていく。



号泣をしながら歩いていく。



寒くて寒くて凍える。



こんなの氷る。



「全然攻められなかった・・・っ」



嘆きながら走るように歩いていく。



「絶対いけると思ったのに・・・!!」



あの反応は何だったのかと“あの時”の砂川さんに問い詰めたい。
今後の営業にも役立てたいと思うくらい、“あの時”の砂川さんは頷いてしまう雰囲気しかなかった。



「でももう聞けない・・・。」



今日私達は会っていないことになったのだから砂川さんに“あの時”のことを聞ける未来はない。



「出会って2回目で好きになっちゃうなんて、私めっちゃチョロい女じゃん・・・。」



それ程私は“女の子”として男の人から扱って貰ったことがなかった。



本当の意味で私のことを女の子として扱ってくれていなかった砂川さんからの扱い、それが“普通”の女の子への扱い方のように思えてしまう程、私は男の人から少しだってそんな扱いをされたことがない。



「勘違いしちゃった・・・。」



そう呟いてから夜の空に嘆いた。



「でも勘違いしちゃうって・・・!!
凄く“女の子”として接してきてたって、あれ、絶対!!」



私の嘆きは真っ黒な空へと吸い込まれていく。



「砂川さんの家に行かなきゃ良かった・・・。」



“俺の家においで。”



砂川さんからのその言葉についていってしまったことに後悔しかない。



「もう・・・・・最悪・・・・・っ」



そう叫んでしまうけれど・・・



この涙もこの胸の痛みも、私が“女の子”である証のように感じる。



「私、ちゃんと女の子じゃん・・・。」



それに気付き、砂川さんとの出来事は最悪な出来事だったけれど大切な出来事になった気もした。



「え・・・・待って、無理無理無理・・・っスーツのジャケット羽織ってきちゃったんだけど・・・っ。」



月曜日にこれを砂川さんに返すのかと思うと恐怖でしかない。



「田代に頼もう・・・こういう時の為の田代。」



さっきまで“好き”だった砂川さんのスーツのジャケットをこの身体から引き剥がし、皺が出来ることも気にせず片手で持つ。



「“普通”の女ではない、私らしい初恋だったかな。」



そう綺麗に自分の中に仕舞おうとしたけれど・・・



「やっぱり無理・・・・・・・っっっ」



また号泣しながら家へと帰った。
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