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初めて砂川さんが運転する車に乗りあの家の敷地から出て、そして私の家の前まで送ってくれた。



“バイバイ。”と言った私に砂川さんは“また明日ね。”と答え、二度と会いたくないのにまた会社で会わなければいけないのだと頭が痛くなった。



そして、もっと頭が痛くなる事態に陥っている。



「課長、私デザートも食べたいです。」



会社のビルの近く、お洒落な雰囲気のお店。
夜はバルだというこの店で佐伯さんと砂川さんとランチを食べている。
昨日の昼休みに砂川さんと佐伯さんが約束してしまっていたから。



「うん、食べたい物を何でも頼みなね。
園江さんも。」



「私はデザートは結構です。」



お洒落な海鮮パスタを田代のように勢いよく食べていくと、何も味がしないパスタが素早く身体の中にただ入ってくる。



「ここのお店、美味しいでしょ?
たまに1人でランチに来るんだ、結構穴場なの。
園江さんは甘い物があんまり好きじゃないの?」



色んな物が少しずつ盛り付けられているワンプレートのメニューを注文した佐伯さん。
驚くほどゆっくりと食事をしていてこれには私の隣に座る佐伯さんのお皿や口元を何度も確認する。
何度も何度も噛んでいるだけで一向に次を食べないから。



私が食べ終わったタイミングで、私の目の前に座っている砂川さんのことを何気なく見た。



そしたら・・・



私がフォークを置いたほぼ同じタイミングで私と同じ海鮮パスタを食べていた砂川さんもフォークを置いた。



「園江さんはマカロンは好きだよね?
その他の甘い物は食べられないけど。」



私の代わりに砂川さんが答える。
マカロンが好きだと嘘をついたことを知らない砂川さんが。
あのマカロンは我が家の冷蔵庫に一晩置かれていただけ。
翌朝にはなくなっていて、甘党のお兄ちゃんが勝手に食べたとお母さんから聞いた。



「マカロンも全然好きじゃないですよ。」



数秒前に店員さんから注がれた無料のアールグレイが入ったグラスを持ち上げ、それを一気に飲んだ。



そして砂川さんのことを真っ直ぐと見て言う。



「私だって営業で成績を残してきた人間です。
嘘を沢山ついてきました。」



「マカロンは私もそんなに好きじゃないかな。
あれって突如現れた気がする。
見た目は可愛いけど美味しさで言ったらもっと美味しいスイーツはあるよ。
園江さんは何が好きなの?
週末に一緒に食べに行かない?」



マカロンが好きなことは嘘だと告げたけれど普通の顔をしている砂川さんが顔を逸らし、佐伯さんの方を見ながら口を開いた。



開こうとした。



そしたら砂川さんが先に・・・



「中華が好きっていうのも嘘だったかな?」



中華料理が好きだということは本当の私に、そう言ってきた。
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