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「“純ちゃん”も知ってる通り、俺はいつも後になってから気付く。
その度に俺も“純ちゃん”の所に戻った。」
「“人”として・・・、砂川さんは私のことを“人”として好きだったから・・・。」
“エッチがしたい”と言った私に砂川さんは何度も何度も抵抗し、私は何度も何度も泣く泣く諦めた。
そして何度も何度も、砂川さんは私のトコロに戻ってきては“もう1度試してみたい”と言ってきた。
私のことを“人”として好きだからと言って。
“このまま終わりになってしまうのは嫌だと思った”と、そんなことを言って。
「俺の異動で“純ちゃん”とのセフレという関係も終わるのだと思っていた。
いつか終わりが来るとは思っていたから、あのタイミングが終わりのタイミングだと予想出来た。
でも“純ちゃん”は“また戻ってくる”と言っていたから、俺は待っていた。」
「それは・・・砂川さんが私にセフレっていう話をした前の会話だったから・・・。」
演技なだけで意味なんて何もない会話に思わず返してしまう。
「ずっと待っていた・・・。
ホールディングスの経理部は俺には全然合っていなくて何度も辞めようと思った。
でも会社という繋がりがなくなったら“純ちゃん”との繋がりもなくなるような気がして、必死に順応しながら“純ちゃん”が俺の所に戻ってくるのを待ってた。
“最後の日”に郵便受けに鍵を返されていたけど、また必ず戻ってくるのだと楽しみにして。」
「もう、いいよ・・・。
そういうの、もう言わないで・・・。」
「また後になってから気付いた。
“純ちゃん”の誕生日に“おめでとう”と送っても返事がなくて、心配になってお兄さんに初めて話し掛けたら責められて・・・。」
砂川さんが凄く苦しそうな顔で私のことを見詰めてくる。
「“純ちゃん”とよく似た顔で、なのにいつも俺に見せていた顔ではない凄く冷たい顔で・・・。
“残念”としか言いようがないような顔で責められて、分かった。」
苦しそうな砂川さんの顔がゆっくりと下りてきて、私の顔のすぐ横に顔を埋めた。
そして・・・
「俺は“純ちゃん”のことが女の子として好きだった・・・。
俺の前では可愛い顔を見せてくれる“純ちゃん”のことが女の子として好きだった・・・。」
私の耳元で砂川さんは低くて苦しそうな声を出してきて・・・
「普通のセックスをしてあげられなくてごめんね、“純ちゃん”・・・。
女の子としてちゃんと愛してあげられなくてごめんね・・・。」
震え続ける手でそんな謝罪までしてきて・・・。
「あんなセックスに“気持ち良かった”と・・・“嬉しい”と、“幸せ”だと・・・本当にそういう顔で笑ってくれた“純ちゃん”のことを俺は好きだと後になってから気付いた・・・。」
嘘だと分かっている。
演技だとちゃんと分かっている。
なのにこの目から涙は止まらなくて。
私の心はこんなにも喜んでしまって。
“純ちゃん”がずっと聞きたかった言葉だからかもしれない。
砂川さんに“純ちゃん”はずっとこんな言葉を言って欲しかったのだと今気付いた。
本当はずっと気付いていたはずだけど、私はずっとずっと気付かないフリをしていた。
力が抜けてしまった両手は砂川さんの両手により胸の前からゆっくりと退かされていく。
そして・・・
砂川さんの両手が私の身体を抱き締めた。
優しくではなく、痛いくらい強く抱き締めてきて・・・
「好きだよ、“純愛ちゃん”。」
私の耳元で囁くようにそう言って・・・
「あの店で“純ちゃん”が泣いている姿を見たらどうしても我慢なんて出来なかった。
俺はやっぱり“純ちゃん”のことが好きで・・・」
砂川さんの大きくて固い“雄”のモノが私の下腹部に押し付けられる・・・。
「“純ちゃん”の泣いている顔も笑っている顔も怒っている顔も、俺が全部見たい。」
私の首筋に埋めていた砂川さんの顔はゆっくりと離れていき・・・
やっぱり“雄”としか見えない顔で私のことを見詰めてきた。
「悪い女になっている“純愛ちゃん”の顔も見ていたい。
あれはあれで何だか凄く可愛い。」
名演技でそう言ったかと思ったら・・・
「・・・・・っ」
私の唇にまた唇をつけてきた。
その度に俺も“純ちゃん”の所に戻った。」
「“人”として・・・、砂川さんは私のことを“人”として好きだったから・・・。」
“エッチがしたい”と言った私に砂川さんは何度も何度も抵抗し、私は何度も何度も泣く泣く諦めた。
そして何度も何度も、砂川さんは私のトコロに戻ってきては“もう1度試してみたい”と言ってきた。
私のことを“人”として好きだからと言って。
“このまま終わりになってしまうのは嫌だと思った”と、そんなことを言って。
「俺の異動で“純ちゃん”とのセフレという関係も終わるのだと思っていた。
いつか終わりが来るとは思っていたから、あのタイミングが終わりのタイミングだと予想出来た。
でも“純ちゃん”は“また戻ってくる”と言っていたから、俺は待っていた。」
「それは・・・砂川さんが私にセフレっていう話をした前の会話だったから・・・。」
演技なだけで意味なんて何もない会話に思わず返してしまう。
「ずっと待っていた・・・。
ホールディングスの経理部は俺には全然合っていなくて何度も辞めようと思った。
でも会社という繋がりがなくなったら“純ちゃん”との繋がりもなくなるような気がして、必死に順応しながら“純ちゃん”が俺の所に戻ってくるのを待ってた。
“最後の日”に郵便受けに鍵を返されていたけど、また必ず戻ってくるのだと楽しみにして。」
「もう、いいよ・・・。
そういうの、もう言わないで・・・。」
「また後になってから気付いた。
“純ちゃん”の誕生日に“おめでとう”と送っても返事がなくて、心配になってお兄さんに初めて話し掛けたら責められて・・・。」
砂川さんが凄く苦しそうな顔で私のことを見詰めてくる。
「“純ちゃん”とよく似た顔で、なのにいつも俺に見せていた顔ではない凄く冷たい顔で・・・。
“残念”としか言いようがないような顔で責められて、分かった。」
苦しそうな砂川さんの顔がゆっくりと下りてきて、私の顔のすぐ横に顔を埋めた。
そして・・・
「俺は“純ちゃん”のことが女の子として好きだった・・・。
俺の前では可愛い顔を見せてくれる“純ちゃん”のことが女の子として好きだった・・・。」
私の耳元で砂川さんは低くて苦しそうな声を出してきて・・・
「普通のセックスをしてあげられなくてごめんね、“純ちゃん”・・・。
女の子としてちゃんと愛してあげられなくてごめんね・・・。」
震え続ける手でそんな謝罪までしてきて・・・。
「あんなセックスに“気持ち良かった”と・・・“嬉しい”と、“幸せ”だと・・・本当にそういう顔で笑ってくれた“純ちゃん”のことを俺は好きだと後になってから気付いた・・・。」
嘘だと分かっている。
演技だとちゃんと分かっている。
なのにこの目から涙は止まらなくて。
私の心はこんなにも喜んでしまって。
“純ちゃん”がずっと聞きたかった言葉だからかもしれない。
砂川さんに“純ちゃん”はずっとこんな言葉を言って欲しかったのだと今気付いた。
本当はずっと気付いていたはずだけど、私はずっとずっと気付かないフリをしていた。
力が抜けてしまった両手は砂川さんの両手により胸の前からゆっくりと退かされていく。
そして・・・
砂川さんの両手が私の身体を抱き締めた。
優しくではなく、痛いくらい強く抱き締めてきて・・・
「好きだよ、“純愛ちゃん”。」
私の耳元で囁くようにそう言って・・・
「あの店で“純ちゃん”が泣いている姿を見たらどうしても我慢なんて出来なかった。
俺はやっぱり“純ちゃん”のことが好きで・・・」
砂川さんの大きくて固い“雄”のモノが私の下腹部に押し付けられる・・・。
「“純ちゃん”の泣いている顔も笑っている顔も怒っている顔も、俺が全部見たい。」
私の首筋に埋めていた砂川さんの顔はゆっくりと離れていき・・・
やっぱり“雄”としか見えない顔で私のことを見詰めてきた。
「悪い女になっている“純愛ちゃん”の顔も見ていたい。
あれはあれで何だか凄く可愛い。」
名演技でそう言ったかと思ったら・・・
「・・・・・っ」
私の唇にまた唇をつけてきた。
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