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「この誓約書、俺達の関係について純愛ちゃんは責任を負わないっていうことが言いたいの?」
「うん・・・。」
口頭で説明する内容を砂川さんの方から聞いてきてくれた。
「純愛ちゃんは俺が相手で大丈夫なの?」
「うん・・・。」
「彼氏には俺達のことを秘密にする?」
「ううん、彼氏も知ってる。
相手が砂川さんだとは知らないけど、私が他の男の人とエッチをすることは知ってる。
元々それをすすめてきたのは彼氏だから。」
「相手は田代君だと思ってる?」
「田代じゃないことも知ってる。
私が昔・・・片想いをしていた相手で、昔エッチをしていた相手だって知ってる。」
俯きながらそれを口にした後、砂川さんは少しだけ無言になった。
そして・・・
「俺には2人が何を考えているのか全く分からない。」
そう言って、私の手から抜き取ったメモ用紙を私に返そうとしてきた。
「佐伯さんの意見は経理部でいつも1番厳しいからね。
佐伯さんの差し金でもあるんだろうけど、若い女の子が考えることは俺には全く理解が出来ない。」
佐伯さんが書いてくれた誓約書を私に押し付けようとしてきたかと思ったら、砂川さんはその誓約書を手の中でグシャッと押し潰してしまった。
「こんなバカみたいなことをする前に、彼氏とちゃんとセックスが出来るように2人で努力をした方が良い。」
その言葉には思わず顔を上げ、乾いた笑い声を出してしまった。
「私の努力なんて全然意味がないことは砂川さんが1番知ってるじゃん・・・っ。
私、いっぱい努力してたよ・・・?
電気は絶対に消していたし顔は絶対に見せないようにしていたし、エッチの最中には手だって少しも砂川さんの身体につけないようにしてた・・・っ。」
砂川さんとエッチをする為に私はいつもいつもいつも努力をしていた。
「何をしてもほとんど変わらないような砂川さんのモノが少し大きくなったタイミングで避妊具をつけて、すぐに穴の中に入れて必死に動いてた。」
「うん、ごめんね・・・。
俺はそういう欲が全くなかったから。」
「嘘つき・・・。」
羽鳥さんとは夢中でエッチをしているはずの砂川さんに“嘘つき”と言った。
「昨日私と出来るって言った言葉もやっぱり嘘だったじゃん・・・。
やっぱり、私のことが可哀想だから言っただけだったじゃん・・・。
やっぱり出来ないなら昨日あんな嘘なんてつかないで欲しかった・・・。」
砂川さんに向かって手の平を差し出す。
「もう1回田代にお願いしてくる。
土下座でも何でもして、田代にお願いしてくる。
誓約書、返して。」
田代にはこの誓約書は必要ないだろうけど、砂川さんには何も持っていて欲しくないからそう言った。
なのに砂川さんは誓約書を握り締めた手を開くことはなく、むしろその手を強く握り締めたように見える。
それを見て、私は砂川さんに背中を向けた。
「セクハラをしてごめんなさい。
私・・・私、3年間も砂川さんにセクハラをしてたことになるよね・・・。
砂川さんは毎回嫌がってたのに無理矢理エッチをしてごめんなさい・・・。
謝罪をしないといけないのは私の方だよ・・・。
ずっと謝らないとなって私も思ってた・・・。
今日も・・・今日も、昨日の砂川さんの言葉を利用しようとしてセクハラをしてごめんなさい・・・。」
“あの日”も私は砂川さんにセクハラをした。
そのセクハラに砂川さんは必死に抵抗をして私は泣く泣く諦めてこの道を歩いた。
こんな風に号泣をしながら、砂川さんにスーツのジャケットを返すことも忘れて。
今日も“あの日”と同じ“Hatori”のワンピースを着た私が走るようにこの道を歩いていく。
“あの日”と同じように、砂川さんの家に来てしまったことを深く後悔しながら・・・。
こんなことになってしまうなら砂川さんの家になんて来なければ良かったと思いながら・・・。
「悪い女って、どうやってなるんだろう・・・。」
佐伯さんの“狂気”の姿を思い浮かべながら歩き続けていた時・・・
「純ちゃん・・・・!!!!!」
砂川さんが私のことを“純ちゃん”と呼ぶ声が聞こえ・・・
「純愛ちゃん・・・・!!!!!」
今度は私のことを“純愛ちゃん”と呼んだ砂川さんが、私の腕を強引に引きこの足が前に進むことを阻止した。
そして・・・
「これ、書いたから・・・!!」
私の胸に“何か”を押し付けてきて、それを見下ろすとそこには佐伯さんが作ってくれたグシャグシャになった可愛い誓約書が。
「こういった契約書や誓約書というのは公序良俗に違反する場合は無効になる。
だから佐伯さんは敢えて明確な文言を記載せずに全てに対応が出来るようなこんな内容の文面を作成したと推測出来る。
佐伯さんが純愛ちゃんに何をさせようとしているのか俺は全く分からないけど、あの子は普通の女の子ではないことは俺も知っている。」
恐らく走ったであろう砂川さんか呼吸を上げたまま続ける。
「俺は・・・俺はとにかく、純愛ちゃんのその顔を誰にも見られたくない。
純愛ちゃんのそういう顔を俺以外の男も見るのかと思うとそれは嫌だと再会した時に気付いた。」
「今の私の顔・・・そんなにヤバい?」
昔から何があっても顔を作ってきた私。
砂川さんの前ではきっと酷い顔ばかりしていた私に砂川さんがそんなことを言ってくる。
「うん・・・ヤバいから誰にも見せない方が良い。
出来れば彼氏にも見せない方が良い。」
砂川さんが私に万年筆と朱肉まで押し付けてきて、それを私は無意識に受け取った。
「彼氏はこのことを了承しているんだよね?」
「うん・・・。」
「分かった、俺が純愛ちゃんのセカンドバージンを貰うよ。」
「いいの・・・?」
「うん、純愛ちゃんと彼氏がそれで良いなら。」
「そうじゃなくて、砂川さんは大丈夫なの?
その誓約書、書いて本当に大丈夫だったの?」
「うん、何が起きたとしても俺が全て責任を負うよ。」
「そんなに・・・?」
私は泣きながらグチャグチャの誓約書も受け取り、それを見下ろした。
そしたら乙のトコロには砂川さんの家の住所と氏名、拇印が押されていた。
それを見詰め続けながら聞く。
「そんなに私は可哀想・・・?」
聞いた私に砂川さんは少しだけ無言になり・・・
「うん、可哀想・・・。」
そう返事をしてきた。
それを聞き、私は泣きがらも大きく笑った。
そしてグチャグチャの誓約書の甲のトコロに私の住所と氏名を殴り書きし、最後に拇印を押した。
「その誓約書に1つ付け足しておいて、日付が抜けてる。」
そう言われ腕時計を確認すると、夜12時になる少し前。
だから誓約書には今日の年、それと4月2日と付け足した。
「佐伯さん、困った子だな・・・。」
砂川さんが佐伯さんのことを少しだけ悪く言ってきたのでそれには黙っていられなかった。
「佐伯さんは全然悪くないから。
つまらない顔で生きてきた私が全部悪いの。
佐伯さんの悪口は私の前で絶対に言わないで。」
無意識に力が込められた言葉に砂川さんは凄く驚いた顔をしていた。
でも、私だって驚いた。
砂川さんがこの誓約書に本当に署名と捺印をしてしまった。
羽鳥さんと婚約をしている砂川さんが。
「砂川さんって勉強も仕事も出来るけどバカでしょ?」
乾いた笑い声と一緒にそう聞くと、砂川さんは困った顔で頷いた。
「うん、俺はバカだよ。
いつもいつも後になってから気付くんだよね。」
きっと後で後悔をするであろう砂川さんは私の手から万年筆と朱肉、そしてグチャグチャの誓約書を抜き取り自分の家の方を指差した。
「コピーを取るから俺の家においで。」
「それは新しい台詞だね。」
「何が?」
「“俺の家においでシリーズ”。」
「・・・ごめんね、俺昔より更にオジサンになってるから純愛ちゃんが何を言っているのか全く分からない。」
「相変わらずめっちゃ変なオジサンだよね。
変わったと思ってたのにやっぱり変なオジサン。」
「うん、こっちの経理部の女性達からパワハラの如く言われているよ。」
「それは自業自得。」
「そんなにかな?」
「うん、そんなに。」
昔と同じようなやり取りをしながら砂川さんの家まで砂川さんと並びながら歩いていく。
誓約書を交わしたから“怖い”とは思わなかった。
「純愛ちゃんは少し悪い子になったね。
昔は凄く良い子だったのに。」
「“悪い子”じゃなくて“悪い女”を目指してるトコロなの。」
「・・・佐伯さんに任せるの、反対するべきだったかな。」
.
「うん・・・。」
口頭で説明する内容を砂川さんの方から聞いてきてくれた。
「純愛ちゃんは俺が相手で大丈夫なの?」
「うん・・・。」
「彼氏には俺達のことを秘密にする?」
「ううん、彼氏も知ってる。
相手が砂川さんだとは知らないけど、私が他の男の人とエッチをすることは知ってる。
元々それをすすめてきたのは彼氏だから。」
「相手は田代君だと思ってる?」
「田代じゃないことも知ってる。
私が昔・・・片想いをしていた相手で、昔エッチをしていた相手だって知ってる。」
俯きながらそれを口にした後、砂川さんは少しだけ無言になった。
そして・・・
「俺には2人が何を考えているのか全く分からない。」
そう言って、私の手から抜き取ったメモ用紙を私に返そうとしてきた。
「佐伯さんの意見は経理部でいつも1番厳しいからね。
佐伯さんの差し金でもあるんだろうけど、若い女の子が考えることは俺には全く理解が出来ない。」
佐伯さんが書いてくれた誓約書を私に押し付けようとしてきたかと思ったら、砂川さんはその誓約書を手の中でグシャッと押し潰してしまった。
「こんなバカみたいなことをする前に、彼氏とちゃんとセックスが出来るように2人で努力をした方が良い。」
その言葉には思わず顔を上げ、乾いた笑い声を出してしまった。
「私の努力なんて全然意味がないことは砂川さんが1番知ってるじゃん・・・っ。
私、いっぱい努力してたよ・・・?
電気は絶対に消していたし顔は絶対に見せないようにしていたし、エッチの最中には手だって少しも砂川さんの身体につけないようにしてた・・・っ。」
砂川さんとエッチをする為に私はいつもいつもいつも努力をしていた。
「何をしてもほとんど変わらないような砂川さんのモノが少し大きくなったタイミングで避妊具をつけて、すぐに穴の中に入れて必死に動いてた。」
「うん、ごめんね・・・。
俺はそういう欲が全くなかったから。」
「嘘つき・・・。」
羽鳥さんとは夢中でエッチをしているはずの砂川さんに“嘘つき”と言った。
「昨日私と出来るって言った言葉もやっぱり嘘だったじゃん・・・。
やっぱり、私のことが可哀想だから言っただけだったじゃん・・・。
やっぱり出来ないなら昨日あんな嘘なんてつかないで欲しかった・・・。」
砂川さんに向かって手の平を差し出す。
「もう1回田代にお願いしてくる。
土下座でも何でもして、田代にお願いしてくる。
誓約書、返して。」
田代にはこの誓約書は必要ないだろうけど、砂川さんには何も持っていて欲しくないからそう言った。
なのに砂川さんは誓約書を握り締めた手を開くことはなく、むしろその手を強く握り締めたように見える。
それを見て、私は砂川さんに背中を向けた。
「セクハラをしてごめんなさい。
私・・・私、3年間も砂川さんにセクハラをしてたことになるよね・・・。
砂川さんは毎回嫌がってたのに無理矢理エッチをしてごめんなさい・・・。
謝罪をしないといけないのは私の方だよ・・・。
ずっと謝らないとなって私も思ってた・・・。
今日も・・・今日も、昨日の砂川さんの言葉を利用しようとしてセクハラをしてごめんなさい・・・。」
“あの日”も私は砂川さんにセクハラをした。
そのセクハラに砂川さんは必死に抵抗をして私は泣く泣く諦めてこの道を歩いた。
こんな風に号泣をしながら、砂川さんにスーツのジャケットを返すことも忘れて。
今日も“あの日”と同じ“Hatori”のワンピースを着た私が走るようにこの道を歩いていく。
“あの日”と同じように、砂川さんの家に来てしまったことを深く後悔しながら・・・。
こんなことになってしまうなら砂川さんの家になんて来なければ良かったと思いながら・・・。
「悪い女って、どうやってなるんだろう・・・。」
佐伯さんの“狂気”の姿を思い浮かべながら歩き続けていた時・・・
「純ちゃん・・・・!!!!!」
砂川さんが私のことを“純ちゃん”と呼ぶ声が聞こえ・・・
「純愛ちゃん・・・・!!!!!」
今度は私のことを“純愛ちゃん”と呼んだ砂川さんが、私の腕を強引に引きこの足が前に進むことを阻止した。
そして・・・
「これ、書いたから・・・!!」
私の胸に“何か”を押し付けてきて、それを見下ろすとそこには佐伯さんが作ってくれたグシャグシャになった可愛い誓約書が。
「こういった契約書や誓約書というのは公序良俗に違反する場合は無効になる。
だから佐伯さんは敢えて明確な文言を記載せずに全てに対応が出来るようなこんな内容の文面を作成したと推測出来る。
佐伯さんが純愛ちゃんに何をさせようとしているのか俺は全く分からないけど、あの子は普通の女の子ではないことは俺も知っている。」
恐らく走ったであろう砂川さんか呼吸を上げたまま続ける。
「俺は・・・俺はとにかく、純愛ちゃんのその顔を誰にも見られたくない。
純愛ちゃんのそういう顔を俺以外の男も見るのかと思うとそれは嫌だと再会した時に気付いた。」
「今の私の顔・・・そんなにヤバい?」
昔から何があっても顔を作ってきた私。
砂川さんの前ではきっと酷い顔ばかりしていた私に砂川さんがそんなことを言ってくる。
「うん・・・ヤバいから誰にも見せない方が良い。
出来れば彼氏にも見せない方が良い。」
砂川さんが私に万年筆と朱肉まで押し付けてきて、それを私は無意識に受け取った。
「彼氏はこのことを了承しているんだよね?」
「うん・・・。」
「分かった、俺が純愛ちゃんのセカンドバージンを貰うよ。」
「いいの・・・?」
「うん、純愛ちゃんと彼氏がそれで良いなら。」
「そうじゃなくて、砂川さんは大丈夫なの?
その誓約書、書いて本当に大丈夫だったの?」
「うん、何が起きたとしても俺が全て責任を負うよ。」
「そんなに・・・?」
私は泣きながらグチャグチャの誓約書も受け取り、それを見下ろした。
そしたら乙のトコロには砂川さんの家の住所と氏名、拇印が押されていた。
それを見詰め続けながら聞く。
「そんなに私は可哀想・・・?」
聞いた私に砂川さんは少しだけ無言になり・・・
「うん、可哀想・・・。」
そう返事をしてきた。
それを聞き、私は泣きがらも大きく笑った。
そしてグチャグチャの誓約書の甲のトコロに私の住所と氏名を殴り書きし、最後に拇印を押した。
「その誓約書に1つ付け足しておいて、日付が抜けてる。」
そう言われ腕時計を確認すると、夜12時になる少し前。
だから誓約書には今日の年、それと4月2日と付け足した。
「佐伯さん、困った子だな・・・。」
砂川さんが佐伯さんのことを少しだけ悪く言ってきたのでそれには黙っていられなかった。
「佐伯さんは全然悪くないから。
つまらない顔で生きてきた私が全部悪いの。
佐伯さんの悪口は私の前で絶対に言わないで。」
無意識に力が込められた言葉に砂川さんは凄く驚いた顔をしていた。
でも、私だって驚いた。
砂川さんがこの誓約書に本当に署名と捺印をしてしまった。
羽鳥さんと婚約をしている砂川さんが。
「砂川さんって勉強も仕事も出来るけどバカでしょ?」
乾いた笑い声と一緒にそう聞くと、砂川さんは困った顔で頷いた。
「うん、俺はバカだよ。
いつもいつも後になってから気付くんだよね。」
きっと後で後悔をするであろう砂川さんは私の手から万年筆と朱肉、そしてグチャグチャの誓約書を抜き取り自分の家の方を指差した。
「コピーを取るから俺の家においで。」
「それは新しい台詞だね。」
「何が?」
「“俺の家においでシリーズ”。」
「・・・ごめんね、俺昔より更にオジサンになってるから純愛ちゃんが何を言っているのか全く分からない。」
「相変わらずめっちゃ変なオジサンだよね。
変わったと思ってたのにやっぱり変なオジサン。」
「うん、こっちの経理部の女性達からパワハラの如く言われているよ。」
「それは自業自得。」
「そんなにかな?」
「うん、そんなに。」
昔と同じようなやり取りをしながら砂川さんの家まで砂川さんと並びながら歩いていく。
誓約書を交わしたから“怖い”とは思わなかった。
「純愛ちゃんは少し悪い子になったね。
昔は凄く良い子だったのに。」
「“悪い子”じゃなくて“悪い女”を目指してるトコロなの。」
「・・・佐伯さんに任せるの、反対するべきだったかな。」
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