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「園江さんのお兄ちゃんってウザイくらいのシスコンだよね。
本人に自覚がない所がヤバさを増してる。」
伸び切ったうどんを掻き込んでいると佐伯さんが真面目な声でそう言ってきた。
「私が可愛くないから心配とは昔から言われてるけど。」
「あれ、心の奥底ではめちゃくちゃ可愛がってるよ。
そうじゃなければわざわざ妹の指導担当に会いに来る?」
「昨日私が泣きながら帰っちゃったからじゃない?」
「私のせいだと思われててムカつく。
純愛ちゃんのことを泣かせたのは私じゃない男なのに。」
私のことをまた“純愛ちゃん”と呼んだ佐伯さんのことを不味いうどんを食べながら見ると、佐伯さんは“雄”の顔で物凄く怒っている。
「マジでムカつくから絶対に変えてやる。
私が純愛ちゃんのことを絶対に女にする。
誰に聞いても“女”だって答える本当の“女”に。」
園江さんはジャケットのポケットから可愛いメモ帳とボールペンを取り出しサラサラと何かを書き始めた。
そして私が不味いうどんを食べ終えた時にメモ帳のページを綺麗に千切り私に渡してきた。
それを受け取り見てみると・・・
「誓約書?」
可愛い紙には“誓約書”と書かれていて・・・
「その男がそれに署名と捺印が出来るならその男を利用しよう。」
佐伯さんがそんな怖いことを言ってきた。
「純愛ちゃんとその男の関係により今後何らかの事態が起きた際、その全てにおいて純愛ちゃんが責任を負うことはないっていう誓約書。」
「何でこんな誓約書に署名と捺印をして貰うの?」
「その男、“乙(おつ)”は婚約者がいるのに純愛ちゃんとエッ・・・アレをしようとした変な奴だからね。
でも可哀想だからっていう理由だけど純愛ちゃんのことを“好き”だと言って本気でアレをしようとした変な優しさもある奴で。」
佐伯さんが“雄”の顔で不機嫌になりながら続けた。
「純愛ちゃんが“女”になる為に“乙”を利用する。」
そう言って・・・
「純愛ちゃんを大切出来るエッ・・・が出来るっていうならもうこの“乙”しかいない。
どんな方法であれ実際に昔やってたわけだし、出来ないわけでは本当にないはずだし。
昔純愛ちゃんの初めてを貰ったこの“乙”は純愛ちゃんのことを“女の子”にした。
だから今度は純愛ちゃんのことを“女”にして貰う。」
私の震えてきた手で持つ可愛い紙を佐伯さんが指差した。
「甲と乙がエッ・・・をしてる関係だって乙の婚約者にバレた時、純愛ちゃんは責任を負わないっていう誓約書。
それについては口頭で話してみて。
それでもこの誓約書に署名と捺印が出来たなら、そんなバカな乙の身体は利用したい。」
「利用とか・・・そういうのは嫌だな・・・。」
「元々は乙のせいで営業部にいられないくらい疲れたわけだし、これなら乙に責任を取らせられる。
彼女じゃない女の子の穴に無責任に入った罰を受けさせてやる。
純愛ちゃんはまだ乙とエッ・・・出来そう?」
「分からない・・・。」
「本当は?」
「“婚約者が羨ましい”って思ってた・・・。」
「いいじゃん、その婚約者は今度は“可哀想な婚約者”になる。
婚約者は別の女ともエッ・・・しちゃう最低な男なんだから。」
「そんなの・・・婚約者に悪いよ。」
誓約書を見下ろしながら口にした私に佐伯さんはゆっくりと椅子から立ち上がった。
何故か佐伯さんの方を見上げてしまうと、佐伯さんは信じられないくらい悪い顔で笑っている。
「“悪い女”になるのが怖い?
良い子なままでこれまで欲しいモノは手に入った?
本当に本当に欲しいモノがあるなら“悪い女”にだって何にだってなったって良いでしょ?」
この前と同じように“狂気”の佐伯さんが私のことを真っ直ぐと見詰め・・・
「乙にして欲しかったこと、この際1つ残らずやって貰ってきて。」
そう言って、今度は私の顔を指差し・・・
その指を私の胸の辺りにゆっくりと下げた。
「純愛ちゃんの命と身体は今は私が貰ってる。
20年間悪いことをしまくってきた私が握ってるんだよ?
だから純愛ちゃんはどんなに悪いことだって今なら出来る。」
そう言われ・・・
そう言われてしまったからか・・・
何だかそんな気がしてきてしまった。
本当に・・・本当に、そう思えてきた・・・。
本人に自覚がない所がヤバさを増してる。」
伸び切ったうどんを掻き込んでいると佐伯さんが真面目な声でそう言ってきた。
「私が可愛くないから心配とは昔から言われてるけど。」
「あれ、心の奥底ではめちゃくちゃ可愛がってるよ。
そうじゃなければわざわざ妹の指導担当に会いに来る?」
「昨日私が泣きながら帰っちゃったからじゃない?」
「私のせいだと思われててムカつく。
純愛ちゃんのことを泣かせたのは私じゃない男なのに。」
私のことをまた“純愛ちゃん”と呼んだ佐伯さんのことを不味いうどんを食べながら見ると、佐伯さんは“雄”の顔で物凄く怒っている。
「マジでムカつくから絶対に変えてやる。
私が純愛ちゃんのことを絶対に女にする。
誰に聞いても“女”だって答える本当の“女”に。」
園江さんはジャケットのポケットから可愛いメモ帳とボールペンを取り出しサラサラと何かを書き始めた。
そして私が不味いうどんを食べ終えた時にメモ帳のページを綺麗に千切り私に渡してきた。
それを受け取り見てみると・・・
「誓約書?」
可愛い紙には“誓約書”と書かれていて・・・
「その男がそれに署名と捺印が出来るならその男を利用しよう。」
佐伯さんがそんな怖いことを言ってきた。
「純愛ちゃんとその男の関係により今後何らかの事態が起きた際、その全てにおいて純愛ちゃんが責任を負うことはないっていう誓約書。」
「何でこんな誓約書に署名と捺印をして貰うの?」
「その男、“乙(おつ)”は婚約者がいるのに純愛ちゃんとエッ・・・アレをしようとした変な奴だからね。
でも可哀想だからっていう理由だけど純愛ちゃんのことを“好き”だと言って本気でアレをしようとした変な優しさもある奴で。」
佐伯さんが“雄”の顔で不機嫌になりながら続けた。
「純愛ちゃんが“女”になる為に“乙”を利用する。」
そう言って・・・
「純愛ちゃんを大切出来るエッ・・・が出来るっていうならもうこの“乙”しかいない。
どんな方法であれ実際に昔やってたわけだし、出来ないわけでは本当にないはずだし。
昔純愛ちゃんの初めてを貰ったこの“乙”は純愛ちゃんのことを“女の子”にした。
だから今度は純愛ちゃんのことを“女”にして貰う。」
私の震えてきた手で持つ可愛い紙を佐伯さんが指差した。
「甲と乙がエッ・・・をしてる関係だって乙の婚約者にバレた時、純愛ちゃんは責任を負わないっていう誓約書。
それについては口頭で話してみて。
それでもこの誓約書に署名と捺印が出来たなら、そんなバカな乙の身体は利用したい。」
「利用とか・・・そういうのは嫌だな・・・。」
「元々は乙のせいで営業部にいられないくらい疲れたわけだし、これなら乙に責任を取らせられる。
彼女じゃない女の子の穴に無責任に入った罰を受けさせてやる。
純愛ちゃんはまだ乙とエッ・・・出来そう?」
「分からない・・・。」
「本当は?」
「“婚約者が羨ましい”って思ってた・・・。」
「いいじゃん、その婚約者は今度は“可哀想な婚約者”になる。
婚約者は別の女ともエッ・・・しちゃう最低な男なんだから。」
「そんなの・・・婚約者に悪いよ。」
誓約書を見下ろしながら口にした私に佐伯さんはゆっくりと椅子から立ち上がった。
何故か佐伯さんの方を見上げてしまうと、佐伯さんは信じられないくらい悪い顔で笑っている。
「“悪い女”になるのが怖い?
良い子なままでこれまで欲しいモノは手に入った?
本当に本当に欲しいモノがあるなら“悪い女”にだって何にだってなったって良いでしょ?」
この前と同じように“狂気”の佐伯さんが私のことを真っ直ぐと見詰め・・・
「乙にして欲しかったこと、この際1つ残らずやって貰ってきて。」
そう言って、今度は私の顔を指差し・・・
その指を私の胸の辺りにゆっくりと下げた。
「純愛ちゃんの命と身体は今は私が貰ってる。
20年間悪いことをしまくってきた私が握ってるんだよ?
だから純愛ちゃんはどんなに悪いことだって今なら出来る。」
そう言われ・・・
そう言われてしまったからか・・・
何だかそんな気がしてきてしまった。
本当に・・・本当に、そう思えてきた・・・。
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※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
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