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夕方
経理部の部屋の中で、これから人事部長に退職願いを渡す為に小さく深呼吸をした。
昼休みに準備していた退職願いを黒い手帳の間に挟み、心の中で気合いを入れた後に椅子から立ち上がった。
気合いを入れたはずなのに、私はデスクに置いた黒い手帳を見下ろしたままなかなか顔が上げられずにいる。
なのに・・・
不思議と顔を上げてしまった。
経理部の扉に“何か”の強い気配を感じたから。
それが何なのかよく分からないけれど顔を上げて確認をした。
そしたら、私だけではなく経理部中の全ての社員が私と同じ方を向いていた。
それを視界に入れながら私は息を飲んだ。
だって、とんでもなく綺麗で可愛くて、オーラまで凄くある女の子が扉を開けて立っていたから。
うちの会社で初めて見るその女の子は何も言わずに部屋の中に入ってきた。
紺色のタイトワンピースにクリーム色のジャケットを羽織った女の子は、高いヒールの靴は履いているようだけど私よりは全然小さくて。
なのに信じられないくらい大きくも見える。
綺麗で可愛い顔をキリッとさせ、気の強そうな表情がこの女の子をもっと魅力的にする。
そんな“普通”ではない女の子が私の方に歩いてきて・・・。
私のことを真っ直ぐと見ながら、歩いてきて・・・。
私の目の前で止まった。
そして綺麗なピンク色のリップをしている口をゆっくりと開き・・・
「ふ~ん、写真よりも綺麗で格好良いね。」
私を見上げながらそんなことを言った。
「部長って誰?
ちょっとこの人借りるから。」
部長じゃない人のことを見ながら私のことを指差していて、それには本当の部長が慌てながら立ち上がった。
「僕が部長だよ。キミは?」
「これ名刺。」
女の子が可愛い名刺入れから名刺を取り出すと、それを床にヒラヒラと数枚落とした。
部長が驚きながらもその名刺を拾い上げる。
「ホールディングスの経理部、佐伯さん・・・。」
「うん、そう。
この人ちょっと借りるから。」
増田ホールディングスの経理部の佐伯さんだという女の子が私のことを見上げながらまた口を開く。
「明日からのことでアナタの意向確認にわざわざ私が来たの。
その綺麗で格好良い顔をちょっと貸してよ。」
経理部の部屋の中で、これから人事部長に退職願いを渡す為に小さく深呼吸をした。
昼休みに準備していた退職願いを黒い手帳の間に挟み、心の中で気合いを入れた後に椅子から立ち上がった。
気合いを入れたはずなのに、私はデスクに置いた黒い手帳を見下ろしたままなかなか顔が上げられずにいる。
なのに・・・
不思議と顔を上げてしまった。
経理部の扉に“何か”の強い気配を感じたから。
それが何なのかよく分からないけれど顔を上げて確認をした。
そしたら、私だけではなく経理部中の全ての社員が私と同じ方を向いていた。
それを視界に入れながら私は息を飲んだ。
だって、とんでもなく綺麗で可愛くて、オーラまで凄くある女の子が扉を開けて立っていたから。
うちの会社で初めて見るその女の子は何も言わずに部屋の中に入ってきた。
紺色のタイトワンピースにクリーム色のジャケットを羽織った女の子は、高いヒールの靴は履いているようだけど私よりは全然小さくて。
なのに信じられないくらい大きくも見える。
綺麗で可愛い顔をキリッとさせ、気の強そうな表情がこの女の子をもっと魅力的にする。
そんな“普通”ではない女の子が私の方に歩いてきて・・・。
私のことを真っ直ぐと見ながら、歩いてきて・・・。
私の目の前で止まった。
そして綺麗なピンク色のリップをしている口をゆっくりと開き・・・
「ふ~ん、写真よりも綺麗で格好良いね。」
私を見上げながらそんなことを言った。
「部長って誰?
ちょっとこの人借りるから。」
部長じゃない人のことを見ながら私のことを指差していて、それには本当の部長が慌てながら立ち上がった。
「僕が部長だよ。キミは?」
「これ名刺。」
女の子が可愛い名刺入れから名刺を取り出すと、それを床にヒラヒラと数枚落とした。
部長が驚きながらもその名刺を拾い上げる。
「ホールディングスの経理部、佐伯さん・・・。」
「うん、そう。
この人ちょっと借りるから。」
増田ホールディングスの経理部の佐伯さんだという女の子が私のことを見上げながらまた口を開く。
「明日からのことでアナタの意向確認にわざわざ私が来たの。
その綺麗で格好良い顔をちょっと貸してよ。」
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