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「え!?2人とも望さんのお友達なの!?」
砂川さんと羽鳥さんが2人で着いていたテーブルに私と田代も同席してから謎の“乾杯”をし、羽鳥さんにそのことを告げるとこんなにも可愛らしく驚いている。
「田代君は・・・うん、“田代君”だよね?
何度も聞きたことがあるし写真も見たことがあるよ!
でもスーツだとまた印象が違うね?
随分と大人になって~!!」
「あざっす!!
まさか“一美さん”とお会い出来る機会があるとは思いませんでしたよ!!
望からは“一美さんが好きになると困るから”とか意味不明な理由で家に遊びに行くことも止められてて!!」
「え~、なんだろうね、それ。」
羽鳥さんが美しい顔でクスクスと可愛らしく笑う。
その顔のまま私のことを見てきて少し悩んだ顔になった。
「園江さんは・・・ごめんね?
望さんから聞いたことがないな。」
「こいつは望から“ソッちゃん”って呼ばれてますよ!」
「・・・え・・・“ソッちゃん”・・・?
ソッちゃんって・・・え・・・ソッちゃん?」
羽鳥さんが大きな目をこれでもかというくらい大きく見開き私のことを見詰めてくる。
そして・・・
「ごめんね・・・ソッちゃんって女の子だったんだね・・・。」
羽鳥さんの言葉に田代が煩いくらい笑っている。
「本当にごめんね・・・っえっと、制服の写真も見たことがあるけど顔のアップの写真しか見たことがなくて。
それに出てくるソッちゃんのエピソードが“女の子から学校で1番モテる”とか“卒業式はほぼ裸みたいな格好で帰ったくらいに女の子達から制服とかを貰われた”とか、そんなエピソードで・・・。」
慌てながらそんな言い訳をし、私の顔を見詰めながらフンワリと笑った。
「お化粧は落ち掛けてるけど綺麗で格好良くて素敵な女の子なのは分かるから、ソッちゃんだとは気付かなかったよ、ごめんね?」
私よりも1歳だけ年上の羽鳥さんが私のことを“女の子”だと言ってくれた。
こんな私のことをマナリーと望が言うのと同じように“女の子”だと。
同性から“女の子”として見て貰えたのは羽鳥さんで3人目だった。
“素敵な女の人だな”と思う。
望が言っていた通り、“とんでもなく素敵な女の人だな”と。
そう思いながら羽鳥さんに笑い掛けると・・・
羽鳥さんは顔を赤らめながら自分の頬を両手で押さえた。
「ごめんね、女の子だって分かってるのに・・・。
なんだろう・・・凄い色気だね・・・。
写真とは比べ物にならないくらいの凄い色気・・・。」
照れた顔ではにかんでいる羽鳥さんの可愛い顔を見て、羽鳥さんの方こそ写真よりもずっと美しくて可愛いなと思い自然と大きく笑ってしまう。
「女子達が言うこいつの色気が昔からマジで分からない!!!
砂川さん分かります!?」
「色気とかそういうのは全く分からないかな。」
約3年間何度も何度も何度も身体の関係になったけれど、砂川さんが私のことを“女の子”として好きになってくれることはなかった。
それは何度も何度も何度も言われていたからちゃんと知っている。
ちゃんと知っているからわざわざそんなことを言わないで欲しい。
どこをどう見ても“素敵な女性”でしかない羽鳥さんの前で、砂川さんの婚約者であろう羽鳥さんの前で、そんなことを言わないで欲しかった。
「砂川課長・・・!!」
羽鳥さんが焦った顔で隣に座る砂川さんのことのことを呼んだ。
それに砂川さんは不思議な顔で羽鳥さんのことを見る。
「こういうのもセクハラになるんでしたっけ?」
「もう・・・っ!
そういう話とも違います!」
怒っている姿も美しくて可愛い羽鳥さん。
男として生まれていたとしたら絶対に私も好きになってしまう。
可愛く怒っている羽鳥さんに困った顔で笑う砂川さん。
私の目の前で隣同士で座っている2人を眺めながら“お似合いだな”と・・・
“釣り合っている”と、そう思った。
砂川さんと羽鳥さんが2人で着いていたテーブルに私と田代も同席してから謎の“乾杯”をし、羽鳥さんにそのことを告げるとこんなにも可愛らしく驚いている。
「田代君は・・・うん、“田代君”だよね?
何度も聞きたことがあるし写真も見たことがあるよ!
でもスーツだとまた印象が違うね?
随分と大人になって~!!」
「あざっす!!
まさか“一美さん”とお会い出来る機会があるとは思いませんでしたよ!!
望からは“一美さんが好きになると困るから”とか意味不明な理由で家に遊びに行くことも止められてて!!」
「え~、なんだろうね、それ。」
羽鳥さんが美しい顔でクスクスと可愛らしく笑う。
その顔のまま私のことを見てきて少し悩んだ顔になった。
「園江さんは・・・ごめんね?
望さんから聞いたことがないな。」
「こいつは望から“ソッちゃん”って呼ばれてますよ!」
「・・・え・・・“ソッちゃん”・・・?
ソッちゃんって・・・え・・・ソッちゃん?」
羽鳥さんが大きな目をこれでもかというくらい大きく見開き私のことを見詰めてくる。
そして・・・
「ごめんね・・・ソッちゃんって女の子だったんだね・・・。」
羽鳥さんの言葉に田代が煩いくらい笑っている。
「本当にごめんね・・・っえっと、制服の写真も見たことがあるけど顔のアップの写真しか見たことがなくて。
それに出てくるソッちゃんのエピソードが“女の子から学校で1番モテる”とか“卒業式はほぼ裸みたいな格好で帰ったくらいに女の子達から制服とかを貰われた”とか、そんなエピソードで・・・。」
慌てながらそんな言い訳をし、私の顔を見詰めながらフンワリと笑った。
「お化粧は落ち掛けてるけど綺麗で格好良くて素敵な女の子なのは分かるから、ソッちゃんだとは気付かなかったよ、ごめんね?」
私よりも1歳だけ年上の羽鳥さんが私のことを“女の子”だと言ってくれた。
こんな私のことをマナリーと望が言うのと同じように“女の子”だと。
同性から“女の子”として見て貰えたのは羽鳥さんで3人目だった。
“素敵な女の人だな”と思う。
望が言っていた通り、“とんでもなく素敵な女の人だな”と。
そう思いながら羽鳥さんに笑い掛けると・・・
羽鳥さんは顔を赤らめながら自分の頬を両手で押さえた。
「ごめんね、女の子だって分かってるのに・・・。
なんだろう・・・凄い色気だね・・・。
写真とは比べ物にならないくらいの凄い色気・・・。」
照れた顔ではにかんでいる羽鳥さんの可愛い顔を見て、羽鳥さんの方こそ写真よりもずっと美しくて可愛いなと思い自然と大きく笑ってしまう。
「女子達が言うこいつの色気が昔からマジで分からない!!!
砂川さん分かります!?」
「色気とかそういうのは全く分からないかな。」
約3年間何度も何度も何度も身体の関係になったけれど、砂川さんが私のことを“女の子”として好きになってくれることはなかった。
それは何度も何度も何度も言われていたからちゃんと知っている。
ちゃんと知っているからわざわざそんなことを言わないで欲しい。
どこをどう見ても“素敵な女性”でしかない羽鳥さんの前で、砂川さんの婚約者であろう羽鳥さんの前で、そんなことを言わないで欲しかった。
「砂川課長・・・!!」
羽鳥さんが焦った顔で隣に座る砂川さんのことのことを呼んだ。
それに砂川さんは不思議な顔で羽鳥さんのことを見る。
「こういうのもセクハラになるんでしたっけ?」
「もう・・・っ!
そういう話とも違います!」
怒っている姿も美しくて可愛い羽鳥さん。
男として生まれていたとしたら絶対に私も好きになってしまう。
可愛く怒っている羽鳥さんに困った顔で笑う砂川さん。
私の目の前で隣同士で座っている2人を眺めながら“お似合いだな”と・・・
“釣り合っている”と、そう思った。
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