その理由を教えて

Bu-cha

文字の大きさ
上 下
23 / 31
2

2-8

しおりを挟む
その日の放課後




「杏!帰るぞ!!」



今日もちゃんと迎えにくる龍二には苦笑いになる。



「谷間さ・・・彼女は?」



龍二に彼女がいる時はたまに彼女も一緒に帰っていたのでそう聞くと・・・



「知らね。」



昨日付き合ったばかりなのに可哀想な彼女・・・。



「龍二と付き合ってなにが嬉しいのか本気で分かんない。
顔も昔から見てるし兄妹だし別に格好良い顔とか思えないから、妹のあたしにはほんっっっきで分かんない。」



「俺もマジで分かんねぇ。
女ってウケるよな。」



「妹のあたしはめちゃくちゃ大変ではあるけど、でもまだあたしの方が大切にしてくれてるよね?
たま~に元カノ達から嫌味言われるくらい彼女よりあたしといるくらいだし。」



「お前みたいな双子の妹を持つと兄は兄で大変なんだよ。」



龍二といつものようにそんな会話をしながら廊下を歩いていると・・・



「龍二!!」



いつもよりも胸の谷間が見えている谷間さんが現れた。



「一緒に帰ろ~♪」



もう、凄い胸で・・・。
谷間さんの顔よりも胸ばかり見てしまう。
女のあたしでも思わず触りたくなるくらいの、めちゃくちゃ柔らかそうな谷間が見えていて、あたしはこの機会にじっくり見させて貰う。



「昨日は“尾崎君”だっただろ、“龍二君”でもなくいきなり“龍二”かよ。」



龍二が低い声でそんなことを言い出し、あたしは慌てて谷間さんの顔を見た。
勿論、谷間もしっかりと視野に入れながら。



「いいじゃん!
前の彼女でも龍二って呼んでる子いたよね?」



「いねーよ。」



「え・・・?
龍二、2人くらいはいたよ?」



思わず口を挟んでしまうと谷間さんが不満そうな顔であたしのことを睨んだ。



「今は私が龍二と話してるの!
妹ちゃんが入ってこないでよ!」



「うん、そうだよね、ごめんなさい。」



「龍二~!私と一緒に帰ろうよ。
龍二の妹ちゃん、1人で帰ってよ~!」



今までの龍二の彼女達とは全然違うタイプの女の子で、あたしの友達とも違うタイプの女の子で、それには戸惑いもあるけど・・・



でも、谷間さんの意見の方が彼女としては当たり前のことで。



それはあたしだって分かるから、スマホを取り出し地図アプリを開こうとした。



その、瞬間・・・



「杏、帰るぞ。」



龍二があたしの名前だけを呼んだ。



「でも、谷・・・えっと、安藤さん・・・。」



あたしが安藤さんのことを見たら・・・



「昨日の今日でマジでごめんだけど、昨日の話と違いすぎて俺無理だわ、もう付き合えない。」



龍二がそんなことを言い出した。



「待って・・・!ごめんね?
龍二の彼女になれて嬉しくて、ちょっとはしゃいじゃった!!」



安藤さんは上目遣いでそう言って龍二の腕に絡み付いた。



すんっっごい胸を押し付けていて、龍二が彼女と初めての修羅場っぽい感じではあるけれど、羨ましすぎる巨乳からあたしは目を離せないでいる。



そしたら・・・



「触んな。」



龍二が腕を振り払いながら、めちゃくちゃ低い声を出した。



あ、ヤバい?



それに気付きやっと龍二のことを見上げると、龍二の顔は怒りの顔だけではなく凄く苦しそうな顔をしている。



「俺に触んな・・・。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ

しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

処理中です...