20 / 31
2
2-5
しおりを挟む
翌朝
何も言わず、足踏みをしながらただ龍二を見上げ続ける。
「うっせぇな!
今急いでんだよ!!」
何も言っていないのに“うっせぇ”と言ってくる兄、龍二がトーストをかじりながら制服を着ていく。
今朝の龍二の寝起きは最悪で、起こしても起こしても”起きたくない“と言って。
”何で朝になってんだよ“と、朝になったことにブチ切れていて。
”ノストラダムスの大予言は何だったんだよ“と、ノストラダムスの大予言にも文句を言って。
”俺だけ今日は休む“と言ってきたので、学校を休むのかと思ったら・・・。
“今日になることを俺だけ休む“と寝惚け過ぎていることを言ってきたので、それには流石に叩き起こした。
食パンをかじりながら制服を着ていくというなんとも効率が悪いことをしているので、それにはもう我慢出来ずに龍二の首元に両手を伸ばした。
「もう・・・!はい!!」
あたしは龍二のワイシャツのボタンを首元から閉めていく。
「あざっす・・・。」
「本当だよ!」
トーストを食べる龍二のネクタイにも手を伸ばすと、自然と笑えてきた。
「お母さんもお父さんのネクタイをこんな風に結んでたなぁ。
お父さんは食パンなんてかじってなかったけど。」
あたしの言葉に龍二は何も言わず、食パンを食べ続けていく。
「うちらは生きるんだから、ちゃんと今日も生きようよ。」
「・・・・・・。」
「あたしって、ほら・・・、龍二とは違うヤバさのある奴じゃん?
駅から離れてるとはいえ未だに高校までの道は覚えられないし、龍二はすぐに手が出るタイプだけど私はすぐに口に出るタイプだし、龍二は無事に反抗期を迎えてるみたいだけど私は未だにお父さんっ子でお兄ちゃんっ子だし。」
ネクタイを結び終わった後、ネクタイを片手でポンポンッとした。
「お兄ちゃんの中には龍二もちゃんと入ってるからね?
龍二は私の双子のお兄ちゃんでしょ?
ちゃんと今日も明日も生きててよ。
2人でちゃんと大人になって、何の仕事をするかは分かんないけどちゃんと仕事もして、結婚もして、お互いの子どもを連れてお兄ちゃん家族もお父さんも一緒にみんなでお出掛けとか旅行とか行ってさ。
そんな絶対楽しい未来があるの、あたし凄く楽しみにしてるし。」
「・・・・・・・。」
「それでみんなでずっと、毎年家族写真を撮ろうよ。
大人になってもオジサンとオバサンになっても、お爺さんとお婆さんになっても、家族みんなで仲良くしていようよ。」
食パンを無言で食べ続けていき、食べ終わった龍二が私のことを見下ろして、やけに優しい顔で笑った。
「そうだな。」
昨日のことをよっぽど反省しているのかとも思ったけれど、最近の龍二はいつもよりももっと変で。
それには心配になってくる。
「最近変なもの拾って食べたんじゃない?
昔はよく小学校の校庭になってる夏みかんを勝手に食べて校長に怒られまくってたし。
それでもやめずに、しまいには落ちてるよく分かんない実まで食べてお腹壊して、校長が真っ青になって学校を巻き込んだ騒ぎになったじゃん。」
「今はそんなもん食ってねぇよ!」
龍二のいつものツッコミには安心した。
「おら!早く行くぞ!」
「は!?あたしが手伝ってあげたんだけど!!」
今日も慌ただしく、ちゃんと1日が始まった。
何も言わず、足踏みをしながらただ龍二を見上げ続ける。
「うっせぇな!
今急いでんだよ!!」
何も言っていないのに“うっせぇ”と言ってくる兄、龍二がトーストをかじりながら制服を着ていく。
今朝の龍二の寝起きは最悪で、起こしても起こしても”起きたくない“と言って。
”何で朝になってんだよ“と、朝になったことにブチ切れていて。
”ノストラダムスの大予言は何だったんだよ“と、ノストラダムスの大予言にも文句を言って。
”俺だけ今日は休む“と言ってきたので、学校を休むのかと思ったら・・・。
“今日になることを俺だけ休む“と寝惚け過ぎていることを言ってきたので、それには流石に叩き起こした。
食パンをかじりながら制服を着ていくというなんとも効率が悪いことをしているので、それにはもう我慢出来ずに龍二の首元に両手を伸ばした。
「もう・・・!はい!!」
あたしは龍二のワイシャツのボタンを首元から閉めていく。
「あざっす・・・。」
「本当だよ!」
トーストを食べる龍二のネクタイにも手を伸ばすと、自然と笑えてきた。
「お母さんもお父さんのネクタイをこんな風に結んでたなぁ。
お父さんは食パンなんてかじってなかったけど。」
あたしの言葉に龍二は何も言わず、食パンを食べ続けていく。
「うちらは生きるんだから、ちゃんと今日も生きようよ。」
「・・・・・・。」
「あたしって、ほら・・・、龍二とは違うヤバさのある奴じゃん?
駅から離れてるとはいえ未だに高校までの道は覚えられないし、龍二はすぐに手が出るタイプだけど私はすぐに口に出るタイプだし、龍二は無事に反抗期を迎えてるみたいだけど私は未だにお父さんっ子でお兄ちゃんっ子だし。」
ネクタイを結び終わった後、ネクタイを片手でポンポンッとした。
「お兄ちゃんの中には龍二もちゃんと入ってるからね?
龍二は私の双子のお兄ちゃんでしょ?
ちゃんと今日も明日も生きててよ。
2人でちゃんと大人になって、何の仕事をするかは分かんないけどちゃんと仕事もして、結婚もして、お互いの子どもを連れてお兄ちゃん家族もお父さんも一緒にみんなでお出掛けとか旅行とか行ってさ。
そんな絶対楽しい未来があるの、あたし凄く楽しみにしてるし。」
「・・・・・・・。」
「それでみんなでずっと、毎年家族写真を撮ろうよ。
大人になってもオジサンとオバサンになっても、お爺さんとお婆さんになっても、家族みんなで仲良くしていようよ。」
食パンを無言で食べ続けていき、食べ終わった龍二が私のことを見下ろして、やけに優しい顔で笑った。
「そうだな。」
昨日のことをよっぽど反省しているのかとも思ったけれど、最近の龍二はいつもよりももっと変で。
それには心配になってくる。
「最近変なもの拾って食べたんじゃない?
昔はよく小学校の校庭になってる夏みかんを勝手に食べて校長に怒られまくってたし。
それでもやめずに、しまいには落ちてるよく分かんない実まで食べてお腹壊して、校長が真っ青になって学校を巻き込んだ騒ぎになったじゃん。」
「今はそんなもん食ってねぇよ!」
龍二のいつものツッコミには安心した。
「おら!早く行くぞ!」
「は!?あたしが手伝ってあげたんだけど!!」
今日も慌ただしく、ちゃんと1日が始まった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。


好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる