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お風呂から上がりベッドに潜り込み、今日もパーちゃんを抱き締める。
「パーちゃん、言えないよね~・・・。」
今日もパーちゃんに喋りかけながら頭を撫でていく。
そして・・・
「龍二のバカ・・・・・・」
そう呟いた時、部屋のドアが開いた。
見てみると龍二で、その顔はさっきまでの顔とは違い少し前のいつもの龍二に戻ったかのような表情に見える。
「変なクマ苦しそうだぞ?」
「パーちゃんはパンダだもん。」
あたしの返事に龍二が自然な顔で笑い、机の椅子に座った。
「杏、さっきは悪かったな。」
素直に謝ってきたことに驚つつ、いつもと同じどころかめちゃくちゃ穏やかな様子の龍二に私も自然と笑い返す。
「お父さんには黙っててあげたからね!」
「うん・・・。」
龍二が静かな声でそう答えた後、やっぱり自然な笑顔で笑い掛けてきた。
「俺、さっき彼女出来たから。」
それを聞き・・・
「よかった~!!」
物凄く安心した。
凄く凄く、もうめちゃくちゃ安心した。
「な、俺も良かった。」
龍二もめちゃくちゃ安心した顔で笑っていて、それには何度も頷きながら言っておく。
「龍二はお兄ちゃんと違って猿なんだし、彼女切らさない方が良いって。
私の友達の彼氏達も、1回エッチした後は彼氏達みんな猿になるらしいし、龍二だけじゃないから大丈夫だからさ。」
「女でもやってる奴はもうやってるよな~。」
「龍二の彼女達だってみんなしてるじゃん。
噂めっちゃ回ってくるよ?」
「女ってウケるよな~。」
龍二がバカにしたような感じでそう言った後、笑いながら下を向いた。
「杏は?」
「私?」
「杏は?」
「私が何?」
「そろそろ彼氏出来そう?」
「あたしだって・・・結構、モテるし。」
龍二と同じ学校のせいで男子達からは全くそういう人気がない私への意地悪だと思い、同じ学校だからバレバレだけどムカつくからそんな嘘を言った。
「はいはい。」
「絶対にバカにしてるじゃん。」
「してねぇよ。」
「いつかお父さんとかお兄ちゃんみたいな素敵な彼氏ができるもん!!」
「そうだな。」
やけに静かな龍二で、よっぽど反省したのだと分かった。
ずっと下を向きながら笑っている龍二が何だか可哀想にも見えて、たぶん彼女とエッチをしてスッキリをしたのか何なのか、何だか元気がないようにも見えるので言ってあげた。
「あたしの結婚式のスピーチ、龍二にやらせてあげるよ。
笑いとかとらなくて良いから、私の双子の兄として感動するやつお願いね?」
それには龍二が大きく笑い、「おやすみ。」とだけ言って部屋から出ていった。
「よかった・・・。」
小さく呟いた後、笑いながら目を閉じる。
「龍二に彼女ができてよかった・・・。」
これでまたいつもの毎日に戻る。
そう思い、安心しながらパーちゃんを抱き締めた。
その日見た夢は、たまに見る小さな頃の夢だった。
「パーちゃん、言えないよね~・・・。」
今日もパーちゃんに喋りかけながら頭を撫でていく。
そして・・・
「龍二のバカ・・・・・・」
そう呟いた時、部屋のドアが開いた。
見てみると龍二で、その顔はさっきまでの顔とは違い少し前のいつもの龍二に戻ったかのような表情に見える。
「変なクマ苦しそうだぞ?」
「パーちゃんはパンダだもん。」
あたしの返事に龍二が自然な顔で笑い、机の椅子に座った。
「杏、さっきは悪かったな。」
素直に謝ってきたことに驚つつ、いつもと同じどころかめちゃくちゃ穏やかな様子の龍二に私も自然と笑い返す。
「お父さんには黙っててあげたからね!」
「うん・・・。」
龍二が静かな声でそう答えた後、やっぱり自然な笑顔で笑い掛けてきた。
「俺、さっき彼女出来たから。」
それを聞き・・・
「よかった~!!」
物凄く安心した。
凄く凄く、もうめちゃくちゃ安心した。
「な、俺も良かった。」
龍二もめちゃくちゃ安心した顔で笑っていて、それには何度も頷きながら言っておく。
「龍二はお兄ちゃんと違って猿なんだし、彼女切らさない方が良いって。
私の友達の彼氏達も、1回エッチした後は彼氏達みんな猿になるらしいし、龍二だけじゃないから大丈夫だからさ。」
「女でもやってる奴はもうやってるよな~。」
「龍二の彼女達だってみんなしてるじゃん。
噂めっちゃ回ってくるよ?」
「女ってウケるよな~。」
龍二がバカにしたような感じでそう言った後、笑いながら下を向いた。
「杏は?」
「私?」
「杏は?」
「私が何?」
「そろそろ彼氏出来そう?」
「あたしだって・・・結構、モテるし。」
龍二と同じ学校のせいで男子達からは全くそういう人気がない私への意地悪だと思い、同じ学校だからバレバレだけどムカつくからそんな嘘を言った。
「はいはい。」
「絶対にバカにしてるじゃん。」
「してねぇよ。」
「いつかお父さんとかお兄ちゃんみたいな素敵な彼氏ができるもん!!」
「そうだな。」
やけに静かな龍二で、よっぽど反省したのだと分かった。
ずっと下を向きながら笑っている龍二が何だか可哀想にも見えて、たぶん彼女とエッチをしてスッキリをしたのか何なのか、何だか元気がないようにも見えるので言ってあげた。
「あたしの結婚式のスピーチ、龍二にやらせてあげるよ。
笑いとかとらなくて良いから、私の双子の兄として感動するやつお願いね?」
それには龍二が大きく笑い、「おやすみ。」とだけ言って部屋から出ていった。
「よかった・・・。」
小さく呟いた後、笑いながら目を閉じる。
「龍二に彼女ができてよかった・・・。」
これでまたいつもの毎日に戻る。
そう思い、安心しながらパーちゃんを抱き締めた。
その日見た夢は、たまに見る小さな頃の夢だった。
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