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それから毎日・・・不安な気持ちで仕事を終わらせ、実家に寄る日々となった。
“早く出ていかなければ”と、毎日思っていたから。
誰もいなくて、家の中は少し散らかっていて・・・それを静かに片付けながら、今日も思う。
どんな、“資格”なんだろう。
どんな“資格”があれば、莉央に気持ちを伝えていいんだろう。
死なないといけないくらい“資格”がない俺は、あとどんな“資格”があれは・・・
莉央の・・・
莉央の・・・
莉央の・・・
「・・・っっ」
そこまで考えて、止めた。
これを考えることすら“資格”はないと思ってきたから。
仏壇の前に行き、お父さんの写真を見る・・・。
“負けるな、勝也。”
“自分に負けるな、勝也。”
お父さんの言葉を思い出した後、お父さんの写真の下に置いていた紙をソッと取り出す。
樹里から貰ったその紙を今日も眺め、深呼吸をした。
洗濯物と部屋の掃除をしてから、母ちゃんと樹里にサッと夜ご飯を作っておいた。
最後にもう1度仏壇の前で手を合わせ、莉央の部屋に向かう。
“資格”がない俺を、莉央は待っていてくれるから。
俺のために、俺を想いながら、今日も夜ご飯を作ってくれているから・・・。
“資格”はないけど・・・俺は今日も、莉央の家に帰る・・・。
12月になり寒くなった道を、赤いマフラーを巻きながら・・・。
“早く出ていかなければ”と、毎日思っていたから。
誰もいなくて、家の中は少し散らかっていて・・・それを静かに片付けながら、今日も思う。
どんな、“資格”なんだろう。
どんな“資格”があれば、莉央に気持ちを伝えていいんだろう。
死なないといけないくらい“資格”がない俺は、あとどんな“資格”があれは・・・
莉央の・・・
莉央の・・・
莉央の・・・
「・・・っっ」
そこまで考えて、止めた。
これを考えることすら“資格”はないと思ってきたから。
仏壇の前に行き、お父さんの写真を見る・・・。
“負けるな、勝也。”
“自分に負けるな、勝也。”
お父さんの言葉を思い出した後、お父さんの写真の下に置いていた紙をソッと取り出す。
樹里から貰ったその紙を今日も眺め、深呼吸をした。
洗濯物と部屋の掃除をしてから、母ちゃんと樹里にサッと夜ご飯を作っておいた。
最後にもう1度仏壇の前で手を合わせ、莉央の部屋に向かう。
“資格”がない俺を、莉央は待っていてくれるから。
俺のために、俺を想いながら、今日も夜ご飯を作ってくれているから・・・。
“資格”はないけど・・・俺は今日も、莉央の家に帰る・・・。
12月になり寒くなった道を、赤いマフラーを巻きながら・・・。
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