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「送ってくれて、ありがとう。」



「うん・・・。」




マンションの前、制服姿でガタガタと震えている勝也を見る。
それでも、嬉しそうに笑っていて・・・。




私は泣きそうになったけど、意地でも泣かなかった・・・。





「頑張ったね・・・。」






それだけは、伝えたかった。
“あの頃の勝也”に届くのかは、分からなかったけど・・・
それだけは、伝えたかったから・・・。




小さな声で呟いたけど、思ったよりも声が響いたようで・・・
勝也は驚いた顔で私を見ていた。





「勝也・・・よく、頑張ったね。」






もう1度、ハッキリと伝えた・・・。







そして、勝也に笑い掛ける・・・。






「勝也、よく頑張ったね。偉かったね。」






そう、伝えたら・・・







“勝也”の目から・・・







涙が静かに、流れた・・・。







私は笑いながら、ゆっくりと・・・







少しだけ、勝也を抱き締めた・・・。







「今も・・・よく、頑張ってるよ。
勝也は、よく頑張ってるよ・・・。
偉いよ・・・。」





少しだけ、勝也を強く抱き締めると・・・






勝也は震える手で、少し、私を抱き締めた。







勝也の首に巻かれた赤いマフラーを見る。
勝也に気付かれないように、少しだけ口付けをした。





“勝也”が風邪を引かないように・・・






“勝也”が少しでも温かいように・・・






“勝也”が、少しでも、安心できるように・・・。
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