【完】タバコの煙を吸い込んで

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拓実が住むマンションは、都心から外れた街で結構古めの建物の小さな部屋だった。



「経営者だったんでしょ？
こういう部屋に住んでるんだ。
あんまり業績良くなかったの？」



「そこそこ良かったよ。
でも自分にはお金掛けられないからね。」



拓実が私のママが言うようなことを言い、それに少し笑った。



「今日は暖房入れていいの？」



「うん、寒いから。」



「今日はいいんだ。」



拓実が面白そうに笑いながらエアコンのスイッチを押した。
ソファーに座るように促してくれ、タオルも渡してくれたのでそれで少し濡れた頭や上着を拭いた。



「どうぞ。」



ホットコーヒーが入ったマグカップを渡してくれ、お礼を言いそれを受け取る。
拓実も私の隣に座り、2人で無言のままホットコーヒーを飲んだ。