【完】タバコの煙を吸い込んで

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6-3

「私は、ホステスなの・・・。」



パラパラと白い雪が降る中、冷たい手の平で私の涙を何度も拭う拓実にそう言う。



「生きる世界が、違う・・・。」



「違わないよ。」



「時間だけじゃなくて、世界も違う。
私は・・・軽い女だから・・・。
自分の勉強の為に嘘の名刺を渡して、やるだけやって姿を消した・・・そんなクソ女なの。」



泣きながらそう言うと、拓実が面白そうな顔で笑った。



「私は、ホステスなの。夜の女なの。
勉強の為に・・・私に必要な物を得る為に拓実を利用したクソ女なの。
それくらい女としては軽いの。」



「それで良いんだよ。
それくらいじゃなきゃ夜の女は務まらない。」



「でも・・・捨てられたくないと思ってしまう。
私は・・・1人で歩けないから・・・。
強くない、私は裕福な家で生まれ育ったから・・・。
1人で赤ちゃんを抱えて歩けない・・・。
きっと、いつか・・・いつか・・・赤ちゃんが殺されてしまう・・・。」



「・・・君にだよね。」



「そう・・・私に・・・。
親にも言えない・・・。
言ったら、きっともっと弱くなる・・・。
吐き出してしまったらもっと弱くなってしまう・・・。」



「そうだろうね。」



こんなことを言っているのに、それでも拓実は嬉しそうな顔で私を見て・・・



「だから、社長にお願いしに行った。
君と結婚したいって。」